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再逮捕の正確な意味とは?テレビやニュースの再逮捕との違い

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世間を賑わすような犯罪が公になると、その犯人が「再逮捕」されたというニュースを聞いたことがありませんか?
この「再逮捕」という言葉、報道では、本来の意味とは違う意味で使われていることが多いのです。
今回は、本来の再逮捕の意味や使われ方について解説します。

 

1 再逮捕の本当の意味とは?

⑴本来の意味の再逮捕と報道で使われる「再逮捕」

再逮捕は本来「一度逮捕・釈放された後、同じ犯罪事実で再び逮捕されること」を指します。
一方、テレビやニュースなどでの「再逮捕」は、「ある罪で逮捕された被疑者Aが、別の罪の容疑で逮捕した」という意味で使われていることが多いです。これは似ているようで全く異なります。本来、再逮捕の意味は「一つの罪で複数回逮捕される」という意味であり、「ある人が複数の罪で複数回逮捕される」ことを指すものではないからです。

一つの罪で再び逮捕することは許されるのでしょうか?
日本の法律には「一罪一逮捕」「一罪一勾留」という原則があります。
簡単にいうと、ひとつの罪(事件)で許される逮捕や勾留は1回だけ、という決まりです。
一つの罪で何度も逮捕や勾留し、蒸し返すことが許されると、その度に長期的に身体を不当に拘束され、人権侵害に当たると考えられているからです。
しかし、再逮捕が単なる蒸し返しにならないような「最初の逮捕では発見できていなかった新しい事実」や「新しい証拠」が見つかった場合には、一つの罪で再度逮捕が行われています。

 

⑵報道で使われる「再逮捕」されるケースとは?

報道での「再逮捕」が行われるのは、以下のようなケースです。

 

①余罪がある場合

振り込め詐欺のような多数の被害者に対して犯罪行為が行われた場合,基本的にこの被害者ごとに一個の犯罪が成立します。
例えば,犯人XがAさん~Dさんからお金をだまし取ってAさんに対する詐欺罪で逮捕された場合,Bさん~Dさんに対する詐欺罪は余罪になります。
この場合,Aさんの事件については通常の身柄拘束期間で証拠収集が完了しているとしても,BさんやDさんの事件については未だ証拠収集の必要性はありますし,振り込め詐欺のような特殊詐欺のケースでは犯行組織が何階層にも組織を細分化しているため,事案の全容を解明するには通常の身柄拘束期間では時間が足りないため,再逮捕をすることで捜査の時間を稼ぐことが一般的です。

また,いわゆるスーパーフリー事件のような同一グループによる準強制性交等事件のケースでは,被害者が羞恥心や加害者による報復への恐怖心により被害申告をしない場合が多いです。
この場合に、犯行グループの逮捕を受けて次々と被害申告が相次ぎ,捜査機関が被害内容を把握するのに時間がかかるということもあります。振り込め詐欺のケースでも,そもそも被害者が被害を自覚しておらず,犯人逮捕のニュースを受けて被害に気付いて被害申告をするということも珍しくありません。
このように被害者の数が多数に上る事件では,被害者が五月雨式に増加する等によって,事件の全容を解明するために捜査に時間がかかり,再逮捕の必要が生じることになります。

 

②重大事件の場合

みなさんも殺人事件の容疑者が「死体遺棄」の容疑で逮捕されるニュースを見たことがあるのではないでしょうか。
以前,寝屋川市で中学生が殺害される痛ましい事件がありましたが,その犯人とされる男も「死体遺棄」容疑で逮捕されています。
殺人事件のような重大事件で,ほぼ犯人に間違いないだろうという場合,まずは証拠の固まっている死体遺棄等の容疑で逮捕し,犯人による逃亡・証拠隠滅や自傷行為を防止し,その間に本命の事件の捜査を進め,証拠を固めて殺人容疑で逮捕するという流れになります。

 

③覚せい剤事犯の場合

一般に,覚せい剤の犯罪として問題となるのは「所持」と「使用」です。
「使用」の場合には,例えば今まさに炙っている場面や注射器で注入している最中に逮捕することができますが,使用行為が終了した後ではその人が覚せい剤を「使用」したか否かが外見から明らかでないため,まず外見から明らかで現行犯逮捕のできる「所持」で逮捕し,その間に尿検査等をして鑑定結果を得て「使用」で逮捕するという流れが一般的です。

 

2 別件逮捕も再逮捕に含まれる?

