家族が万引きで現行犯逮捕されてしまった!逮捕後の流れと救う方法 | 法律事務所ロイヤーズ・ハイ

家族が万引きで現行犯逮捕されてしまった!逮捕後の流れと救う方法

 

 

警察から,突然,コンビニエンスストアで子供や配偶者が万引きをしたので逮捕しますとの電話がかかってきたら,多くの人が困惑するでしょう。

警察から伝えられる情報からは,具体的な事情が分からないことも多く,いつ家に帰ってくることができるのか?弁護士に依頼することで何が変わるのか?そんな不安な気持ちになってしまうかもしれません。

この記事では,家族が万引きで逮捕された時の解決策を解説します。

 

 

1 家族が万引きで現行犯逮捕されたらまずすべきこと

(1)万引きは軽い犯罪ではない

万引きで逮捕された場合,万引き罪という罪はなく,窃盗罪(刑法235条)が成立します。

第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 

窃盗罪は,他人の財物を,その人の意に反する形で自分のものにしようと窃取する犯罪です。

万引き行為は,お店の財物である商品を,お金を払うことなく自分のものにするつもりで盗んしまうので,窃盗罪が成立します。

窃盗罪の刑罰は、50万円以下の罰金または10年以下の懲役刑です。

万引きで現行犯逮捕された場合に気を付けなければならないのは,逮捕されることを恐れて,目撃者やお店の人に暴力をふるったようなケースです。

第二百三十八条 窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

第二百三十六条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。

 

この時,その場の状況によっては,窃盗罪ではなく,事後強盗罪が成立する可能性があります。

つまり,万引きは強盗罪と同じ罪を犯したことになるのです。

強盗罪は,五年以上の有期懲役です。罰金刑はありません。

このように,たかが万引きと思っていても,重い罰則が科せられる可能性があるのです。

もちろん,事後強盗罪が成立しなくても,常習性や損害額によっては窃盗罪でも軽いとは言えませんし,起訴されてしまったら,日本の刑事裁判では99.9パーセント以上の確率で有罪判決が下され,前科がつきます。

 

参照:万引きで逮捕された時の対処法

 

(2)未成年でも現行犯逮捕されます

万引きは,未成年の子供が手を染めてしまうことも多くあります。

子供のしたことだからといって,大目に見てもらえるわけではありません。

14歳以上であれば,20歳未満の未成年であったとしても,成人と同じく刑罰が科される可能性があります。

14歳未満であれば,刑事責任を問われることはありませんが,児童相談所に送られることがあります。

14歳以上の少年事件の場合と,成人事件は,そもそも刑罰の目的や,刑事手続き,審判も大きく異なります。

万引きで現行犯逮捕されたのち,犯罪の嫌疑(疑い)があるされると,すべて家庭裁判所に送致されます。

家庭裁判所に身柄を送致された未成年は観護措置をとられ,少年鑑別所に収容されます。

ここでは家庭環境や,生活の様子,性格などが調査されます。

調査の結果,審判が必要と判断されれば,処分が決定されます。

不処分になることもありますが,少年院への送致や,保護時観察,児童支援施設処分になる可能性もあります。

あくまでも矯正の為の教育なので,成年の場合の罪を償うという考えとは異なります。

ただし,刑事処分が必要であると判断されてしまえば,成人と同様の刑罰を受けることになるのです。

 

参照:少年事件

参照:少年事件と成人(成年)事件の違い

 

(3)すぐに弁護士に依頼しましょう

家族が万引きで現行犯逮捕されたときにまずするべきことは,すぐに弁護士に相談することです。

刑事事件の対応は,弁護士にしかできないことが多くあります。

たとえば,弁護士は,現行犯逮捕された後,取り調べのために連行された被疑者と面会することができます。

接見禁止措置がとられている被疑者は家族と面会できませんから,現行犯逮捕された後,連絡を取ることは難しくなります。

そこで,弁護士が面会することで,直接事情を聞き,事件の詳細を把握することができます。

逮捕されるとすぐに取り調べが行われますから,弁護士が取り調べのアドバイスを行うこともできます。

現行犯逮捕は冤罪の可能性が少ないと言っても,身に覚えのない事実はきちんと否定することが大切です。

他にも,被害者との示談も,弁護士に任せるべきです。

どこのお店で万引きしたのか警察が教えてくれないこともありますし,連絡先をしていたとしても,加害者と被害者の話し合いは難航することが多いです。

第三者である弁護士が間に入ったほうが,円滑に示談が進むでしょう。

 

参照:窃盗・万引きで事件になった場合は弁護士に示談交渉など相談

 

2 家族が万引きで現行犯逮捕された後の流れ

 

