銀行口座に身に覚えのない入金や送金(心当たりのない振込)。これは詐欺?使えば何罪? - 刑事事件に強い大阪の弁護士法人ロイヤーズハイ

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銀行口座に身に覚えのない入金や送金(心当たりのない振込)。これは詐欺?使えば何罪?

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ある日突然、自分の銀行口座に身に覚えのない現金が入金されていて、これ幸いとばかりに使ってしまった。こういったとき、罪に問われるのでしょうか?どちらかといえば、非日常なお話ですが、自衛手段として知っておきたい話題です。

 

1 ゆうちょ、銀行口座への誤入金を使い込んでしまったらどうなる?

まず、誤入金と知っていて使ってしまったのなら、罪に問われる可能性は高くなります。
簡単にいうと、窃盗罪や詐欺罪ですね。

一般的に誤入金は、「不当利得」というものに分類されます。不当利得とは、何の因果関係もないところで、正当な理由なく財産的な利益を得ることです。また、不当利得にあたる誤入金は、返還義務があります。これは民法703条からも明らかです。

第703条 (不当利得の返還義務)
法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。

 

自分が受け取るべきお金でないことはわかっている。こういう状態でお金を使ってしまうのは危険です。

実際、過去の最高裁の判決では、誤入金であることを分かった上で預金を引き出した場合は、詐欺罪(刑法246条1項)に問われるとしています。(最高裁平成15年3月12日判決)

ただしこれは窓口でお金を引き出した場合で、ATMで現金を引き出すと窃盗罪に問われる可能性が高まります。したがって、入金元の予測がつくのであれば、すぐに連絡して対応すべきでしょう。主な対処法としては、以下のようなものがあります。

・銀行のサポートデスクに連絡して振込人と連絡が取れないか確認する
・取引先や友人などからの入金ではないか確認する

ただし、単なる誤入金ではないこともあります。いわゆる闇金融による「押し貸し」です。

 

2 闇金融による押し貸しとは?入金詐欺?

最近はあまり話題になっていませんが、一時は闇金融による押し貸しの被害が報告されていました。押し貸しとは、「借り入れを希望していない人間の口座に、貸金業者が無理やりお金を振り込む(=貸し付ける)」行為です。これは金融庁でも悪質な貸金業者の手口として紹介されています。

“悪質な業者の例 押し貸し
契約もしていないのに勝手に銀行口座に現金を振り込み、法外な高金利の利息などを請求する。”

参考:金融庁「違法な金融業者にご注意!」

 

一度でも闇金融を使ったことがあると、その名簿が業者間で共有される可能性が高まります。そのとき、口座番号も一緒に出回るため、勝手にお金を振り込まれ、その代償として法外な利息を請求されるわけです。

もし、自分の銀行口座に入金されたお金の目星がつかず、過去に闇金融を使った(申し込んだ)経験があるのなら、この押し貸しを疑うべきかもしれません。では、押し貸しの被害にあったと思われる場合は、どのように対処すべきなのでしょうか。

 

3 押し貸しのデメリットやリスクは?

押し貸しにあった口座をそのままにしておくと、次のようなデメリットがあります。

 

⑴再度、押し貸しのターゲットになる

前述したように闇金融業者の間で名簿が共有されるため、別の業者からの押し貸しにあう可能性が高まります。

 

⑵闇金融業者の共犯やマネーロンダリングを疑われる

闇金業者の口座と現金のやりとりがあると、警察から闇金業者の共犯、もしくはマネーロンダリングとして疑われることがあります。

 

⑶口座の凍結や開設不可能

万が一、警察に疑われてしまうと、口座凍結や口座開設不可能といった事態が考えられます。
警察が銀行に口座凍結の要請を行い、日本国内では銀行口座が開設できなくなる可能性があるのです。ここまでいってしまうと、専門知識をもった弁護士でも対応が難しくなります。出来るだけ早い段階で相談すべきでしょう。

 

4 身に覚えのない入金や知らないお金が口座に勝手に振込まれてたら手を付けずに相談を!

このように、誤入金を勝手に引き出すと「詐欺罪」や「窃盗罪」に問われる可能性があります。また、誤入金を放置すると、闇金融とのトラブルに巻き込まれたり、関連性を疑われたりといった事態も想定されます。もし、本当に心当たりがないのなら、すぐに銀行へ連絡しましょう。同時に、弁護士への相談も視野に入れておくと安心できます。

このコラムの監修者

  • 田中今日太弁護士
  • 弁護士法人 法律事務所ロイヤーズ・ハイ

    田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録

    弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、性犯罪事件、窃盗・横領などの財産事件、暴行傷害などの暴力事件などで多数の不起訴経験あり。刑事弁護委員会所属。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。

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