【早わかり】侮辱罪の厳罰化!どう変わった?罪に問われたらどうするべき? - 刑事事件に強い大阪の弁護士法人ロイヤーズハイ

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【早わかり】侮辱罪の厳罰化!どう変わった?罪に問われたらどうするべき?

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【早わかり】侮辱罪の厳罰化!どう変わった?罪に問われたらどうするべき?

 

 

侮辱罪が,2022年に改正されました。インターネット上での心無いコメントやメッセージに心を痛めた女性タレントが自殺した事件は,連日報道されていましたので,ご存知の方も多いのではないでしょうか。この事件では,誹謗中傷を行った加害者が検挙され,侮辱罪の容疑で書類送検されました。

だれでもインターネットで発信できる時代ですから,いつどこで加害者になってしまってもおかしくはありません。

侮辱罪はどれくらい厳罰化され,どのような発言が侮辱罪に当たるのか,侮辱罪で逮捕されたらどうすればいいのかについて,このコラムで解説します。

 

 

1 侮辱罪の厳罰化!そもそも侮辱罪とは?

⑴侮辱罪とは

2022年6月に刑法が改正され,侮辱罪の法定刑が引き上げられました。

そもそも,侮辱罪とはどのような罪なのでしょうか?

侮辱罪の条文は以下の通りです。

(侮辱)

第二百三十一条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、一年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

侮辱罪が成立するためには,三つの要件が必要です。

①事実を摘示せずに

②公然と

③人を侮辱した

 

①事実を摘示せずに

事実の摘示の有無は,名誉毀損罪との区別の為の要件です。

ややこしいのですが,具体的な事実と共に人の社会的な評価を低下させる発言・発信をすることは,侮辱罪ではなく,名誉毀損罪に当たります。

例えば,「〇〇は不倫をしている」や「反社会勢力とのつながりがある」等の発言は,真実かどうかに関わらず,事実を摘示しているとして,名誉毀損罪に当たる可能性があり,侮辱罪ではありません。

名誉毀損罪の量刑は,侮辱罪よりもさらに重く3年以下の懲役もしくは五十万円以下の罰金です。

(名誉毀損)

第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀き損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

2 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。

 

②公然と

公然と,とは不特定又は多数に直接認識できるような状態で,という意味です。

インターネットの掲示板などはもちろん公然との要件を満たしますが,数人に聞こえるように言っただけでも公然の要件を満たすことに注意してください。また,限定の公開のブログであっても,閲覧が可能な人物の人数によっては,不特定多数と判断されてしまいます。

もっとも,一対一の場面での侮辱や,SMSの個人のメッセージのやり取りでの侮辱は,公然とは言えませんから,侮辱罪には当たらないことになります。

 

③人を侮辱

侮辱罪は,人に限らず,法人・企業に対しても成立します。

侮辱とは,人の社会的名誉を下げるに足りる言葉を指します。社会的名誉とは,人がその品性,徳行,理性,信用津の人格的価値について社会から受ける客観的評価を言います。

社会的名誉は,単なる自己肯定感である名誉感情とは異なります。侮辱罪は名誉感情を保護しているわけではありません。

侮辱罪は,抽象的危険犯にあたるため,実際に侮辱行為によって社会的評価が低下したことは必要ではありません一般的に社会的評価が低下するおそれがあるかどうかです。

 

・親告罪

侮辱罪は,親告罪ですから,被害者が告訴をしなければ捜査が行われることはありません。

また,侮辱されたという事実および犯人を知ってから半年以内に告訴を行う必要があります。(刑事訴訟法235条1項本文)

さらに,公訴時効は3年となりますので,侮辱をおこなってから3年で時効が完成します。

参考:親告罪では示談が有効!?不起訴を勝ち取るための方法とは

 

⑵厳罰化の具体的な内容

①量刑の引き上げ

従前の侮辱罪の量刑は,拘留又は科料でした。拘留は,一日以上三十日未満での刑事施設への拘置を意味し,科料は千円以上1万円未満の支払いを意味します。

今の量刑は,一年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料ですから,量刑の上限がかなり上がっていることが分かります。

参考:刑罰の「拘留」と処分の「勾留」はどう違うのか?

 

②処罰対象の拡大

この量刑の厳罰化に伴い,教唆犯,幇助犯が処罰対象となりました。刑法64条が拘留又は科料のみに処すべき罪の教唆者及び従犯は、特別の規定がなければ罰しないと規定している為,以前の量刑では,侮辱罪の教唆犯,幇助犯は,処罰することが出来ませんでした。今後は,インターネット上で「この人は悪い人です!成敗しましょう!」等と言って誹謗中傷を煽るような行為は,教唆犯または幇助犯として書別される可能性があります。

 

③公訴時効期間の延長

また,公訴時効が1年から3年に延長されました。公訴時効期間が過ぎてしまうと,侮辱行為を行った人を罪に問うことが出来なくなります。従前は公訴時効期間が1年と非常に短く,その間に特定が困難でしたが,今後は3年に延長されましたから,検挙率は大幅に上がることが期待されます。

 

⑶過去の誹謗中傷も厳罰化の対象になってしまうのか?

結論から言えば,刑法の改正前に行われた誹謗中傷は,量刑の厳罰化とは関係がありません。

侮辱罪の厳罰化の改正は,令和4年7月7日に施行されていますから,これ以降の誹謗中傷が対象になるのです。

 

⑷こんな発言は侮辱罪に当たるかも!

