児童ポルノをダウンロードしてしまった!自首するべき?
SNSの発展で、誰でも気軽に画像のアップロードやダウンロードが行えるようになりました。便利になっていく一方で、児童ポルノのやりとりなどの犯罪の温床となっている場合も少なくありません。
軽い気持ちでただ画像をダウンロードしただけでも、サーバーにはログが残っていますし、被害者の訴えから捜査が始まって、ある日突然逮捕されるなんてことも考えられます。
いつ逮捕されるかと怯えるよりも、弁護士に相談して自首を行うことで得られるメリットがたくさんあります。
この記事では、児童ポルノ罪についてと、自首した場合のメリットを解説していきます。
1 児童ポルノとは
児童ポルノとは、簡単に言うと「実在する18歳未満のわいせつな画像や動画」のことを指します。
「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」によると、わいせつな画像や映像とは、以下のようなものを指します。
⑴児童を相手にしている、または児童同士による性交や性交類似行為
⑵他人が児童の性器等を触る行為や児童が他人の性器等を触る行為で、性欲を興奮させ又は刺激するもの ⑶衣服の全部や一部を着けない児童の姿で、殊更に児童の性器やお尻、胸などを強調、露出した姿であって、性欲を興奮させ、刺激するもの |
(2)や、(3)は、「性欲を興奮させまたは刺激するもの」でなければ児童ポルノには当たりません。
具体的には、家族でお風呂に入ってる写真などは、これに当たらないとして、所持していても罪に問われることはありません。
2 所持しているだけで犯罪になる?
「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」は改正により、7条1項で、単純所持であっても一年以下の懲役または百万円以下の罰金に科せられます。
この単純所持とは、性的好奇心を満たす目的で、18歳未満の児童と知りながら、自己の意思に基づいて、児童ポルノを所持することをいいます。
つまり、インターネットでわいせつな画像をダウンロードするだけで、この法律によって罰せられます。
3 児童ポルノを所持すればバレる?
携帯やPCに保存したわいせつな画像が、捜査機関にバレる可能性は低いのではないかと考える方も多いと思います。
しかし、一概にそうは言えません。
今日、児童ポルノが社会的に問題となっており、警察等の捜査機関は、児童ポルノを厳しく取り締まっています。ウェブでのネットパトロールも強化されています。
このような犯罪の捜査に特化したサイバー警察は、児童ポルノが掲載されているウェブサイトやSNSのログから、児童ポルノをダウンロードした者を発見し、逮捕に踏み切る場合があります。
また、SNSを通じて知り合った児童から児童ポルノを入手した場合、その児童が親や周囲の大人に相談することもあり得ます。
児童ポルノの単純所持罪だけで、逮捕されることはないと言い切ることはできません。
4 突然逮捕されないために
児童ポルノの所持が何らかの方法で捜査機関にバレ、突然逮捕されると、家族や周囲の人に逮捕の事実が伝わってしまいかねません。
さらに、取調べのための身体拘束で、職場にまで逮捕されたことが知られてしまうかもしれません。
児童ポルノの単純所持罪の公訴時効は三年です。
公訴時効は行為が終わってから進行するため、児童ポルノを削除してから三年経過することが必要です。
この期間中ずっと、逮捕されたらどうしようと怯えて過ごすより、自首をして日々の精神的な苦痛から解放されることをおすすめします。
(1)自首のメリット
逮捕への恐怖から解放されること以外にも、自首することで、次のようなメリットがあります。
①身体拘束
自ら罪を認めたことで、証拠隠滅や逃走の可能性がないという判断され、身柄拘束されずに在宅捜査が行われたり、起訴後に保釈が認められやすくなります。
②示談
自ら罪を申告したという事実は、反省の意が大きいという主張に繋がります。
児童ポルノに関する犯罪の場合、示談の相手方は児童の保護者ですから、被害感情がとても強く、示談を行うのが厳しいのが現状です。
被害者家族に反省の意が伝わることがとても大切です。
③任意的減刑
刑法42条は、「減刑することができる」と規定しています。
できる、と規定されている通り、必ずしも減刑されるわけではありませんが、刑罰を決めるうえで考慮される可能性は十分にあります。
④起訴・不起訴処分(起訴猶予)
検察官がその事件を起訴するか不起訴にするかを判断するときには、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重、情状、犯罪後の情状が考慮要素になるとされています。
児童ポルノに関する犯罪は、少年の心身に有害な影響を及ぼし、健全な育成を著しく阻害する重い犯罪ですが、自首することで、「犯罪後の情状」を考慮する点でプラスに働くことが考えられます。
5 弁護士による自首同行
自首が認められるには、発覚前に犯罪事実を捜査機関に申告し、処分を委ねることが必要です。
もっとも、自分の犯した罪について正確に説明し、きちんと反省の意を伝えるのは、一人では難しいと思います。
そこで、弁護士にご相談頂き、事前に打ち合わせを行って事実の確認や供述の整理を行うことをおすすめします。
もちろん、自首当日も弁護士が同行することができます。
自首当日に事件の管轄のある警察署に自首を行うことを伝え、本人に同行します。
自首を行う際にはそのまま任意の取り調べを受けますが、同行している弁護士が、その取調べのアドバイスをすることができます。
取調べの内容は供述調書として後の捜査の証拠となりますから、取調べの中で、罪を償う意思があることが伝わるのが大切です。
また、家族や職場にバレることがないように、身柄拘束の必要性がないことを主張できますし、今後の連絡について弁護士を通すようにお願いすることもできます。
6 おわりに
この記事では、児童ポルノの単純所持罪と、自首によるメリットを紹介しました。
罪と向きあうことが、更生への一歩です。
ぜひ弁護士に相談のうえ、ご検討ください。
弊所では児童ポルノ事件、刑事事件を多く取り扱っており、刑事事件に関する交渉、裁判について経験及び知識の豊富な弁護士が多数在籍しております。
児童ポルノ事件の自首でお悩みの方は、大阪市・難波(なんば)・堺市の法律事務所ロイヤーズ・ハイにぜひともご相談くださいませ。
【関連する記事】
このコラムの監修者
-
田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録
弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、性犯罪事件、窃盗・横領などの財産事件、暴行傷害などの暴力事件などで多数の不起訴経験あり。刑事弁護委員会所属。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。