爆破予告で逮捕!まさか自分が…知っておくべき威力業務妨害罪の基礎知識 - 刑事事件に強い大阪の弁護士法人ロイヤーズハイ

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爆破予告で逮捕!まさか自分が…知っておくべき威力業務妨害罪の基礎知識

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爆破予告で逮捕!まさか自分が…知っておくべき威力業務妨害罪の基礎知識

インターネットは今やだれでもアクセスすることが出来,自由に書き込みが可能です。しかし,仲間内ではふざけていただけであっても,爆破予告は社会的には大きな問題になりかねません。

今回のコラムでは,爆破予告をした際に成立する可能性のある犯罪や,逮捕されるかどうかを解説します。

1 爆破予告とは?どんな行為が該当するの?

最近の爆破予告・犯行予告は,電話やFAXではなく,SNSや,インターネットの掲示板で行われることが多いです。

不特定多数が見ることが出来る掲示板に,「爆弾を仕掛けた」などと書き込むことが典型的なパターンですが,具体的な手段を明かすことなく大勢を殺すなどの張り紙を駅のトイレに貼ることも,爆破予告・犯行予告といわれます。

爆破,犯行の予告を行う場は,実際に犯行が行われる場に関係している必要はありません。

また,限られた数人が見ることが出来るサイトであっても,そこから不特定多数に広まる可能性を考慮すれば,爆破予告・犯行予告であると考えられます。

このように,犯行予告・爆破予告はかなり広い意味で捉えられています。

仮に書き込みを行ったのが中学生で,犯罪など到底出来ない状況であったとしても,匿名のインターネットでは真実らしく受け止められてしまいます。

過去には,このような犯行予告・爆破予告から実際に大規模なテロが起こった事実もありますから,遊びでも犯行予告・爆破予告を書き込むことは絶対にやってはいけません。

 

2 意外と知らない!威力業務妨害罪の法定刑

(信用毀損及び業務妨害)

第二百三十三条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

(威力業務妨害)

第二百三十四条 威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

 

⑴威力業務妨害とは

威力業務妨害罪とは,実力によって他人の業務を妨害する罪を言います。

 

①威力とは

爆破予告が「威力」にあたることは不自然に思われるかもしれませんが,ここで言う威力は,暴力よりもさらに広い意味で捉えられています。爆破予告は脅迫のようなものですから,偽計業務妨害罪ではなく,威力業務妨害罪が成立するのです。

具体的には,偽計業務妨害罪の例としては,「暴れている男がいる!」と嘘の110番をするケースが挙げられますが,「包丁を持って暴れてやる!」という犯行予告をすれば威力業務妨害罪になります。

 

②業務を妨害するとは

業務とは,人が社会生活において占める地位に基づき,反復・継続して行うことを言います。営利目的かどうかは問わす,宗教活動や政治活動,ボランティアも含まれます。

また,妨害とは,実際に妨害されたかどうかを問いません。

爆破予告・犯行予告によって,鉄道が運転を見合わせたり,イベントが中止になったり,教育機関の閉鎖などを招くことは,業務の妨害に該当します。

 

⑵量刑は?

威力業務妨害罪は,偽計業務妨害の量刑と同じく3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。

参考:公務執行妨害で逮捕されたらまずすべきこと!逮捕後の流れと対処法

 

3 威力業務妨害罪以外に問われる罪とは?

爆破予告・犯行予告は,威力業務妨害罪以外にも以下のような犯罪に当たる可能性があります。

 

⑴脅迫罪

(脅迫)

第二百二十二条 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

人に「爆弾を仕掛けた!」と告知を行い脅迫した場合には,脅迫罪が成立します。

量刑は,二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金です。

参考:「弁護士に相談する」と言うのは脅迫罪になる?成立要件と脅迫罪に問われた場合の対処法

 

⑵強要罪

(強要)

第二百二十三条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。

「爆弾を仕掛けた!起爆されたくなかったらイベントを中止しろ!」というように,義務のないことを無理矢理行わせたようなケースでは,強要罪が成立します。

量刑は,三年以下の懲役です。

 

⑶法人には脅迫罪・強要罪は成立しない?

脅迫罪,強要罪は共に対象を「人」と規定しています。

「人」には人間である自然人と,会社のような,権利義務の主体である法人の二つが存在します。

このうち,脅迫罪と強要罪は,自然人のみを被害者として規定していると考えられています。

理由としては,法人には「生命,身体」という概念がないこと,さらにこれらの罪が逮捕監禁罪などの人の自由を保護法益とする罪の中で規定されていることが挙げられます。

もっとも,法人そのものにむけた害悪の告知ではなく,むしろ法人に帰属する特定の人物に向けられたものであるとの事情があれば,脅迫罪や強要罪が成立する可能性もあります。

 

