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酔って暴力をふるったと言われたが記憶がない!罪になるの?被害者や警察への対処法

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酔って暴力をふるったと言われたが記憶がない!罪になるの?被害者や警察への対処法

 

年末年始が近づいてきました。今年は忘年会や新年会などの予定がある方も多いのではないでしょうか。

久しぶりの飲み会で,ついつい飲みすぎてしまい,記憶が亡くなった翌朝,いきなり警察から電話がかかってきたら,あなたはどうしますか?

電話に出ると,昨夜飲み会の場で,その場に居合わせた人と口論になり,そのまま殴る蹴るの喧嘩をしてしまって,相手方が警察に被害届を出しているとのことでした。

何度振り返っても,まったく記憶にない場合,どうすればいいのでしょうか?

 

1 泥酔して人を殴ってしまった!?何も覚えていないが,罪になるのか?

人を殴ってしまったら,暴行罪が成立します。

刑法 208条

暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

 

暴行罪の法定刑は、2年以下の懲役刑、30万円以下の罰金刑です。

拘留(1日以上30日未満、刑事施設に拘置する刑罰)や科料(1000円以上1万円未満の金銭を納付する刑罰)も規定されていますが、基本的には懲役刑か罰金刑のどちらかに処されます。

暴行とは,詳しく言うと,人の身体に向けた不法な有形力行使です。

暴行と言えば,殴る蹴るというイメージがあるかもしれませんが,刑法上の暴行は,さらに広くとらえられており,唾を吐きかける,大声を上げる,突き飛ばすような行動も,暴行に当たります。

参照:盗撮行為、つきまとい行為、暴行や脅迫を用いた痴漢行為など迷惑防止条例違反の量刑は?罰金は?初犯の場合は?

参照:傷害罪

参照:暴力を振るって刑事事件になったら、弁護士に相談

 

⑴刑事責任能力とは

そもそも,記憶がなくなるほど泥酔して,罪を犯してしまった時,犯罪が成立するのでしょうか?

刑法 第39条(心神喪失及び心神耗弱)

1項 心神喪失者の行為は、罰しない。

2項 心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。

 

刑法は,いけないことだと分かっていても敢えてその行為をしたことを非難し罰します。

したがって,してはいけないことだと頭では分かっていたかどうか?自分の行動を制御する能力があるか?が犯罪の成立には必要です。

犯罪における責任能力,つまり事物の是非・善悪を弁別し、かつそれに従って行動する能力のない者は,,そもそも行動を非難することが出来ません。

例えば,4歳の男の子が,友達を叩いてしまったとしても,その子には人を叩いてはいけないということがよくわかっていません。刑法が14歳未満の児童を罰しないと規定しているのはこのためです。(第41条)

刑事責任能力が認められないケースは,14歳未満であることの他にも,①心神喪失,責任能力が限定的にしか認められないケースとしては,②心神耗弱があります。

 

①心神喪失

心神喪失とは,、精神の障害等の事由により事の是非善悪を弁識する能力(事理弁識能力)か,それに従って行動する能力(行動制御能力)のどちらかを欠いている状態のことをいいます。

心神喪失が認められた場合には,無罪判決を下さなければなりません。

しかし,心神喪失と認められるのは極めて稀な事例です。

 

②心身耗弱

心神耗弱とは,精神の障害等の事由により事の是非善悪を弁識する能力(事理弁識能力)か,それに従って行動する能力(行動制御能力)のどちらかが,著しく減退している状態を言います。

心神耗弱が認められた場合には,判決は,必ず減刑しなければなりません。

暴行罪でいえば,2年の懲役刑よりも減刑しなければなりません。

 

⑵刑事責任能力の有無はどうやって決まるのか

では,心神喪失や,心神耗弱はどうやって決まるのでしょうか。

裁判では,専門家である精神科医の意見も求められますが,最終的な判断は,裁判所に委ねられています。

とはいえ,精神科医による精神鑑定は,裁判官の判断に大きな影響を与えることは事実です。

精神鑑定には,簡易鑑定と鑑定留置・本鑑定の2種類があります。

 

①簡易鑑定

簡易鑑定とは,検察官の請求によって,起訴前の被疑者に対し,医師が短時間問診を行うことを言います。

②本鑑定

本鑑定とは,検察官が医師に依頼をして,数ヶ月にわたって病院や拘置所に留置し,継続的に診察を行うことを言います。

簡易鑑定では判断がつかない場合に行われ,本鑑定の間は勾留が停止されます。

 

⑶泥酔していれば刑事責任能力は認められない?

では,泥酔していれば責任能力は認められず,無罪または減刑になるのでしょうか?

泥酔している状態は,正常と,異常酩酊に分けられます。異常酩酊はさらに,複雑酩酊と,病的酩酊に分けられます。

これらの区別は,単に血中アルコール濃度の高さでは決まりません。

 

①正常酩酊

血中アルコール濃度が高くなるにつれて,意識障害,言語障害,失調歩行が生じることがある状態です。急性アルコール中毒になるほど泥酔していたとしても,言動に異常性が見られなければ,正常酩酊と扱われます。

感情的になったり,性格が変わることもありますが,異常な行動や症状が出てくることはありません。

正常酩酊は,責任能力が認められます。

 

②複雑酩酊

血中アルコール濃度が高くなると,激しい興奮状態になり,性格が顕著に変わります。この興奮状態は一時的なものではなく,持続時間が長い傾向にあります。収まっても少しの刺激で興奮状態が再燃します。

この状態では,部分的に責任能力が認められないとして,心神耗弱と判断される可能性があります。

 

