パパ活は犯罪の温床?どういった罪に問われるの?
目次
1 パパ活とは
パパ活とは女性が経済的に援助してくれる男性(パパ)を探す活動をいいます。
内容としては、一般的に、肉体関係を持たず、デートや食事などを共にする代わりにパパが女性に対し金銭を渡すことになります。
もっとも、パパ活の内容によっては犯罪が成立する可能性があります。
以下では、パパ側と女性側で成立する可能性のある犯罪について解説していきます。
2 パパ側に成立する可能性のある犯罪
⑴売春防止法
上記のように、パパ活は本来肉体関係を持ちませんが、肉体関係に発展する場合もあります。
その場合、売春禁止法に抵触してしまう可能性があります。
売春防止法3条は、「何人も、売春をし、又はその相手方となってはならない。」と規定し、同法2条は「売春」を「対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交をすること」と定義しています。
そして、同法5条1号は「公衆の目に触れるような方法で、人の売春の相手方となるように勧誘すること」を禁止しており、これに違反した場合、6か月以下の懲役又は1万円以下の罰金に処されるとされています。
例えば、パパ側がSNSや出会い系サイトなどで肉体関係を前提としたパパ活相手を募集した場合には、同法5条1号で公衆の目に触れるような方法で、人の売春の相手方となるように勧誘する行為にあたり、6か月以下の懲役又は1万円以下の罰金に処される可能性があります。
⑵監禁罪
パパが女性をドライブに誘い、車から自由に下りられなくした場合には、女性の移動の自由を奪ったとして、監禁罪(刑法220条)が成立する可能性があります。
監禁罪が成立すれば、3か月以上7年以下の懲役に処される可能性があります。
⑶強要罪
女性が嫌がっているにもかかわらず、パパが無理矢理ホテルに連れて行くような場合には、強要罪(刑法223条)が成立する可能性があります。
強要罪が成立すれば3年以下の懲役に処される可能性があります。
⑷不同意わいせつ罪、不同意性交等罪
パパが無理矢理ホテルに女性を連れていき、女性が嫌がっている又は意思疎通が難しい状況にあるにもかかわらず卑猥な行為や性行為を行った場合には、不同意わいせつ罪(刑法176条)や不同意性交等罪(刑法178条)が成立する可能性があります。
不同意わいせつ罪が成立すれば6か月以上10年以下の懲役に処される可能性があり、不同意性交等罪が成立すれば5年以上の懲役に処される可能性があります。
参考:証拠がない?相手方の同意なしでの性行為は不同意性交等罪に
参考:不同意性交罪とは?不同意性交罪がいつから適用されるのか、成立要件などを解説
⑸詐欺罪
初めから、金銭を支払うつもりがないにもかかわらず、パパ活を行った後に、パパ側から女性に対して約束していた金銭の支払いをしない場合には、パパ側は、本来支払わなければならない金銭の支払いを免れたとして詐欺罪(刑法246条2項)が成立する可能性があります。
もっとも、この金銭は、パパ活(売春を含む)という公序良俗に反しうるサービスの対価ですから、詐欺罪が成立するかについては裁判所の意見が分かれています。
仮に詐欺罪が成立すれば、10年以下の懲役に処される可能性があります。
⑹児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律
女性が18歳未満である場合で、パパ活として性行為を行った場合には、同法4条により、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処される可能性があります。
なお、18歳未満と金銭の支払いがなく性行為を行った場合には、各都道府県の青少年育成条例に違反する可能性があります。
3 女性側に成立する可能性のある犯罪
⑴売春防止法
パパ側がSNSや出会い系サイトなどで肉体関係を前提としたパパ活相手を募集した場合には売春防止法に違反する可能性がありますが、女性側も同じようなことを行えば売春防止法に違反する可能性があります。
例えば、女性側がSNSや出会い系サイトで肉体関係を持つ代わりにパパを募集する行為は、同法5条1号で公衆の目に触れるような方法で、人の売春の相手となるように勧誘する場合にあたり、6か月以下の懲役又は1万円以下の罰金に処される可能性があります。
⑵詐欺罪
女性が、パパ活をするつもりがないのに、パパ活をするかのように相手を欺いて金銭の給付を受け、そのまま逃亡したようなケースは、詐欺罪(246条1項)が成立する可能性があります。
成立すれば、10年以下の懲役刑です。
女性側の詐欺についても、パパ活が売春を伴うものであれば、民法でいうところの不法原因給付(民法708条)にあたり、男性は金銭の返還を請求できないから、詐欺罪が成立しないのではないかという問題が生じます。
しかし、最高裁判所は、女性側の違法性が高いことを理由に、詐欺罪が成立していると判断しました。(最高裁判所第二小法廷昭和33年9月1日)
⑶脱税
パパ活では、パパが女性に対して金銭を渡すことになりますが、法律上は贈与にあたります。そして、1月1日から12月31日までに110万円の贈与を受けると、税金がかかることになります。
パパ活で、パパから年間110万円以上の金銭を受け取った場合には、女性は税金を納める義務があります。そして、税金を納めない場合には脱税にあたる可能性があります。
脱税をした場合には、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処される可能性があります(相続税法68条1項)。
4 まとめ
パパ活をする場合には、パパ側も女性側も注意して行わなければ犯罪が成立する可能性があります。パパ活について、どのような行為が許されて、どのような行為が禁止されているかについて不明な場合には、一度、弁護士に相談することをお勧めします。
法律事務所ロイヤーズ・ハイでは、刑事事件に関し経験豊富な弁護士が在籍しております。
パパ活によるトラブルがあった場合には、当事務所の弁護士にご相談いただくことをお勧めします。
このコラムの監修者
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田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録
弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、性犯罪事件、窃盗・横領などの財産事件、暴行傷害などの暴力事件などで多数の不起訴経験あり。刑事弁護委員会所属。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。