拘置所にいる身内に会うための方法と弁護士に依頼するメリット
何らかの犯罪に関与して逮捕・起訴されると、その身柄を拘束されてしまいます。このとき、基本的には拘置所に収容されるため、簡単に外部の人間と接触できません。では、もし身内の人間が拘置所に拘束されたらどうすればよいのでしょうか。拘置所にいる身内に面会するための流れや、面会のルールなどを解説します。
目次
1 面会できるのはどんな人?時間は?
原則として、誰もが面会可能です。家族だけでなく、知人・友人でも面会が許されています。年齢制限に関する決まりも特にありません。また、面会時間は各拘置所によって異なるものの、1回あたり15分から30分程度と考えて良いでしょう。
面会の受付時間は朝8時半から夕方16時まで、土日祝日や年末年始を除くすべての期間で面会が可能です。ただし、拘置所の昼休憩時間(12時から13時まで)は、面会できないこともあるので注意しましょう。加えて、差し入れは1日2回までと決められています。(面会者1人あたり1日1回まで)
2 身内と面会するまでの流れ
拘置所にいる身内と面会するための大まかな流れは以下のとおりです。
⑴拘置所に出向いて面会受付を行う
面会は電話などで予約ができません。そのため、直接拘置所に出向く必要があります。また、面会受付時には、面会者の身分証明証を求められますので、免許証やパスポートを持参しましょう。この2つ以外で身分証として認められるのは、保険証、学生証、特別永住者証明書、在留カードなどです。
⑵面会時間がくるまで待機
実際にいつ面会できるかは、面会希望者や拘置所の面会室の数によります。単純に混んでいると面会までの時間が長くなりがちです。ロッカーに荷物を入れ、面会時間がくるまで待機しましょう。
⑶面会
順番がまわってくると呼ばれ、アクリルの板を挟んで身内と面会します。ちなみに係員が同席するものの、通常の会話であれば特に会話を遮断されることはありません。また、面会が終わったら受付に伝えてください。
3 面会が制限されるケースもある
ここまでの説明は、あくまでも一般的な面会です。被疑者を取り巻く状況によっては、面会ができなかったり、著しく制限されたりといったこともあります。例えば、被疑者に対して「接見禁止処分」が付与されていると、たとえ家族であっても面会できなくなります。「証拠隠滅」「口裏合わせ」「逃亡」「組織犯罪への関与」「容疑の否認」などがあると、接見禁止処分が下される可能性が高まるでしょう。
ちなみに接見禁止処分の期間は、特に決まりがありません。捜査の進捗や、検察官・裁判官の判断によってその都度決まります。一般的には、起訴までの勾留期間中(10日から最大20日)に接見が禁止されることが多いでしょう。ただし、場合によっては裁判中も面会が禁止されることもあります。
また、逮捕された直後の72時間は面会できません。これは、接見禁止処分が下されていなくても同様です。この72時間で面会が可能なのは、弁護士だけなのです。そのため、逮捕直後に身内と何らかの連絡を取りたい場合は、弁護士に依頼する必要があります。
4 逮捕直後や接見禁止処分期間の対応は弁護士に依頼
特に問題なく面会できる状況ならば、家族や親類だけの力で、拘置所内の身内に会うことができます。しかし、逮捕直後72時間や接見禁止処分中は、弁護士に対応を依頼したほうが無難です。
特に接見禁止処分を解除して面会できるようにするには、「準抗告もしくは抗告」「接見禁止処分の解除申し立て」「勾留理由開示請求」といった専門的な手続きが求められます。
また、弁護士が接見する場合には、回数や時間の制限がなく、土日や夜間でも可能です。
さらに差し入れの回数に制限がなく、係員の立会いもありません。拘置所内の身内とコミュニケーションをとりたいのなら、自分で面会するよりもメリットが大きいでしょう。
このコラムの監修者
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田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録
弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、性犯罪事件、窃盗・横領などの財産事件、暴行傷害などの暴力事件などで多数の不起訴経験あり。刑事弁護委員会所属。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。