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盗撮行為における弁護活動

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盗撮に関する罪で逮捕されるニュースを目にしたことがある人もいるでしょう。

逮捕されてしまえば仕事を続けることも難しくなり、家族にも迷惑がかかってしまいます。

軽い気持ちでした行為とはいえ、大きな後悔をすることになるでしょう。

今回は、盗撮行為における弁護活動について解説していきます。

万が一、家族や自分自身が盗撮で逮捕された際には、弁護士にサポートを依頼することが得策なので、盗撮事件で悩んでいる人がいれば参考にしてください。

関連コラム:不同意わいせつとは?逮捕された時の対処方法

 

1 盗撮で考えられる罪について

まずは、盗撮事件を起こして問われる可能性のある罪をご紹介していきます。

近年、スマートフォンが普及したことで、誰もが気軽に写真やムービーを撮ることができるようになりました。

そのため、盗撮は年々増えている事件なのです。

盗撮で問われる可能性のある罪は以下の通りです。

 

(1) 迷惑防止条例違反

各都道府県が定めている迷惑防止条例違反は、常習性の有無や住んでいる都道府県で罰則に違いがあります。

常習性なし

東京都と神奈川県:1年以下の懲役または100万円以下の罰金

福岡県:6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金

常習性あり

東京都と神奈川県:2年以下の懲役または100万円以下の罰金

福岡県:1年以下の懲役または100万円以下の罰金

これらは、公共の場所、乗り物のほか、一部の指摘空間にも適用されます。

東京都では、条例が改正される前は公共の場所や公共の乗り物での盗撮しか適用されませんでしたが、法改正がされてからは、住居のトイレや脱衣室、学校や会社のトイレ、更衣室などのほか、学校やカラオケボックスの個室、タクシーといった不特定多数の人が立ち替わり活用する場所や乗り物も盗撮範囲に含まれるようになったのです。

公共の場所、乗り物で盗撮した場合のみ千葉県と埼玉県では、常習性がなければ6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。

常習性がある場合には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられるので覚えておきましょう。

参考:盗撮しようとしたらバレた!未遂でも逮捕されますか?

参考:【必読】盗撮で後日逮捕・現行犯逮捕されるケースを解説!

 

(2) 撮影罪

2023年7月13日、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(性的姿態撮影等処罰法)」が施行されました。

この法律は,今まで主に迷惑防止法条例で規制されていた盗撮を,撮影罪として規定し,全国一律に取り締まる目的で制定されたものです。

 

① 性的姿態等

性的姿態等とは,具体的には以下の通りです。

(ア)性器や臀部,胸部等の性的な部分

(イ)性的な部分を隠すために身に着けている下着

(ウ)わいせつな行為や性交等を行っている間の姿態

電車の中でスカートを盗撮する行為は,②に該当します。

 

② 不同意

これらの性的姿態等を,ひそかに又は相手方の同意なく,若しくは騙して撮影すると,撮影罪が成立します。

この「同意なく」とは,同じく令和5年7月17日に改正された不同意性交等罪,不同意わいせつ罪で規定されている「同意」と同じ意味です。

簡単に言うと,相手からの同意がない場合はもちろん,同意を得られないほど酩酊しているような場合,不同意とみなされる可能性が高いです。

詳しくは以下のコラムを参照してください。

参照:不同意性交罪とは?不同意性交罪がいつから適用されるのか、成立要件などを解説

 

③ 被害者の年齢

他にも,成人している者が,16歳未満を正当な理由なく撮影することも罰せられます。

正確には,撮影した相手方が13歳以上16歳未満であれば,相手方より5年以上前に生まれた者は処罰される可能性があります。

相手方が13歳未満であれば,行為者が17歳,18歳であっても関係なく罰せられます。

正当な理由とは,自分の子供である他,医療行為に付随した場合などです。

「水遊びしている子が可愛かったからつい」と言う理由では犯罪になるかもしれません。

撮影罪は,未遂も罰せられます。

カメラなどの機器を,差し向けたり,設置したりした時点で撮影の有無にかかわらず,未遂に該当する可能性があります。

撮影罪の量刑は,三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金です。

拘禁刑とは,従来の禁錮刑,懲役刑を廃止し,自由刑を一本化するものです。労役を課すのではなく,それぞれの受刑者に今後の更生のための指導を受けさせることが出来るようになります。

2025年6月1日に施行される予定です。

このほかにも,性的姿態撮影等処罰法は,撮影罪によって生成された写真や映像を,第三者に提供すること,提供の目的での保管,撮影罪によって生成されたと知りながら記録すること等の行為も規制しています。

このうち,不特定多数に画像を提供・送信した者は五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科というかなり重い罪が科せられます。

 

(3) 軽犯罪法違反

上記でご紹介した公共の場所以外での盗撮は軽犯罪法違反に問われる可能性があります。

ただし、自治体によっては迷惑防止条例が適用されるケースもあるため、それぞれ確認しておきましょう。

軽犯罪法違反は、拘留(1日以上30日未満の身柄拘束)または科料(1,000円以上1万円未満の罰金)の罪が科されます。

 

(4) 児童買春、児童ポルノ罪

盗撮された被害者が未成年者だった場合、適用される罪は児童買春や児童ポルノ罪です。

児童を盗撮した際は、「児童ポルノの製造」にあたり、3年以下の懲役、300万円以下の罰金が科せられます。

参考:児童ポルノが犯罪になるケースとは?