③病的酩酊

血中アルコール濃度に関係なく,飲酒をきっかけとして,幻覚や幻聴の症状があらわれ,異質な行動をとるようになり,性格が極端に変わる様な状態を言います。

病的酩酊となった場合,心神喪失の判断がされる可能性があります。

 

⑷原因において自由な行為

複雑酩酊や病的酩酊と判断されれば,常に責任能力が完全には認められず,無罪若しくは減刑となるとすると,一般人からすれば,納得がいかないでしょう。

そこで,自分がお酒を飲むと人が変わって攻撃的になることを分かっていてお酒を飲み,結果人を気付けたようなケースでは,責任能力が認められ,罪に問われるという考えを,裁判所が採用しています。

これを原因において自由な行為と言います。

自分で心身の異常な状態を招いた行為を非難するのです。

 

2 酔って暴力をふるったと言われたが記憶がない場合、被害者や警察にどう対応すべきか

 

酒に酔って他人に暴行した罪でその場で逮捕されたり,警察に来るように言われたりすると,その後は警察による取り調べが始まります。

逮捕されてから48時間以内に,取り調べの内容や被疑者の逃亡・証拠隠滅の恐れを勘案して,警察は検察官に送致するかどうかを決めます。

検察官に送致されたら,そこから24時間以内に,勾留請求を行うか否か判断されます。

それまでの捜査への協力の姿勢や,反省の態度,被害者との示談の有無,逃亡可能性などが考慮されます。

裁判官が検察官の勾留請求を許可すると,そこから10日間,最大で20日間もの間身を拘束されてしまいます。

勾留期間までの捜査結果をもって,検察官は被疑者を起訴するかどうか決めます。

何も覚えていないからと言って,暴行なんてしていない!と否定し続け,捜査にも協力せず,被害者と示談もしないとなると,犯罪を認めずに逃亡・証拠隠滅の可能性があるとして,身柄拘束が継続してしまい,起訴されてしまうかもしれません。

もっとも,早く解放されたい一心ですべて認めてしまうと,本当はやっていないことまで罪を着せられかねません。

 

⑴ 暴行事件の取り調べで身に覚えのないことを言われたら

では,暴行事件の取り調べで身に覚えのないことを言われたら,どうすればいいのでしょうか?

暴行事件は、よく酒に酔っていて覚えていないような場合に発生することが多いです。

そして、暴行事件では、被害者の他に、目撃者などの第三者がいたり、あるいは監視カメラの映像で暴行をしている証拠が存在する場合もあります。

そのような場合に,一般的には無関係の第三者が,酒に酔ったあなたを陥れようとしているとは考え難いので,被害者の供述と相まって第三者の証言は信用されやすいです。

 

また,監視カメラの映像が残っているような場合には,暴力を振るっている客観的証拠が存在することになります。

これらの場合には,「暴行をしていない」などとして犯行を否定したとしても,取り調べの期間が延びたり,逮捕勾留される可能性が上がったり等,むしろ逆効果である場合も往々にしてあります。

そのため,警察には正直に「覚えていない」ことを伝えるのが一案です。

警察も出来るだけ記憶を呼び起こそうとあれこれ質問してくるでしょう。

嘘をついている,又は捜査に協力的でないと判断されるようなことは避けるべきでしょう。

「〇月〇日に外出しましたか?」「どんな服を着ていましたか?」など飲酒前の様子についても聞かれることもあるでしょう。少しでも記憶に残っていることはきちんと説明しましょう。

 

⑵被害者との示談はするべき?

示談とは,自分の行為を加害者に謝罪し,慰謝料を支払うことで相手の許しを得ることです。

示談が済んでいることで,身柄拘束からの解放や,処分の軽減へと状況が傾きます。

しかし,自分が罪を犯した自覚が無いにも関わらず,被害者と示談交渉をすることに抵抗のある方もいるでしょう。

実際のところ,「絶対に喧嘩をしていない」と自信をもって言い切れるのであれば,示談活動をしないのも一つの手段です。

しかし,殴ったことは覚えていないが,口論になったことは覚えているような場合や,普段から酔うと他人と喧嘩になるような場合には,監視カメラの映像等で自分が暴行をしたことが映っている場合のように客観的に暴行の証拠がある場合には,示談することも考えた方が賢明です。

 

3 酔って記憶にない暴行事件は,弁護士にお任せください!

 

身に覚えのない暴行事件で逮捕された方,警察から連絡があった方は,出来るだけ早く弁護士にご相談ください。

刑事事件は,逮捕から23日間で起訴されてしまいますから,早期から対応できるかが非常に大切です。

酔って身に覚えがない場合,弁護士が一緒に当時の状況の整理をし,今後の取り調べについてのアドバイスを行います。

必要であれば被害者との示談活動を行います。

酔っ払いの起こした事件なんてと思われるかもしれませんが,暴行事件も起訴され有罪が確定すると前科がついてしまいます。

不起訴処分等の有利な処分を獲得するためにも,暴行事件に強い弁護士にご相談ください!

 

飲酒による暴行事件は,飲み会が増える週末の夜に起きることが多いです。そこで,休日や夜間でも刑事事件の相談が可能な弁護士事務所に依頼することをお勧めします。

法律事務所ロイヤーズハイは,土日祝・夜間の対応が可能です。速やかに事件を把握し,弁護活動を行うことで,事件の見通しや示談の可能性が見えてきます。

刑事事件の経験が豊富な弁護士が多数在籍しております。

このコラムの監修者

  • 田中今日太弁護士
  • 弁護士法人 法律事務所ロイヤーズ・ハイ

    田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録

    弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、性犯罪事件、窃盗・横領などの財産事件、暴行傷害などの暴力事件などで多数の不起訴経験あり。刑事弁護委員会所属。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。

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