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風俗で本番行為をして罰金を請求された!

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1 はじめに

売春防止法3条は「何人も,売春をし,又はその相手方となってはならない。」と規定し,同法2条で売春を「対償を受け,又は受ける約束で,不特定の相手方と性交すること」と定義しています。

そのため,風俗で本番行為をすることは,本来,売春防止法に違反しますが,黙認されていることが多いという現状です。しかしながら,本番行為をした場合に,風俗店側とトラブルになる場合があります。

では,風俗で本番行為をしたときに,風俗店側から罰金を請求された場合に,どのように対処すればいいのでしょうか?

以下では,風俗店の罰金を請求する意図,罰金請求への対策,罰金の要求により成立しうる犯罪について解説していきます。

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2 罰金を請求する意図

風俗店側が本番行為を理由に罰金を請求するのは次のような意図があります。

 

⑴風俗店側に損害が生じるため

風俗嬢が,本番行為をしないことを前提に仕事を始めたにもかかわらず,本番行為が行われる結果,風俗業に我慢できずに仕事を辞めてしまうことがあります。そして,風俗嬢が仕事を辞めることによって,稼働が下がり風俗店側の売り上げが減少することになります。

そのため,風俗店側の損害が生じることを理由に罰金を請求することが考えられます。

しかしながら,風俗嬢が仕事を辞めるかどうかにかかわらず,本番行為を理由に罰金を請求するのは,損害が生じていないのに罰金を請求することになるので不当な請求となります。

風俗店側に損害が生じることは,罰金を請求する根拠とはなりません。

 

⑵金銭を巻き上げるため

風俗店の利用規約に本番禁止とされているのに本番行為をしたことや,本番行為が売春防止法に違反するといった,相手の不利な立場を利用として,罰金を請求することが考えられます。

しかしながら,利用規約違反や法律違反は建前であり,そもそもお金を脅し取る目的で罰金を請求するので不当な請求となります。

仮に,利用規約違反や法律違反を理由に罰金を求めてきたとしても,次に述べるように,法的に支払う義務はありません。

 

3 罰金請求への対策

風俗店から,本番行為を理由に罰金を請求した場合の対策としては,支払いを拒否することです。

そもそも,風俗店から罰金を請求されたとしても支払う義務はありません。なぜなら,罰金は刑事罰であり風俗店側が請求できる立場にないからです。

一方で,風俗店側が罰金ではなく違約金として金銭の支払いを請求する場合があります。

すなわち,本番行為をしてはいけないという利用規約に違反したことを理由に金銭を請求する場合です。法的には,債務不履行に基づく損害賠償ということになります。

これによれば,一見罰金を支払わなければならないように見えますが,支払う法的義務はありません。なぜなら,利用規約違反を理由に高額な金銭を要求することは暴利行為として公序良俗違反として,無効となるからです。

したがって,風俗店側が罰金や違約金名目で金銭を要求してきた場合には,いずれも法的義務がないため,支払う必要はありません。

仮に,風俗店側の罰金の要求に応じてしまった場合や,本番行為をしたため損害賠償として100万円を支払うといった念書を書いた場合,身分証明書のコピーなど個人情報を風俗店に取られた場合には,弁護士に相談することをお勧めします。

 

4 罰金を要求した場合に成立する犯罪

本番行為を理由に罰金を要求されたとしても支払う必要はありませんが,要求の態様が暴行や脅迫によるのであれば,恐喝罪や強盗罪が成立する可能性があります。

刑法249条1項は恐喝罪について次のように規定しています。

人を恐喝して財物を交付させた者は,十年以下の懲役に処する。

 

刑法236条1項は強盗罪について次のように規定しています。

暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は,強盗の罪とし,五年以上の有期懲役に処する。

 

したがって,風俗店側が暴行や脅迫を用いて罰金を要求した場合や,要求に応じて支払った場合には上記犯罪が成立し,恐喝罪では10年以下の懲役,強盗罪では5年以上の懲役に処される可能性があります。

 

5 おわりに

風俗店で本番行為をした場合や,本番行為をしていないにもかかわらず金銭を要求されたとしても,罰金名目であれ違約金名目であれ支払う義務はありません。また,金銭の要求の態様によっては恐喝罪や強盗罪が成立する可能性があるので,そのような態様の金銭の要求をされた場合には,弁護士に相談することをお勧めします。

また,金銭を要求されて支払ってしまったり,個人情報を風俗店側に取られてしまった場合にも,弁護士に相談することをお勧めします。

法律事務所ロイヤーズ・ハイでは風俗トラブルについて経験豊富な弁護士が在籍しています。風俗店側から金銭の要求をされたり,金銭を支払ってしまった場合には,当事務所の弁護士に相談することをお勧めします。

このコラムの監修者

  • 田中今日太弁護士
  • 弁護士法人 法律事務所ロイヤーズ・ハイ

    田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録

    弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、性犯罪事件、窃盗・横領などの財産事件、暴行傷害などの暴力事件などで多数の不起訴経験あり。刑事弁護委員会所属。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。

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