スピード違反の罰金を支払わないとどうなるのか?
車を運転するときには、制限速度を守らなければなりません。制限速度を1キロでも超えて運転していると、道路交通法違反(スピード違反)となります。
スピード違反でも悪質な場合には罰金刑となりますが、きちんと罰金を納付しない場合、どのようなことになっていくのでしょうか?
今回は、スピード違反の罰金を支払わない場合の流れについて、弁護士が解説します。
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1 スピード違反で罰金刑となるケース
道路交通法では、車を運転する車両は、「制限速度」を守らなければならないことになっています。
普通乗用自動車や大型乗用自動車、軽自動車などの制限速度は、一般道では時速60キロメートル、高速道路では時速100キロメートルです。
制限速度を超えて運転をした場合、道路交通法違反で検挙される可能性があります。ただし、検挙されても、必ずしも罰金刑を適用されるわけではありません。
軽微な違反の場合には「反則金」の支払いにより、刑事罰を免除してもらうことができるからです。この場合には、前科もつきません。
しかし、超過速度が大きくなっている場合や逃げた場合など、悪質な場合には、反則金制度が適用されず、起訴されて刑罰を適用される可能性があります。
おおむね一般道で30キロメートル以上、高速道路で40キロメートル以上のスピードオーバーをすると、罰金刑となることが多いです。
道路交通法におけるスピード違反の罰則は、以下の通りです。
・6か月以下の懲役または10万円以下の罰金 |
スピード違反の場合、よほど悪質でない限り、いきなり通常裁判で懲役刑を選択されることは少ないです。
2 罰金を支払わない場合「強制執行」される
それでは、罰金を支払わなかったらどうなるのでしょうか?
まず、略式起訴されると、自宅に罰金の納付書が届きます。
そして、納付書が届いても支払いをしないで放置しておくと、財産を差押えられる可能性があります。
この場合、特に国や検察庁から裁判を起こされることはありません。既に罰金という刑罰を確定的に適用されているので、裁判する必要がないためです。
そこで、いきなり預貯金や不動産等の資産を差し押さえられて、失うことになります。
3 最終的に「労役場留置」となる
それでは、差し押さえる資産がない人の場合にはどうなるのでしょうか?
その場合には、身柄を拘束されて「労役場」で強制労働をさせられます。
労役場の労働は一般的には1日5,000円で換算されて、罰金の全額に足りるまで働き続けることになります。
労役場に留置されている間の本人の扱いは、刑務所における懲役刑や禁固刑の受刑者と同じです。
面会や家族との連絡なども自由に認められませんし、生活も全面的に管理されて、娯楽もほとんどありません。物品も不足しがちですが、差し入れも限定されますので、極めて不便な生活を余儀なくされます。労役によって罰金を完納できるまでその生活が続きます。
以上のように、スピード違反の罰金であっても、放置していると重大な事態になってしまいます。
交通違反を犯して不安がある方は、弁護士が適切な方法をアドバイスいたしますので、お早めにご相談下さい。
このコラムの監修者
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田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録
弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、性犯罪事件、窃盗・横領などの財産事件、暴行傷害などの暴力事件などで多数の不起訴経験あり。刑事弁護委員会所属。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。