実際に,侮辱罪が成立した発言には以下のようなものがあります。

【福岡簡易裁判所 令和 5年 1月17日】

駐機中の航空機の機内において,マスクの正しい着用を求めた乗客に対して,「コロナみたいな顔してからに。」などと放言し、もって公然と人を侮辱した。

 

他にも,ブス,バカ,マヌケ,無能等の言葉は,侮辱罪が成立する可能性があります。

侮辱罪に当たるかどうかは,発言時の状況や頻度も関係します。

もっとも,「自分としては侮辱のつもりはなかった」「冗談だった」としても,一般的に見て侮辱の言葉であれば侮辱罪の成立は妨げられません。

 

2 侮辱罪の厳罰化で加害者にならないためにできる予防策

インターネットやSNSの普及によって,顔も知らない相手にコメントやメッセージなどで自分の言葉を伝えることが容易な世の中になりました。

言い換えれば,だれでも侮辱罪の加害者になる可能性があるということです。

インターネット上の投稿は,拡散性が非常に早く,直接本人に向けての投稿ではなくとも,本人を含む不特定多数に知られる可能性は十分にあることを忘れてはいけません。

 

インターネットを利用して投稿する際は,投稿内容が,特定の人物に対する誹謗中傷に当たらないか?自分では冗談のつもりでも,相手の立場に立って考えたときにどう思うか?他の人の誹謗中傷を助長させるような内容ではないか?を冷静に考えましょう。インターネットに限らず,日常生活でも気を付けましょう。

14歳以上の少年は,刑事責任が認められますから,侮辱罪についても当然に罪に問われます。子供がふざけただけであっても,誹謗中傷は立派な犯罪です。日ごろからネットリテラシーを身につけましょう。

 

3 侮辱罪の厳罰化で罪に問われたら逮捕されるのか?自首するべき?

⑴侮辱罪で逮捕されるのか?

インターネット上で誹謗中傷を行い,侮辱罪にあたることが原因で逮捕され身柄を拘束されるということは可能性としては低いでしょう。もっとも,あまりにも執拗に誹謗中傷を繰り返したり,捜査に対して非協力的であったり,証拠を隠滅しようとしたり,誹謗中傷に留まらず,殺害予告やストーカーなど,他の犯罪も成立するようなケースでは,逮捕される可能性は十分にあります。

 

逮捕されないからと言って,有罪にならない,前科がつかないというわけではありません。

逮捕とは,あくまで捜査を行う上で被疑者の逃亡,証拠隠滅の恐れがある場合に行われるものです。

逮捕そのものはされなくても,在宅起訴され,有罪になることはあり得ます。

侮辱罪で有罪になれば,刑事罰が下されることはもちろん,前科がつきます。

参考:前科と前歴はどう違う?生活や将来への影響も解説!

 

⑵他人を誹謗中傷したら,自首するべき?

では,インターネット上で他人に誹謗中傷をしてしまったら,自首をするべきでしょうか?

侮辱罪は親告罪ですから,被害者が告訴しない限りは事件化することはありません。

ですので,誹謗中傷をしてしまったかもしれないと思ったら,警察に自首をするのではなく,告訴権者(被害者)に犯罪事実を申告し,その措置をゆだねることで,自首と同じような効果があります。

自首をするメリットとしては,以下の通りがあります。

・反省の気持ちが伝わるので,その後の処罰が寛大になりやすい

・逮捕される可能性が減る

・事件化する前に弁護士に相談することで,早期の弁護活動が可能,等

4 侮辱罪に問われてしまったらすぐに弁護士にご相談を

警察から侮辱罪の被疑者であると告げられた,または被害者から告訴すると言われた方や,家族がそのような状況に陥った方はすぐに弁護士に相談することをお勧めします。

 

弁護士に相談することで,取り調べのアドバイスを受けることが出来ます。さらに,被害者との示談活動は,弁護士が間に入ることで,比較的スムーズに進めることが出来ます。被害者は,誹謗中傷をした人に対する処罰感情が強いことが多く,当事者間での話し合いはヒートアップしてしまいがちです。法律の専門家である弁護士が,冷静に話し合いを進めていきます。

刑事事件は,逮捕されてから48時間以内に,警察は検察官に送致され,そこから24時間以内に,勾留請求を行うか否か判断されます。裁判官が検察官の勾留請求を許可すると,そこから10日間,最大で20日間もの間身を拘束されてしまいます。

 

そして,勾留期間までの捜査結果をもって,検察官は被疑者を起訴するかどうか決めます。

弁護士がどれだけ早く弁護活動を始めるかによって,その後の処分が大きく変わる可能性があります。

法律事務所ロイヤーズハイは,夜間・休日も対応化可能な法律事務所です。経験豊富な弁護士が,ご自身やご家族をサポートします。ぜひ,ぜひ,法律事務所ロイヤーズハイにご相談ください。

このコラムの監修者

  • 田中今日太弁護士
  • 弁護士法人 法律事務所ロイヤーズ・ハイ

    田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録

    弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、性犯罪事件、窃盗・横領などの財産事件、暴行傷害などの暴力事件などで多数の不起訴経験あり。刑事弁護委員会所属。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。

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