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海外の違法(海賊版など)DVDを保有していると逮捕されますか?購入者に罰則は?

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近年、正規品のDVDを違法に複製した、いわゆる「海賊版」の販売・譲渡などが大きな社会問題となっています。海賊版の横行は、インターネットを通じて、現物を見ずに売買をすることが容易になったことから、ますます広がりを見せています。

気になっていたDVDが、海外もしくは日本国内の通販サイトで格安で販売されていたため購入したところ、手元に届いたのは海賊版であった、などというトラブルは、いつ起きてもおかしくはないのです。では、こうして海賊版を手にしてしまったことは、何かの罪になるのでしょうか?ここでは、違法DVDの保有と逮捕されるリスクについて、解説していきます。

 

1.「海賊版」とは?

音楽や映像のソフトウェアは著作物ですから、著作権があります。著作権者には著作物を複製する権利(著作権法21条)が認められています。

「海賊版」とは、著作権者の許可を得ないで複製をされた物をいいます。つまり「海賊版」とは、著作権法上で認められた、著作権者の複製権を侵害する物を指すのです。

 

2.海外の違法DVD所持が著作権侵害になる場合

著作権法113条1項は、以下のような行為を「著作権を侵害する行為とみなす」と規定しています。

①国内において頒布する目的をもって、輸入の時において国内で作成したとしたならば・・・著作権・・・の侵害となるべき行為によって作成されたものを輸入する行為(113条1項1号)

②・・・著作権・・・を侵害する行為によって作成された物を、情を知って、・・・頒布の目的をもって所持・・・する行為”(113条1項2号)

 

つまり、日本国内で頒布する目的をもって「海賊版」を輸入した場合や、輸入された物を「海賊版」であると知りつつ頒布の目的をもって所持した場合には、著作権を侵害する行為をしたとみなされることになります。そして、これらの行為を行った者に対しては、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金が科されることになります(著作権法119条2項3号)。

ちなみに、ここでいう「頒布」とは、有償であるか又は無償であるかを問わず、複製物を公衆に譲渡し、又は貸与することをいいます(著作権法2条1項19号)。

 

以上述べてきたように、海外の違法DVDを保有しているからといって、直ちに刑罰が科されるわけではありません。①違法なDVDであると分かった上で、②誰かに譲渡しようという目的をもって輸入(又は保持)をしている場合に限り、ペナルティが科されます。

つまり、海賊版だと知らずに所持していた場合や、海賊版だと分かっていたが個人的に楽しむつもりで所持していた場合には、刑罰は科されないのです。

 

3.海賊版を持っているだけでは、警察に逮捕されない?

海賊版を購入しただけでは罪は成立しませんが、販売した側に罪が成立することは、これまで述べてきたことからも明らかです。あなたに海賊版のDVDを販売した業者の罪を立証するため、警察が、その業者の保有する顧客リストを辿って、あなたに連絡をしたり、自宅を訪れるかもしれません。

その場合、一時的にあなたが購入したDVDの提出を求められるかもしれません。しかし、だからと言って逮捕されるわけではありません。

 

もっとも、あなたが違法DVDを「頒布する目的」で所持している疑いがあると警察が考える場合、逮捕される可能性はあります。

過去にあなたがDVDを販売していた場合などは、「頒布する目的」が強く疑われるため、逮捕されるリスクは高まるでしょう。過去にDVDを販売・譲渡したことがない場合でも、頒布目的が推認される可能性は十分に考えられます。たとえば、保有する違法DVDの枚数が数十枚にも及ぶ場合や、フリマアプリ等での販売が疑われる場合、周囲に販売をほのめかすような言動を取っていた場合などが考えられます。これらの他にも、様々な理由から、警察に頒布目的を疑われ、その結果、逮捕されることになるかもしれません。

あなたに著作権侵害の意図がなかったとしても、違法DVDを所持しているというだけで、逮捕されてしまう可能性はゼロではないのです。

 

海賊版が容易に出回るようになった近年、あなたが気付かぬうちに、違法DVDの売買に巻き込まれているかもしれません。あなたが購入し、フリマアプリで売却したDVDが、海外で製造された違法DVDである可能性も十分に考えられるのです。

著作権侵害を警察に疑われている場合、弁護士が介入することで、あなたが、保有するDVDが海賊版であると知らなかったことや、頒布目的がなかったことなど、著作権侵害の意図がなかったことを捜査機関や裁判所に適切に主張していくことが可能になります。もし現在お持ちのDVDが「海賊版」であると判明した場合や、警察から所持するDVDのことで連絡がきた、という事情がある場合には、すぐに弁護士にご相談されることをお勧めします。

このコラムの監修者

  • 田中今日太弁護士
  • 弁護士法人 法律事務所ロイヤーズ・ハイ

    田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録

    弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、性犯罪事件、窃盗・横領などの財産事件、暴行傷害などの暴力事件などで多数の不起訴経験あり。刑事弁護委員会所属。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。

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