万引きで逮捕された時の対処方法
万引きが見つかって逮捕されてしまったら、どのような刑罰が適用されるのでしょうか?可能な限り早めに身柄を解放してもらうためにはどのような対処方法をとれば良いのか、弁護士が解説いたします。
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1 万引きで成立する犯罪
万引きをすると、「窃盗罪」となります(刑法235条)。
窃盗罪は、他人の財物を「窃取」したときに成立する犯罪です。窃取とは、他人の占有下にあるものを、こっそりと盗って自分のものにしてしまうことです。
万引きの場合、店主や店員の管理下にあるものを見つからないようにこっそり盗って自分のものにしてしまうので、窃盗罪が成立します。
窃盗罪の刑罰は、50万円以下の罰金または10年以下の懲役刑です。
2 万引きでも前科がつくのか?
「万引きしたくらいでは、刑事裁判になったり前科がついたりしないだろう」と軽く考えている方がいます。
しかし万引きも立派な犯罪です。高額な商品を盗んで被害弁償できなかった場合や被害者の怒りが大きい場合などには、初犯であっても起訴されて刑事裁判になる可能性があります。また少額の万引きであっても、何度も繰り返していると悪質とみなされてやはり起訴されます。
日本の刑事裁判では99,9%以上が有罪になっていますので、万引きでもいったん起訴されたら前科を免れるのは難しいと考えてください。
3 万引きで早期に身柄を解放してもらう方法
万引きで逮捕されたとき、早期に身柄を解放してもらうには、「被害者との示談」が重要です。被害者のいる刑事事件では、被害者と示談が成立して宥恕(許すこと)してもらえると、被疑者・被告人にとって非常に良い情状となるからです。
逮捕されても勾留決定前に被害者と示談ができれば、勾留されずに逮捕後3日以内で身柄を解放してもらえる可能性があります。勾留されても、処分決定前に示談を成立させて被害弁償を完了すれば、不起訴にしてもらえる可能性が高くなります。
示談以外の要素としては、万引きが悪質ではないこと、初犯であること、余罪がないこと、普段は真面目に生活していること、家族による監督が期待できるので逃亡のおそれがないことなどが被疑者にとって良い事情となります。これらをできるだけたくさん拾い出して検察官にアピールし、身柄拘束や起訴の必要性がないことを納得させることが大切です。
不起訴処分にしてもらえたら、その時点で身柄が解放されるので会社や学校などの社会生活にも復帰できますし、裁判にならないので前科がつくこともありません。
身柄事件の場合、逮捕後起訴か不起訴か判断されるまでの期間は23日間しかないので、すぐに被害者との示談交渉を開始する必要があります。ご家族が万引きで逮捕されたならば、一刻も早く弁護士までご相談ください。
このコラムの監修者
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田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録
弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、性犯罪事件、窃盗・横領などの財産事件、暴行傷害などの暴力事件などで多数の不起訴経験あり。刑事弁護委員会所属。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。