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性犯罪の無罪を貫くには

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性犯罪において、自分がやっていないにも関わらず犯罪者として扱われてしまう「冤罪事件」は多く見られます。例えば、満員電車の中でただ近くにいたというだけで痴漢の犯人と間違われてしまうこともあります。

もし、自分はやっていないのに性犯罪の加害者だと言われ、刑事事件にまで発展してしまった場合、無罪を貫くためにはどうすれば良いのでしょうか?

日本の刑事事件において、起訴後の有罪率は99.9%とも言われ、一度起訴されてしまった場合はほぼ確実に有罪判決が下されてしまいます。

今回は、冤罪なのに性犯罪の被疑者となってしまった場合の対処法についてご紹介します。

関連コラム:痴漢冤罪で逮捕された時の対処方法

 

1 性犯罪の検挙件数

性犯罪と一口に言っても様々な種類があります。
それぞれの検挙率を見てみると、平成30年度時点での強姦(強制性行等)の検挙率は91.0%、強制わいせつだと80.3%、略取誘拐・人身売買は93.1%、強盗は87.2%になっています。

参考:警察庁|平成30年の刑法犯に関する統計資料

比較的高い検挙率を誇っていますが、強制わいせつは認知件数が非常に多い反面、平成21年時点ではわずか53.0%という半分程度の検挙率しかありませんでしたが、この約10年で検挙率も大幅に増加しています。

一方、強制性行等は平成28年には98.1%の検挙率が、ここ2、3年で徐々に下がり始めています。

また、平成29年の迷惑防止条例違反における痴漢事犯の検挙件数は2,934件、同じく強制わいせつの認知件数は269件です。

参考:生活安全の確保と 犯罪捜査活動 警察庁

このように、毎年様々な性犯罪が発生し検挙されている状況です。検挙においては、1996年から警察庁では被害者対策要綱を策定し、より被害者が相談しやすいように取り組みを実施してきました。

鉄道警察隊でも女性被害相談所が設置され、届け出の受理も女性警察官が行うように対応しています。また、検挙率の増加においてはこれまで悪質な事例を除けば警察に捕まってもすぐに厳重注意のみで釈放されてしまう微罪処分となるケースが多かったのですが、現在は各都道府県の迷惑防止条例が適用されたことで刑事罰扱いとなり、検挙数が増えたと考えられます。

しかし、性犯罪の検挙件数が増える一方で、冤罪事件も多く発生するようになりました。
特に、電車やバス内での痴漢はどこから手が伸びているのか、誰が触っているのか分からない状況で、被害者もパニックに陥っていることで犯人と間違えられてしまうケースが多いです。

 

2 性犯罪の冤罪が生まれてしまう理由

性犯罪、特に痴漢の冤罪が生まれてしまう理由の一つに、被害者供述の証拠位置付けが高い点が挙げられます。
被害者からの供述は刑事裁判だと「供述証拠」になります。供述証拠は信用性が高ければ、供述の内容はそのまま証拠となるでしょう。

例えば痴漢の犯人ではないのに、被害者が「この人がいきなり体を触ってきました」と言えば、他の信用性が高い証拠が見つからない限り供述証拠として認められてしまう可能性が高いのです。

しかも痴漢は他の目撃者がいれば良いのですが、目撃証言をしてくれる人は見つからないケースもあります。

また、痴漢の犯人として駅員室まで連れて行かれ、その後「詳しい話を聞くから」と警察署に連行されてしまうのでまともに話を聞いてくれない状況が続きます。

しかも起訴となり裁判にかけられてしまうことになれば、日本の有罪率の高さから見ても無罪を勝ち取ることは非常に困難でしょう。こうした背景により、痴漢の冤罪が生まれやすいと言われています。

 

3 冤罪なのに性犯罪の被疑者となってしまった場合の対処法

自分は冤罪にも関わらず、性犯罪の被疑者となってしまった場合、どうすれば良いのでしょうか?

