庭など敷地内への住居侵入罪、住居侵入未遂について
1 住居侵入罪とは
住居侵入罪とは、正当な理由なく、居住者の意思に反して他人の住居に侵入する犯罪です。
以下で、要件を確認していきましょう。
⑴居住者の意思に反すること
住居侵入罪が成立するためには、居住者の意思に反することが必要です。
ただし「入るな」と言われているケースだけではなく、一般的に居住者が侵入を許諾しないと考えられるようなケースでは、住居侵入罪となります。
たとえば、下着泥棒の目的で人の家の敷地内に侵入すると、明確に「来るな」と言われていなくても住居侵入罪となります。
⑵敷地内に侵入
住居侵入罪の「侵入」は、住居(建物)内に立ち入ることには限定されません。
たとえば庭などの「敷地内」に侵入した時点において「住居」侵入罪が成立するので注意が必要です。
建物が塀で囲われている場合には、塀の中に侵入すると犯罪が成立します。
⑶住居
住居侵入罪は「住居」とは言っても、人が居住する「家」には限定されません。
たとえば、ホテルや飲食店なども含まれますし、艦船も住居侵入罪の侵入対象になると考えられています。
広く建造物や船などが含まれると考えると良いでしょう。
2 住居侵入未遂罪について
住居侵入罪には未遂罪があるので、侵入しようとして失敗したケースでは、住居侵入未遂罪として罪に問われることになります。
3 過失犯はない
住居侵入罪が成立するためには、住居侵入の故意が必要です。過失犯は処罰されません。
そこで、気づかない間に他人の敷地内に入ってしまっていた、という場合には、住居侵入罪に問われることはありません。
4 不退去罪について
住居侵入罪と似た犯罪類型として、「不退去罪(ふたいきょざい)」があります。
この犯罪は、もともと建築物内に立ち入る許可を得ていたのですが、住居権者から出ていくように言われたときに、退去しないで居座る犯罪行為です。
たとえば、訪問販売で他人の家に行ったときに、当初は家の中に招き入れられたけれども、居住権者が「やっぱり要らないので、帰って下さい」と言ったとき、「買うまで帰らない」などと言って居座ると、不退去罪となります。
5 住居侵入罪の刑罰
懲役3年以下または10万円以下の罰金
6 住居侵入で逮捕されたら、弁護士にご相談下さい
住居侵入で逮捕されるケースは、のぞきや下着泥棒、盗撮、ストーカーなどが問題となっていることが多いです。
また、現行犯逮捕される事例が多いのも、この犯罪の特徴です。
逮捕された場合、住居侵入罪それ自体の刑罰は軽くても、他の犯罪と牽連犯関係となるので、重い刑罰を科される可能性もあります。
不利益を小さくするためには、早急に被害者と示談交渉を進めて被害弁償を行い、被害届や告訴を取り下げてもらうことが必要です。
刑事事件に効果的に対応するためには、スピーディな対応が命です。
刑事事件に専門的に取り組んでいる、法律事務所ロイヤーズ・ハイまで、是非ともお早めにご相談下さい。
このコラムの監修者
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田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録
弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、性犯罪事件、窃盗・横領などの財産事件、暴行傷害などの暴力事件などで多数の不起訴経験あり。刑事弁護委員会所属。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。