風俗(デリヘル)で本番行為を行うのは犯罪?不同意強制性交で逮捕されますか? | 大阪難波(なんば)・堺の刑事事件に強い弁護士|弁護士法人法律事務所ロイヤーズハイ

風俗(デリヘル)で本番行為を行うのは犯罪?不同意強制性交で逮捕されますか?

日本国内に存在する風俗店では、いわゆる「本番行為」を認めているお店は皆無と言って良いでしょう。
なぜなら、本番行為を認めてしまうと、お店やそこで働く風俗嬢が、売春防止法違反等で摘発されかねないからです。
そのため、大半の風俗店では本番行為を禁止し、違反した客や風俗嬢には厳しい対応をしています。

しかし、風俗嬢と利用客の間に合意があったとしたらどうでしょうか。あるいは合意があるかどうかあいまいだったらどうでしょうか。

このような場合、客側は逮捕されてしまうのでしょうか。

 

1.風俗店での本番行為は摘発・逮捕されるのか?

 

では早速、核心部分についてお話します。

結論から言うと、2023.7.13の刑法改正によって、サービスの延長で何となく本番行為をしてしまったという程度であっても、

不同意性交等罪として逮捕されたり、処罰を受ける可能性があります。

 

この点、「不同意」性交等罪なので、風俗嬢と利用客との間に「性交渉をすることの合意」があれば,同法で処罰されません。

 

しかし、その時点では合意があったとしても、後々、風俗嬢が悪意をもって「あのときは同意をしていなかった」として刑事告訴をすれば、

不同意性交等罪で逮捕されたり、処罰を受ける可能性があるのです。

 

従来は、強制性交等罪または強制わいせつ罪として規定されていたものが,法改正されました。

かつては、「強制」だったかどうか、すなわち「暴行または脅迫」があったかどうかが焦点でした。

 

しかし、現在は、177条1項,176条1項5号の「同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。」

「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、」いたかどうかが焦点になると考えられます。

 

例えば、風俗店でプレイに熱中するあまり、勢い余って男性器を挿入しようとした際には、

風俗嬢が男性器を挿入されることに「嫌だと思ったり」「嫌だと伝えられなかったり」「嫌だと貫けなかったり」する「いとまがない」ので、

「同意しない意思を形成し、表明しまたは全うするいとまがない」に該当し、それが「困難な状態にさせまたはその状態にあることに乗じて」挿入されたことになり、

不同意性交等罪が成立してしまう可能性があります。

 

なお、売春防止法についても言及させていいただきます。

まず、日本では売春を明確に禁止しており、風俗店での本番行為も売春に該当します。

これは、売春防止法に規定があります。

 

“売春防止法
(売春防止法の定義)
第二条 この法律で「売春」とは、対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交することをいう。

(売春の禁止)
第三条 何人も、売春をし、又はその相手方となつてはならない。”

 

このように売春防止法では、対償を受けて性交すること(お金やモノを支払って性交すること)を売春と定義していますから、風俗店での本番行為も該当するわけですね。

また、第三条では、だれであっても売春をしてはいけないと書いてありますから、やはり違法行為になることがわかります。

 

しかし、売春防止法違反で逮捕される可能性は低いでしょう。

なぜなら、売春防止法の第三条には罰則規定がないからです。

売春のあっせんや売春業の経営には罰則規定がありますが、単なる売春行為では罪を罰することができないためです。

したがって、風俗店の本番行為でまず注意すべきなのは、不同意性交等罪、ということになります。

 

2.本番行為とは。不同意性交等罪で逮捕される可能性

 

ここで注意したいのが、「本番行為は密室で二人きりの状況で行われる」ということです。
風俗店での本番行為は、密室の中に二人きりでサービスを受けている状態で行われますよね。
つまり、当人同士以外は、当時の状況がわからないわけです。

 

仮に風俗嬢が通常のサービス料に上乗せしてお金を支払うことで、本番行為を許容したとしましょう。

また、お客側も条件に合意し、すべてが済んだ後で、本番行為がお店にばれたとします。

このとき、風俗嬢が「無理やり本番行為を強制させられた」「同意していなかったのに、いつの間にか本番行為をさせられた」と、虚偽の主張を繰り返すと、状況は複雑になるでしょう。

密室だけに、「被害者」を装われると、お客側の立場は危うくなります。

 

すなわち,上記で説明したように、刑法177条の不同意性交等罪に該当してしまうと、逮捕される可能性も高まります。

(不同意わいせつ)
第百七十六条 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕がくさせること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

(不同意性交等)
第百七十七条 前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛こう門性交、口腔くう性交又は膣ちつ若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。

 

「前条第一項各号に掲げる行為」は、刑法176条1項5号で「同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。」という定めがあります。

特に、風俗嬢との性交渉にあたっては、当該条文が問題になる可能性があると考えられます。

また、法改正以前と同じく、無理矢理に力づくで性交渉を行った場合には、

刑法176条1項1号の「暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。」なども問題になりうるでしょう。

 

不同意性交等罪は5年以上の有期拘禁刑との規定がありますから、逮捕・起訴される可能性は十分にあります。

 

簡単に言うと「合意の上だったか、同意していなかったか」という点ですね。

 

もし風俗嬢側が「無理やりだった」「同意していなかったのにいつの間にか男性器を入れられていた」と主張してくれば、それに対する反論が求められます。

 

また、密室の中で当人同士だけが知り得る状況を、第三者にどう納得させるかが非常に重要です。

 

3.本番行為によるトラブルはすぐ弁護士に連絡を

 

このように、「不同意性交等罪」が定められたことで風俗店での本番行為についての状況は変わりました。

したがって、逮捕を回避するには、示談交渉の有無や状況を説明する力の重要性が増しています。

また、日本の刑事事件は、起訴されると99%の確率で有罪判決が下されます。

さらに、有罪判決が下されると前科になり、その後の人生にも影響がでてしまいます。

起訴を回避するには示談交渉が効果的で、これには弁護士の介入が不可欠と考えて良いでしょう。

弁護士が間に入ることで、風俗店・風俗嬢からの高額な損害請求を防ぐ、風俗店や風俗嬢と直接やりとりをせずに済むなどのメリットがあります。

法律事務所ロイヤーズ・ハイでは性犯罪・風俗トラブルに関し経験豊富な弁護士が在籍しています。

万が一、風俗店での本番行為がトラブルに発展しそうならば、当事務所の弁護士に相談することをお勧めします。

このコラムの監修者

  • 田中今日太弁護士
  • 弁護士法人 法律事務所ロイヤーズ・ハイ

    田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)
    弁護士ドットコム登録

    弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。
    大手法律事務所で管理職を経験し、性犯罪事件、窃盗・横領などの財産事件、暴行傷害などの暴力事件などで多数の不起訴経験あり。刑事弁護委員会所属。
    お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。

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