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詐欺の「受け子」として逮捕されたらその後どうなる?刑罰の内容と対処法

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詐欺の「受け子」として逮捕されたらその後どうなる?刑罰の内容と対処法

 

インターネットで知り合った人から「いいバイトがある。お金を預かってほしい。」と頼まれ口座を貸したが、その人が詐欺グループの一員だったことが発覚し、警察に逮捕された。自分は詐欺に加担したつもりはなかったが、どのような罪に問われるのか。刑罰はどのくらい重くなるのか。弁護士に依頼すべきか。

最近ニュース等で耳にすることの多い「闇バイト」。このおいしい話が,知らないうちに罪を犯すことになっているかもしれません。

今回は詐欺罪の受け子を「闇バイト」として引き受けてしまったとき,どんな犯罪が成立するのか,逮捕されてしまった後の流れについて解説します。

 

 

1 詐欺の「受け子」として逮捕されたら、その後どんな罪に問われるの?

 

(1)詐欺グループによる詐欺は,組織的詐欺罪が成立します。

まず,刑法には詐欺罪が存在します。

(詐欺)
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

 

ここに規定されている通り,詐欺罪とは,人を騙して,その人の意思で財物を処分させることで成立します。

「お宅の息子さんが,会社で問題を起こしてしまった」などと嘘をつき,解決金と言って現金を振り込ませるような行為には詐欺罪が成立します。

詐欺罪の量刑は10年以下の懲役刑です。

罰金刑が規定されておらず,かなり重い刑が科されています。

 

もっとも,近年,オレオレ詐欺などの特殊詐欺行為を含む犯罪行為が,組織的に行われるケースが多発しています。

そこで,平成11年に,組織的な犯罪に対処するため、組織的な犯罪の刑を加重し、また犯罪収益を規制する法律が成立されました。

正式名称を組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律といいます。

組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律

(組織的な殺人等)

第三条 次の各号に掲げる罪に当たる行為が、団体の活動(団体の意思決定に基づく行為であって、その効果又はこれによる利益が当該団体に帰属するものをいう。以下同じ。)として、当該罪に当たる行為を実行するための組織により行われたときは、その罪を犯した者は、当該各号に定める刑に処する。

(省略)

十三 刑法第二百四十六条(詐欺)の罪 一年以上の有期懲役

 

組織的詐欺罪が成立すると,刑が加重されます。

具体的には,1年以上の有期懲役が規定されています。

一般的な詐欺罪が10年以下の懲役刑であることと比べて,どう加重されたのか分かりにくいかもしれません。

一般的な詐欺罪は,最長10年と定めているのに対し,組織的詐欺罪の量刑は,懲役刑の上限が設けられていないことにお気付きでしょうか。

 

刑法は,有期懲役の場合,最短で1ヶ月,最長で20年の懲役刑を科すことができると規定しています。(刑法12条1項)

つまり,組織的詐欺罪が成立すると,懲役20年間という,非常に長期にわたって刑務所で身柄を拘束されることになる可能性があるのです。

参照:詐欺する人と詐欺にあう人

参照:高齢者を狙う様々な詐欺の手口

参照:銀行口座に身に覚えのない入金や送金(心当たりのない振込)。これは詐欺?使えば何罪?

 

(2)詐欺罪の受け子とは?

詐欺罪の受け子とは,詐欺行為によって詐欺を信じ込んだ被害者から,お金を受け取る役のことを言います。

実際にお金を受け取ることもあれば,口座だけ用意する場合もあります。

組織的な詐欺は,受け子の他に,詐欺被害者に電話をかける「かけ子」,口座からお金を引き出す「出し子」,高額のバイトと称して募集した人員に指示を出す「リクルーター」などがあります。

 

(3)事情を知らなくても受け子をしただけで逮捕される?

① 未必の故意とは

犯罪が成立するには故意(刑法38条)が必要です。

故意とは,犯罪の結果に対する認識・認容を言います。

例えば,「殺す」と思いながら,包丁で人を刺したのであれば,殺人罪の故意があるとみなされます。

では,「殺すつもりはなかった」と犯人が言っている場合,故意がなかったとして殺人罪が不成立となってしまうのでしょうか。

 

結論から言うと,故意は認められます。

故意には,未必の故意というものがあります。

「包丁で人を刺せば,死ぬかもしれないけれど,まあいいか」と,犯罪の結果が生じる可能性を認識・認容していることを言います。

 

詐欺罪の受け子に関しても,同様です。

詐欺罪の受け子だという話は聞いていなかったとしても,オレオレ詐欺を含む特殊詐欺についてのニュースや注意喚起があふれている現在では,オレオレ詐欺やその手口等について知らない人はほとんどいないでしょう。

なぜ口座を貸す必要があるのか?なぜそれだけでこんなにもバイト料をもらうことができるのか?誰にも言うなと言われた,このバイトは怪しい,もしかすると犯罪に巻き込まれているのかもしれない,最近流行りの特殊詐欺ではないか?