刑事訴訟法第212条

第1項

現に罪を行い、又は現に罪を行い終つた者を現行犯人とする。

第2項

左の各号の一にあたる者が、罪を行い終つてから間がないと明らかに認められるときは、これを現行犯人とみなす。

一 犯人として追呼されているとき。

二 贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。

三 身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき。

四 誰何されて逃走しようとするとき。

 

刑事訴訟法第213条 

現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。

 

現行犯逮捕とは,犯罪が行われている正にその場,または終わった直後であるために,誤認逮捕が少なく,証拠隠滅・逃亡の恐れという緊急性が高いことから,令状が無くても逮捕できることを言います。

万引きGメンなどの特集をテレビで見たことがある人もいるかもしれません。

彼らが万引き犯を逮捕することができるのは,この現行犯逮捕に該当するために,一般人による私人逮捕が可能になるからです。

もっとも,その後の流れは,通常逮捕と代わるところはないです。

現行犯逮捕された時から48時間以内に検察官に送致されます。

もっとも,万引きが初犯で損害が軽微であれば,微罪処分で終わることもあります。

微罪処分が決まれば,指紋の採取・写真撮影などの手続きののち,釈放されるでしょう。

微罪処分とするには悪質性が高いと判断されてしまえば,送致後24時間以内に検察官による勾留請求が行われます。勾留されてしまったら,最長20日にわたって拘束されます。

その間に起訴・不起訴の判断が下されるのです。

起訴されれば、原則2か月勾留され、以後1か月単位で勾留が更新されます。

 

参照:一般人による逮捕

 

3 万引きで現行犯逮捕された家族を救う方法

(1)釈放請求を行います

現行犯逮捕された時点で,少なくとも3日間の身柄拘束が行われます。

それだけでも日常生活への影響は大きいですが,釈放されずに勾留が決定してしまったら,さらに最長で20日間も身柄を拘留されてしまいます。

そこで,釈放の決定を得て早期に身柄を解放してもらうことがとても大切です。

釈放に向けて重要なのは示談です。被害者との示談が成立すれば,かなり有利な状況になります。

示談以外にも,万引きが初犯で,余罪がないこと,逃亡・証拠隠滅のおそれがないこと,家族の監督が期待できるため,今後の身柄拘束の必要性がないことなど,弁護士が,釈放に向けてできるだけ有利になるような事情を主張します。

 

参照:勾留されてしまった…いつになれば釈放されるの?

 

(2)万引きは繰り返します

万引きは、残念ながら再犯率が高い犯罪です。自分では盗みたくないと思っていても,盗んでしまう,ということがあります。何度も万引きを繰り返す,お金を持たせているのに万引きをしてしまう,必要のないものばかり万引きする。

このようなケースでは,もしかするとクレプトマニア(窃盗症)かもしれません。

クレプトマニアは,窃盗行為を行う緊張感や達成感に依存している,精神障害のうちのひとつです。

しかし,クレプトマニアであっても刑事罰は免れることはできないでしょう。

責任能力がないと判断される可能性が極めて低いからです。

常習性があるという側面のみ注目されて,刑が重くなってしまうことも考えられます。

もっとも,刑事罰でクレプトマニアが治療されるわけではありません。

治療が行われない限り,再犯に繋がってしまいかねません。

クレプトマニアは,万引き行為に依存していて,自制が効かずやめられなくなっていることが多いです。

他の精神疾患が原因となっていることも考えられます。

一人で解決できるものではありませんから,専門家による治療と,家族のサポートが必要不可欠です。

クレプトマニアの診察を行っている精神科の受診やカウンセリングを受けましょう。

 

参照;家族にクレプトマニアがいる場合の対処法

 

4 まとめ

今回の記事は,万引きで家族が現行犯逮捕された時にできることについて解説しました。

万引きは軽い犯罪ではありません。

家族が万引きで現行犯逮捕されてしまったら,できるだけ早く社会復帰ができるように,すぐに弁護士に相談しましょう。

弁護士にも,得意な分野とそうでない分野がありますので,刑事事件に強く経験が豊富な弁護士に相談することをお勧めします。

法律事務所ロイヤーズハイは,各種の刑事事件に積極的に取り組んでおり、万引き事件の被疑者の方の弁護活動実績も高いです。

ぜひご相談ください。

このコラムの監修者

  • 田中今日太弁護士
  • 弁護士法人 法律事務所ロイヤーズ・ハイ

    田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)
    弁護士ドットコム登録

    弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。
    大手法律事務所で管理職を経験し、性犯罪事件、窃盗・横領などの財産事件、暴行傷害などの暴力事件などで多数の不起訴経験あり。刑事弁護委員会所属。
    お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。

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