覚せい剤で逮捕される場合
1 はじめに
当事務所に寄せられたご質問にお答えいたします。
覚せい剤や大麻などの事件で逮捕された場合、どのような刑罰を受けることになるのでしょうか?
覚せい剤や大麻は中毒性があり、一度使用すると完全に断ち切るのが極めて困難な違法薬物です。
どちらの薬物を使用して逮捕されたかによって、弁護士の弁護活動が変わってきます。
ここでは、覚せい剤や大麻で逮捕された場合、どのような罰則があるのか詳しくご紹介します。
2 比較的罪の軽い大麻
大麻取締法による罰則は、営利目的と非営利目的によって刑の重さが異なります。以下の表にまとめました。
所持・譲渡・譲受 | 5年以下の懲役 |
栽培・輸出入 | 7年以下の懲役 |
営利目的の所持・譲渡・譲受 | 7年以下の懲役(情状により200万円以下の罰金) |
営利目的の栽培・輸出入 | 10年以下の懲役(情状により300万円以下の罰金) |
もし大麻で逮捕された場合は、弁護士は不起訴を目指すか、あるいは150万円程度の保釈金を払って早期の保釈を目指すことになります。ただ、大麻は比較的罪が軽く、初犯でごく少量の所持なら不起訴処分になることは珍しくありません。
たとえ起訴されても、初犯で単純所持なら起訴猶予がつき、直ちに刑務所に収監されるケースはほとんどありません。
営利目的や再犯の場合も、起訴されてしまったら懲役期間が少しでも短くなるような弁護活動を行います。
3 罪が重く起訴される確率の高い覚せい剤
中毒性が高い覚せい剤は、大麻よりも重い刑罰を受けることになります。
使用・所持・譲渡・譲受 | 10年以下の懲役 |
製造・輸出入 | 1年以上の有期懲役 |
営利目的の所持・譲渡・譲受 | 上限とした1年以上の有期懲役(20年以下) 情状により1年以上の有期懲役及び罰金500万円 |
営利目的の製造・輸出入 | 無期または3年以上の懲役※ 情状により無期もしくは3年以上の有期懲役及び1000万円以下の罰金 |
※事情によっては1000万円以下の罰金に処されます。
覚せい剤で逮捕されると、釈放される可能性は極めて低く、証拠隠滅の恐れがあるため勾留中の面会もできません。
それだけでなく、覚せい剤で逮捕された人の大多数は起訴されています。
不起訴になるケースは極めて稀です。
そのため、弁護士に依頼した場合、起訴された後150~200万円程度の保釈金を払って釈放を目指すか、執行猶予付きの判決を獲得するような弁護活動を行うことになります。
ただし、営利目的や再犯の場合は執行猶予付きの判決を得る可能性は低いため、できるだけ短い懲役刑を目指すことになります。
4 覚せい剤や大麻などの薬物で逮捕されたら弁護士にご相談を
覚せい剤も大麻も、裁判官が量刑を決めるにあたって営利目的かどうか、初犯か再犯か、所持量や反省の態度の有無など、さまざまな事情を考慮して決めます。
少しでも罪を軽くするため、または保釈を獲得するためには弁護士に相談することが大切です。
違法薬物は、再犯率が非常に高く、一人で薬物を断ち切るのは非常に困難です。
弁護士は被疑者(起訴された場合は被告人)の弁護活動を行うだけでなく、勾留中に薬物依存に関する書籍や資料を差し入れるなど、本人の反省や更正を促すような活動も行っています。
完全に薬物を断ち切り、薬物のない生活に戻るためにも弁護士に相談することをおすすめします。
このコラムの監修者
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田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録
弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、性犯罪事件、窃盗・横領などの財産事件、暴行傷害などの暴力事件などで多数の不起訴経験あり。刑事弁護委員会所属。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。