 

(5) 住宅侵入罪、建造物等侵入罪

盗撮をするために、自分以外の人が住んでいる住宅や集合住宅などに侵入していれば住宅侵入罪が適用となるケースがあります。

罰則は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。

参考:庭など敷地内への住居侵入罪、住居侵入未遂について

 

(6) 知的財産権侵害

映画を盗撮することも犯罪行為のひとつです。

近年では増えている犯罪行為ですが、映画以外にも、撮影が禁止された美術館での美術品の撮影は盗撮行為となります。

知的財産権侵害が認められれば、10万円以下の懲役または1,000万円以下の罰金が科せられます。

 

2 盗撮事件で弁護士に依頼すべき理由

盗撮事件が発生した場合、一人または家族で抱え込まずに弁護士に相談することが何よりの得策となります。

その理由を解説していきましょう。

 

(1) 逮捕の回避ができる可能性も

何らかの盗撮で逮捕されれば起訴されて刑事裁判になる可能性もあります。

起訴された場合には、有罪判決が下されて前科がつきます。

生活にも大きな支障を及ぼし、親や妻、子どもといった家族にも耐えがたい迷惑をかける可能性もあります。

しかし、弁護士に依頼をすることで、過大な処分が下されないようにサポートしてもらうことが可能です。

不当な処分であれば、逮捕を回避できる可能性もあるでしょう。

スムーズに対処してもらうためにも、早い段階で弁護士を依頼しましょう。

 

(2) 事件が公表されるリスクを最小限に抑えられる

盗撮や逮捕で起訴されれば事件について報道される可能性は十分に考えられます。

実名報道となれば、テレビや雑誌に記載され多くの人が目にすることになります。

インターネット上に実名が残ることにもつながります。

事件があったことで、仕事を辞めることになれば再就職にも影響があるでしょう。

もちろん、家族にとっても迷惑となります。

公表による不利益は大きいので、公表の可能性が小さくなるように弁護士はサポートしてくれます。

参考:盗撮など迷惑防止条例違反や撮影罪に関する相談なら弁護士へ

 

3 盗撮行為における弁護活動

盗撮事件が発生してから、弁護士はどのように弁護活動をしていくのか、ご紹介していきましょう。

 

(1) 起訴されるまでの弁護活動

① 自首の同行

盗撮をしたことで罪の意識を感じて不安な日々を送っている人も中にはいるでしょう。

自首をすれば、証拠を隠す心配がないことや逃亡をする危険性がないことで逮捕されずに在宅事件で扱われるケースも高いです。

自首が成立すれば反省をしていることを示すことができ、罪を軽くすることにもつながります。

不起訴処分となる可能性も高まるので、盗撮をして辛い日々を送っているのであれば弁護士に相談してみましょう。

参考:弁護士に自首に同行してほしい

 

② 被疑者との接見

盗撮して逮捕されると連日のように取り調べが実施されます。

法律の知識がなく、今後どうなっていくのか不安な日々を過ごすでしょうが、弁護士は確かな法的知識を持っている人物なので、被疑者の心強い味方となります。

取り調べでの対応についてのアドバイスを行い、接見禁止で面会できない場合には、家族の連絡を通して被疑者の不安を解消するサポートも行います。

参考:接見でできることできないこと

 

③ 身柄釈放のサポート

刑事事件になると最長23日間身柄拘束されます。

勾留期間が長くなれば様々なリスクが発生しますが、弁護士は釈放となるようにサポートを行います。

勾留された後には、勾留が延長にならないように活動し、公判請求されないためのサポートも実施します。

参考:保釈の際の保証金の相場

参考:保釈が認められた場合の流れ

 

④ 示談交渉

早い段階で釈放されること、不起訴を実現するためには、示談交渉は大きな役割を持ちます。

加害者は、直接示談交渉を行うことは難しいので、弁護士が被害者の感情に配慮しながら交渉をスタートさせていきます。

 

(2) 起訴されてからの弁護活動

① 保釈のサポート

被告人は盗撮の証拠を隠蔽する他、逃亡する危険がないと判断されれば保釈が実現します。

弁護士は、保釈を認めてもらうために、具体的に主張しサポートを行っていくのです。

保釈となるためには、保釈金が必要になりますが、原則判決後に全額返還されるようになっています。

 

② 示談交渉

示談が成立すれば判決に対して有利な状況となります。

 

③ 有利な実状を立証する

裁判となれば、重い刑にならないためにも被告人に対して有利となる実状を立証していきます。

被告人が反省している、近親者による指導監督がなされる、前科前歴がないことなどを立証していきます。

 

4 まとめ

盗撮行為における弁護活動は様々なものがあります。

盗撮といっても種類によって罰則に違いがありますが、公表されれば自分だけではなく会社や家族にも大きな迷惑がかかるでしょう。

少しでも罪を軽くするため、冤罪であれば無罪を主張するためにも、弁護士はサポートを行っていくので、盗撮の刑事弁護に対する実績の高い経験豊富な弁護士にすぐに相談しましょう。

このコラムの監修者

  • 田中今日太弁護士
  • 弁護士法人 法律事務所ロイヤーズ・ハイ

    田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録

    弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、性犯罪事件、窃盗・横領などの財産事件、暴行傷害などの暴力事件などで多数の不起訴経験あり。刑事弁護委員会所属。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。

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