痴漢
痴漢について
痴漢は,ニュースや新聞でも取り上げられているように、社会的に厳しい批判が行われています。決して軽い犯罪ではありません。痴漢は、その行為の態様に応じて、適用される法律が異なります。
具体的には,服の上から女性の身体を触る、太ももを撫で回す、背後から密着して身体や股間を押し付けるとかの態様であれば、各都道府県の迷惑防止条例違反になる可能性がありますが、女性の陰部を直接触るなどの態様は強制わいせつ罪に該当する可能性があります。また,スカートなどの衣服を切り裂く行為は,別途、器物損壊罪に該当します。
1.痴漢の法定刑
痴漢は、痴漢罪という刑罰があるわけではありません。
ただ、痴漢は、以下の法律によって処罰されることが多いです。
- 強制わいせつ罪(刑法176条)
- 迷惑防止条例違反(各都道府県の条例違反)
2.弁護方針
1. 自白している場合
被疑者が自白している場合には、示談こそが弁護活動において最も重要です。そもそも、被害者との連絡や示談交渉は,弁護士が入らなければ原則的にはできません。ですので、痴漢事件で不起訴処分を獲得するためには,弁護人を付けた方がよいことは間違いありません。
被害者と示談が難しい場合であっても,示談の交渉の経緯についての報告書をまとめて提出したり,贖罪寄附をして反省の気持ちを示すような弁護活動を行い,不起訴処分を獲得する可能性を上げていきます。
また,痴漢をもう二度としないためにも、必要に応じて専門の医療機関の治療を受け、そこでの診断書を証拠資料として提出することもあります。
2. 否認している場合
被疑者が否認している場合には,被疑者の供述が被害者の供述よりも具体的でしっかりとしていることが重要です。特に逮捕勾留されてしまえば、警察などの捜査機関側は捜査機関側に有利な証拠を作るために動きます。一人で追いつめられた状況では、事実とは異なる自白が取られてしまうこともあります。
そこで,早い段階で被疑者の有利で具体的な供述を記録するために、逮捕後は極力早く弁護士に接見を依頼し、自分の供述を記録してもらうことが重要です。
最後に、痴漢の場合、弁護士が被疑者の家族から身柄引受書を作成してもらい,検察官や裁判官に対して身柄引受書と共に意見書を提出することによって,早期に被疑者が釈放されることも多いです。その場合、職場や学校にばれなくて済む可能性も十分あります。だからこそ、逮捕された場合には,極力早期に弁護人をつけた方がよいです。
このコラムの監修者
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田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)
弁護士ドットコム登録弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。
大手法律事務所で管理職を経験し、性犯罪事件、窃盗・横領などの財産事件、暴行傷害などの暴力事件などで多数の不起訴経験あり。刑事弁護委員会所属。
お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。