 

⑴その場から逃げない

まず、事実とは異なるのに被疑者と疑われてしまった時に捕まらないよう逃げ出してしまえば特定されることも難しく、警察から捜査されずに済むかもしれません。

しかし、被害者が事件を起訴しあなたが犯人の被疑者と特定されると、警察はやってきて逮捕してしまいます。逃げる前に身元を証明していなかったとしても、防犯カメラの映像や目撃証言を頼りにあなたの元へやってくるでしょう。

そうなると、一度逃げてしまったことから裁判でも状況証拠につながり、有罪となる可能性が非常に高まってしまいます。

そのため冤罪だったとしてもその場からすぐに逃げ去るのは良い方法とは言えません。
また、いくらその場で名刺や身分を証明できるものを出していたとしても、迷惑行為防止条例の法定刑は懲役刑もあることから、現行犯逮捕されずに済むわけではないので注意しましょう。

 

⑵目撃者を探す

駅員室へ向かう前に目撃者を探すことをおすすめします。痴漢している犯人を見た人でも良いですし、あなたが被害者を痴漢していないことを知っている人でも構いません。
とにかく駅員室へ連れて行かれる前に、すぐ目撃者を探しましょう。

ただし、必ずしも目撃者が現れるというものでもありません。
目撃者が現れなかったとしたらすぐに弁護士へ相談するようにしましょう。
場合によっては弁護士が交渉することで現行犯逮捕をされずに済む可能性もあります。

 

⑶自分はやっていないことを伝える

駅員はマニュアルに沿い、警察へ通報するケースが多いですが、きちんと自分はやっていないことを伝えることが大切です。

この時の態度が後々の裁判で有力な証拠につながる可能性があります。例えば、駅員室に連れて行かれてからオドオドした態度・しどろもどろな言葉になってしまうと、駅員も犯人なのではないかと疑ってしまいます。

しかし、堂々とした態度ではっきりと犯行を否定していれば、駅員も本当に犯人ではない可能性があると思い、他の証人を見つけようと動いてくれる場合もあるでしょう。

特に痴漢は冤罪の被害も多い事件の一つです。
証人が見つかれば裁判でも無罪を勝ち取ることはできます。

 

⑷家族を警察署に呼ぶ

冤罪となった場合、逮捕や勾留によって長期間留置所で身柄を拘束されてしまうこともあります。勾留されてしまうのは罪証隠滅や逃亡の恐れがある時などが理由となります。

そのため、弁護士から家族に連絡してもらい、警察署に来てもらって身柄引受書を提出すれば逮捕・勾留を免れることもできるのです。

家族と連絡を取りたい

 

⑸一刻も早く弁護士へ相談する

冤罪で逮捕されてしまうと、長い取り締まりや勾留期間が待っています。この時、「早く自宅へ帰りたい」「早く釈放されたい」という思いから、虚偽の自白をしてしまうケースは多いです。

もし虚偽の自白をしてしまった場合、後から撤回することは非常に困難となります。自分がやっていないという確固たる証拠が見つからない限り、虚偽の自白が撤回され無罪を勝ち取れる可能性は低くなるでしょう。

また、虚偽の自白後に調書へ署名してしまうと、その内容に誤りがないことを認めてしまうため、より覆ることは難しくなります。

刑事事件の手続きは一つ間違えてしまうと、一気に不利な状況へと追い込まれてしまう可能性があります。

そうならないためにも、法律の専門家である弁護士には早めに相談した方が良いのです。
万が一こういったトラブルに巻き込まれてしまってもすぐに相談できるように、あらかじめ自分との相性が良い弁護士を探しておくと良いでしょう。

無実・無罪を証明してほしい

 

4 まとめ

性犯罪は非常に卑劣な行為ではありますが、中には冤罪で逮捕されてしまうケースもあります。性犯罪で冤罪を生み出されてしまう理由は被害者の声に大きく影響されてしまうためです。

被害者も混乱していて犯人と間違えてしまう場合もあるかもしれません。
この時、自分は犯人ではない、やっていないとはっきり伝え、弁護士へ早めに相談するとトラブルの解決につながりやすくなります。

いくら自分がやっていなかったとしても現場から逃げてしまうと、犯人であると勘違いされてもおかしくない状況になってしまうので十分注意しましょう。

このコラムの監修者

  • 田中今日太弁護士
  • 弁護士法人 法律事務所ロイヤーズ・ハイ

    田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録

    弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、性犯罪事件、窃盗・横領などの財産事件、暴行傷害などの暴力事件などで多数の不起訴経験あり。刑事弁護委員会所属。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。

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