このように思いながら言われるがまま口座を貸してしまったら,詐欺罪の結果の可能性を認識・認容していたとして,未必の故意が認められてしまいます。

 

② 共同正犯が成立してしまう可能性があります

自分は誰も騙していないし,お金を受け取っただけで,詐欺罪について何も知らないのに,詐欺罪の犯人になるんですか?

確かに,お金を受け取っただけで詐欺したことになるのは違和感が大きいかもしれません。

(共同正犯)

第六十条 二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。

 

刑法には,「共同正犯」と言う言葉があります。

日常生活で言うところの共犯とあまり相違のない意味で,複数の者が同じ犯罪にかかわることを指します。

もっとも,刑法の共犯が成立するには,犯罪を実現する意思を持って,実際に犯罪行為を行うことが必要になります。

オレオレ詐欺のような特殊詐欺罪は,分担して行われることが多いため,共同正犯が認められやすい犯罪です。

お金を受け取るという重要な役割を行っていること,指示役からの指示を逐一受けていたこと,報酬が高額であることなどから,共同正犯が成立し,他の犯行メンバーと同様に詐欺罪が成立してしまうのです。

共同正犯が成立した結果,お金を受け取っただけでも詐欺罪の正犯として,主犯格と同様に罰せられてしまいます。

 

③ 幇助罪も立派な犯罪です!

携帯を貸しただけ等,特殊詐欺の役割分担の中でも役割が小さい,報酬も低額であるようなケースでは,共同正犯ではなく幇助罪に留まることがあります。

(幇助)

第六十二条 正犯を幇助した者は、従犯とする。

 従犯を教唆した者には、従犯の刑を科する。

(従犯減軽)

第六十三条 従犯の刑は、正犯の刑を減軽する。

 

幇助罪とは,犯罪そのものを行ってはいないものの,犯罪の遂行を容易にする行為を言います。

幇助罪は,正犯である詐欺罪の刑が減刑されますが,幇助罪も立派な犯罪です。

逮捕され,身体拘束をされた後,有罪判決が出れば,刑務所に収容される可能性があります。

 

2 詐欺の「受け子」として逮捕されたらどうなる?

 

(1)成人の場合

詐欺で逮捕されたら,そのまま警察署に連行され,取り調べが始まります。

警察は,取り調べた結果をもとに,逮捕されてから48時間以内に,検察官に送致するか決めます。

検察官に送致された場合,そこから24時間以内に,検察官が勾留請求を行うかを判断します。

勾留請求か,釈放かは,反省しているか,逃亡・証拠隠滅の恐れがないか,被害者との示談を行っているか等が考慮されます。

詐欺罪の場合,他の犯行メンバー全員が逮捕されていなければ,証拠隠滅・逃亡の可能性が高いと判断されかねません。

 

裁判官が検察官の勾留請求を許可すると,そこから10日間,最大で20日間もの間身を拘束されてしまいます。

勾留期間までの捜査結果をもって,検察官は被疑者を起訴するかどうか決めます。

起訴されたら,日本の刑事裁判は99%以上が有罪判決を下されます。

初犯や,量刑が軽い罪であれば,裁判官から刑を言い渡される際に,執行猶予がつくこともあります。

もっとも,前述したとおり詐欺罪は量刑がかなり重い刑ですので,初犯でも実刑判決が下され,刑務所に収容される可能性は十分にあり得ます。

 

(2)少年の場合

14歳を超える少年事件は,成人事件とは逮捕後の流れが異なります。

少年の今後の処遇を決めるために家裁調査員による調査が必要になるので,「全件送致主義」が採られており,全ての事件が捜査機関(警察・検察)から家庭裁判所に送られます。

そして,家庭調査官は,少年の調査結果に併せて,少年の処分に関する意見も調査報告書にまとめて,裁判官に提出します。

裁判官は,この調査報告書をもとに,少年に対する処分を決定します。

 

家庭裁判所の決定には,検察官送致(逆送),少年院送致,保護観察などがあります。

保護観察は,学校や職場に通いながら,保護観察官等の支援の下更生を図る制度です。

少年院送致は,刑務所ではありませんが,刑務所と同じように定められた期間内は身柄を拘束されます。

ここでは,生活指導や,職業補導等によって少年の更生を目指して教育が行われます。

 

もっとも,重大な事件であれば,成人と同様に刑に服するのが相当だと判断され,検察官へと逆送されます。

保護観察や,少年院送致は,あくまで保護処分である一方,検察官への逆送は,成人と同様の刑事手続きを行います。

逆送された事件は,検察官によって刑事裁判所に起訴され,刑事裁判で有罪となれば成人と同様に刑罰が科されます。

参照:少年事件と成人(成年)事件の違い

参照:少年事件

 

