スピード違反でも刑事罰の対象になる?逮捕や前科は?
みなさんは「スピード違反」という言葉にどのようなイメージを抱くでしょうか。
「違反切符を切られる」「罰金を支払う」という回答が多いのではないかと思います。
確かにこれはそのとおりです。
しかし、スピード違反であっても内容によっては、「刑事罰」の対象になることがあるのです。
ではどのような場合に刑事罰の対象となるのでしょうか。
スピード違反と刑事罰の関係を、逮捕や前科も含めながら解説します。
1 スピード違反は「行政処分」と「刑事処分」の対象
スピード違反、つまり「車の速度超過」は、基本的には道路交通法に違反している状態です。
道路交通法に違反すると、刑事処分の対象になり、刑事罰が科されます。
ただし、道路交通法は反則金制度を設けており、軽微なものなら刑事罰を回避できる仕組みになっています。
では、具体的にどの程度のスピード違反から刑事処分の対象になるのでしょうか。
下記は、スピード違反の場合の処分を一覧にしたものです。
○一般道の場合
・1~14km…違反点数1、反則金9,000円 ・15~19km…違反点数1、反則金12,000円 ・20~24km…違反点数2、反則金15,000円 ・25~29km…違反点数3、反則金18,000円 ・30~34km…違反点数6、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金 ・35~39km…違反点数6、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金 ・40~50km…違反点数6、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金 ・50km~…違反点数12、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金 |
ここで注目したいのが、速度超過30~34km以上の場合です。
29kmオーバーまでは反則金ですが、これより上は「罰金」、つまり刑事処分であることを意味します。
また、違反切符の色も変わります。俗に言う「赤切符」ですね。違反点数6で「一発免停」の対象にもなります。
2 刑事処分の対象になると逮捕されるのか?
これはケースバイケースです。一般道で30km以上のスピード違反を犯しても、即逮捕というわけではありません。
捜査に協力的であるか、違反を素直に認めているか、人身事故や飲酒運転ではないか、といった点が考慮されます。
そのため、前科なしの人間が単純に30kmオーバーのスピード違反を犯しただけでは、逮捕されないのが一般的です。
また、勾留(身柄の拘束)などもされないことがほとんどです。
ただし、違反を認めず捜査に非協力的であると、逮捕される可能性が高まります。
3 スピード違反でも裁判&前科がつく
一般道で30km以上、高速道で40km以上のスピード違反は、残念ながら前科になってしまいます。
前科は一生消えませんが、道路交通法違反の前科は自治体に共有されません。
また、逮捕はされなくても、裁判が行われることも覚えておきましょう。
スピード違反の場合は、「即決裁判」という簡略化された手続きで判決が下るため、ごく短時間で手続きが終了します。
スムーズに裁判が進めば、最終的には罰金刑のみで済むでしょう。
しかし、一般道、高速道問わず80km以上のスピード違反の場合は、懲役刑の可能性が高くなります。
また、スピード違反以前に複数の前科があったり、その他重大な交通違反が含まれていたりする場合も、懲役刑になりえます。
4 スピード違反で懲役刑(実刑)を回避するために
このようにスピード違反とはいえ、内容によっては懲役刑が言い渡される可能性もゼロではないのです。
そのため、もし懲役刑の対象になりそうな場合は、執行猶予を目指して対策していかなくてはなりません。
この対策は、交通違反に精通した弁護士の力を借りなくては難しいでしょう。
また、スピード違反の事実そのものを認めたくない場合も同様です。
懲役刑になれば、日常生活やその後の人生において、他の重大犯罪と何ら変わらないダメージを負います。
これを回避するには、専門家による助言やサポートが必要不可欠なのです。
このコラムの監修者
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田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録
弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、性犯罪事件、窃盗・横領などの財産事件、暴行傷害などの暴力事件などで多数の不起訴経験あり。刑事弁護委員会所属。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。