別件逮捕は、ある容疑Aが疑われている被疑者に対して、捜査や証拠が十分でないとき、容疑Aについて取調べを行う目的で別の軽微な容疑Bで逮捕して、身柄拘束期間中に容疑Aについて証拠を集め、最終的に容疑Aで再逮捕するという流れで使われます。
別件逮捕も広義の意味では再逮捕に含まれるという考え方もあるようです。

ただし、本来刑事訴訟法が想定した身柄拘束期間は1つの罪につき72時間+20日間と決まっており,別件逮捕はB罪の身柄拘束期間をA罪に横流しするものであり,別件逮捕は刑事訴訟法に照らして違法だという考え方もあります。

ところで,ここまで読んでいただくと別件逮捕と余罪が複数ある場合の再逮捕や重大事件の場合の再逮捕との違いが判らない方もいらっしゃるかと思います。
違法の疑いのある別件逮捕の具体例としては以下のような事例が考えられるでしょう。

Vが何者かに刺殺された事件で,Xが容疑者として浮上した。
しかし,Xが犯人であるという具体的な証拠もないため逮捕状を請求できない。
Xが殺人事件とまったく無関係にコンビニで万引きをしていたことが発覚したため,警察官Kは,Xを窃盗の容疑で逮捕状を請求し,逮捕した。窃盗事件の身柄拘束期間中,コンビニでの万引きについての取り調べは殆ど行われず,もっぱらVの殺人事件との関係について取り調べが行われた。
この取り調べにより当初は否認していたXがV殺害を認める発言をしたため,警察官Kは殺人の容疑で逮捕状を請求し,Xを逮捕した。

 

ここでのポイントは,コンビニの万引き事件のために逮捕したのにも関わらず,警察官Kは逮捕による身柄拘束状態をVの殺人事件のために利用しているということです。
その後にVの殺人事件についても逮捕して身柄拘束をしているので,XはVの殺人事件について通常の2倍もの期間身柄拘束をされるということになります。
本来,国家が国民の身体の自由を制限するのは非常に例外的な場合です(憲法第34条)。
上の事例のような別件逮捕は,いわばこの憲法の制限を潜脱するものであり,学説上は違法ではないかと考えられています。

 

3 再逮捕されたときの勾留期間は?

再逮捕されると、当初の逮捕の勾留期間とは別に、あらたに勾留期間がスタートします。
つまり、一度目の逮捕で最大23日間の勾留期間が満了した後、再逮捕でさらに最大23日間がプラスされるというイメージです。
ただし、最初の勾留期間中に再逮捕されたときは、その時点からカウントがスタートします。

例:一度目の逮捕で10日目に再逮捕⇒10日+23日で最大33日間の勾留期間が発生

 

一般的に再逮捕は、最初の逮捕・勾留が終わったあとに行われますが、このように途中から勾留期間が追加されることもあります。

 

4 再逮捕が予想される事件は保釈に注意

万が一何らかの罪で逮捕・起訴されると、保釈請求ができます。
このとき、起訴された事件がひとつであれば、基礎直後に保釈請求を行います。
しかし、再逮捕の可能性がある場合は、保釈請求に慎重さが求められるでしょう。
なぜなら、保釈は「人」ではなく「事件」単位で認められるからです。

つまり、ある事件で保釈が許可されても、再逮捕になれば再び身柄を拘束されます。
このとき、判決後まで保釈金は戻ってきませんし、保釈請求自体が無駄になってしまうのです。
再逮捕の可能性がある場合は、弁護士を通して検察官に再逮捕の可能性を確認してから、保釈請求を行うべきです。
また、再逮捕自体が法律上、ややグレーな行為であることも珍しくないため、随時弁護士に相談することをおすすめします。

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このコラムの監修者

  • 田中今日太弁護士
  • 弁護士法人 法律事務所ロイヤーズ・ハイ

    田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録

    弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、性犯罪事件、窃盗・横領などの財産事件、暴行傷害などの暴力事件などで多数の不起訴経験あり。刑事弁護委員会所属。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。

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