(3)特別少年の場合

少年法の改正は,令和3年5月21日に成立し,令和4年4月1日から施行されます。

今回の改正では,18歳・19歳の少年が,「特別少年」として扱われることになりました。

18歳・19歳に少年法が適用されることに変わりはありませんが,原則として検察官に逆送し成人事件と同様の手続きが行われる「原則逆送対象事件」の範囲が,かなり広くなったことが大きな変更点です。

今回の改正で新たに原則逆送対象事件となった犯罪の中には,組織詐欺罪も含まれます。

さらに,逆送が決定された事件は,18歳・19歳の実名報道が解禁されることになりました。

つまり,詐欺罪の受け子を行った18歳・19歳は,実名や写真を浮動される可能性があります。

 

3 逮捕されたらすぐに弁護士にご相談を

 

(1)詐欺罪で逮捕されたらその後の社会生活への影響がかなり大きいです

詐欺罪の受け子に限らず,逮捕されたら,一刻を争う事態になります。

逮捕されてから72時間後には勾留するかどうかが決定し,その後は最大20日間の身体拘束が行われてしまうので,会社や学校などに行くことは当然不可能です。

 

さらに,一つだけでなく,他の詐欺罪にも関わっていることが疑われてしまえば,再逮捕されてしまいます。

逮捕されたら,逃亡や証拠隠滅の恐れがあるとして接近が禁止されてしまう可能性が高いです。

接近禁止の状況下では,家族や友人も面会することができません。

家族や知人に会えない中で,捜査機関からの取り調べを受け続けては,やっていないこともやったと供述してしまい,自分に不利になる状況を作ってしまうかもしれません。

 

詐欺罪,組織詐欺罪は,その量刑がかなり重いです。

起訴されて有罪判決が下ってしまえば,その後の社会生活への復帰はかなりハードルの高いものになってしまいかねません。

 

(2)弁護士に相談しましょう

そこで,弁護士に一刻も早く相談するべきです。

弁護士は,接近禁止措置にある被疑者にも面会を行うことができます。

面会では,取り調べのアドバイスはもちろん,家族への伝言を行うことも出来ます。

さらに,被害者との示談においても,弁護士ができる限りのサポートを行います。

詐欺罪は,被害額が高額であることが多く,被害者感情もかなり強いです。

そもそも,加害者には,被害者の連絡先を教えてもらえないかもしれませんし,教えてもらったとしても,第三者であり法律知識の豊富な弁護士が間に入ることで,示談の成功率が格段に上がります。

 

少年事件であっても,弁護士に相談することをお勧めします。

少年事件においては,弁護士は付添人と言われます。

付添人は,法律的なサポートに留まらず,精神的なサポートも行いますから,早期に付添人がつくことで,少年との信頼関係を築くことが出来ます。

少年事件は本人や家族が犯罪と向き合うことが大切なので,保護者と連携をとって,今回のような事件を起こさないための家庭環境や交友関係の見直し等,改善策を一緒に考えていきます。

これらの活動の結果,更生の可能性が高いとして,弁護士が調査官や裁判官に意見書を提出したり,直接面会で説明したりします。

調査官が裁判所に提出する意見報告書は,裁判官が少年の処分を決めるうえで考慮されるので,裁判官だけでなく,調査官に対するアピールも大切です。

 

組織的詐欺罪が成立するとして,特定少年による犯罪が逆送されてしまったら,実名の報道や,刑期の延長など,今後の社会復帰や更生にかなり不利に働いてしまいます。

原則逆送対象事件は,家庭裁判所の調査官による調査の結果、犯行の動機、態様及び結果、犯行後の情況、特定少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない,と少年法に規定されています。

そこで,弁護士は,特定少年が逆送されることのないように,裁判官や調査官と面談し,迅速かつ積極的に,保護処分が相当であるとの意見を述べます。

参照:家族が逮捕されてしまった

 

4 詐欺罪の受け子で逮捕されたら,法律事務所ロイヤーズ・ハイにお任せください!

 

今回の記事では,詐欺罪の受け子で警察に逮捕された時に家族ができることを解説しました。

おいしいバイトだと思っていたのに,突然詐欺の疑いで逮捕されたら,だれでも困惑すると思います。

まずは落ち着いて,刑事事件のスペシャリストである弁護士に早期に依頼することをお勧めします。

夜間・休日の対応も可能で,大阪の主要地,難波・堺・岸和田にオフィスを構える法律事務所ロイヤーズ・ハイにお任せください!

刑事事件の実績が豊富な弁護士が,できる限りのサポートを行います。

このコラムの監修者

  • 田中今日太弁護士
  • 弁護士法人 法律事務所ロイヤーズ・ハイ

    田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録

    弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、性犯罪事件、窃盗・横領などの財産事件、暴行傷害などの暴力事件などで多数の不起訴経験あり。刑事弁護委員会所属。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。

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