4 爆破予告で逮捕される?されたらどうなる?刑事手続きの流れと注意点

⑴爆破予告は逮捕される可能性がある

刑事手続きには,被疑者が逮捕された状況で捜査が進む身柄事件と,被疑者が逮捕されず,捜査機関に呼び出されて取調べを受ける在宅事件があります。

逮捕するかどうかは,証拠隠滅や逃亡の恐れの有無が判断基準になります。

このとき,爆破予告や犯行予告は,共犯者がいることを疑われてしまうと,共犯者が証拠の隠滅や逃亡の手助けを行う可能性があるとして,逮捕のおそれがあります。

 

⑵爆破予告で逮捕された後の刑事手続きの流れ

逮捕されると,まずは警察での取り調べが始まります。逮捕から48時間後に,検察官へと送致され,さらに取調べを受けます。検察官は,勾留請求を行うかどうかを決め,送致から24時間以内に,裁判官へ勾留請求を行います。勾留請求が認められれば,そこから10日間最長で20日間勾留されます。

その間に,検察官は被疑者を起訴するかどうか決めます。

不起訴には,嫌疑不十分,嫌疑なし,起訴猶予の三種類があります。

嫌疑なしとは,被疑者が犯罪を行っていないと言う意味です。嫌疑不十分とは,被疑者が犯罪を行っている疑いがあるが,立証が不十分であると言う意味です。一方,起訴猶予は被疑者が犯罪を行っていて,立証もできるが,反省の態度や被害者の処罰感情からみて,起訴をする必要がないと判断されることをいいます。

 

⑶少年事件の場合

爆破予告の被疑者が未成年の場合は,少年事件として扱われ,成人の場合と異なる刑事手続きとなります。

少年は逮捕された後,全員家庭裁判所に送られます。家庭裁判所では,少年が犯罪に至った経緯や家庭の事情,生育の環境,交友関係などを調べます。調査の結果,家庭裁判所は,少年の教育と更生に適した処分を下します。

この処分は,検察官送致(逆送),少年院送致,保護観察などがあります。

検察官送致は,犯罪が重大な場合,少年に更正の余地がない場合に,成人と同様に刑事罰を科すために刑事裁判にかける手続を言います。

少年院送致は,刑務所ではありませんが,定められた期間に身柄を拘束されるという点は変わりません。

保護観察では,学校や職場に通いながら,保護観察官の支援・指導の下教育や更生を図ります。

参考:息子・娘が逮捕されてしまった!家族がすべきこと

 

5 弁護士に相談するメリットとタイミングは?

⑴弁護士に相談するのは早ければ早いほど良い!

刑事手続きは,逮捕されてから三日で勾留請求が行われてしまいます。

勾留請求が認められれば,二十日間という長期間身体を拘束される可能性があります。

また,警察や検察官との取調べの中での供述は,調書を作成され,後の裁判で証拠になります。

取調べで不利な発言をしてしまうと,後に裁判で覆すことが難しくなります。

したがって,弁護士に相談するのは,早い段階で行うことをお勧めします。

もちろん逮捕されてから弁護士に相談することもできますが,逮捕される前に弁護士に相談し,自首同行を行うことも可能です。自首することで,逃亡や証拠隠滅の恐れが低く,逮捕の必要性がないことを主張できます。さらに自首前にその後の取調べのアドバイスを行うことも可能です。

 

⑵爆破予告・犯行予告は示談が難しい?贖罪寄付とは

爆破予告や犯行予告の被害者は,業務を妨害された法人であることが多いです。

このとき,電車の運行を見合わせたり,イベントを中止したり,学校を閉鎖したりした結果,被害総額はかなりのものになるでしょう。

示談とは,被害者に対して,加害者が弁償金や慰謝料を支払う代わりに告訴を取り下げること等を約束するものです。もし被害損額が甚大で,到底払えないのであれば,示談を成立さることは難しいでしょう。

そこで,示談の代わりに,弁護士会を通じて,公共団体に寄付をすることで反省の意思を主張する贖罪寄付という手段があります。

贖罪寄付の額は,ケースによって異なりますが,被疑者の経済状況も考慮して決まります。

 

6 まとめ

今回のコラムでは,爆破予告をした際に成立する可能性のある犯罪や,逮捕されるかどうかを解説しました。

単なるいたずらや,ストレスの発散のつもりでも,爆破予告や犯行予告は立派な犯罪です。

逮捕されてしまえば,職場や学校に通うことはできなくなるどころか,この先の人生にも影響を及ぼす可能性があります。

法律事務所ロイヤーズ・ハイは,刑事事件の実績のある弁護士が在籍しています。夜間・休日の対応も可能で,大阪の主要地,難波・堺・岸和田や神戸にオフィスを構える法律事務所ロイヤーズ・ハイにお任せください!

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このコラムの監修者

  • 田中今日太弁護士
  • 弁護士法人 法律事務所ロイヤーズ・ハイ

    田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録

    弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、性犯罪事件、窃盗・横領などの財産事件、暴行傷害などの暴力事件などで多数の不起訴経験あり。刑事弁護委員会所属。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。

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