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IR推進法案可決!カジノは賭博罪の対象にならない?

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カジノは賭博罪の対象にならない?

日本人にとって賭け事といえば、パチンコや競馬・競輪が一般的です。そのため、カジノを思い浮かべる人は少ないかもしれません。日本でも2016年12月15日に、カジノを含む総合型リゾート施設(IR)の整備を推進する法案(カジノ法案)が成立しましたが、2018年7月時点でカジノは日本にありません。社会経済上大きなメリットをもたらすともいわれているカジノは、賭博罪の対象とはならないのでしょうか。賭博罪とカジノの関係について解説します。

1.そもそも賭博罪ってなに?

強盗罪や殺人罪と異なり、ニュースでもなかなか耳にする機会が少ない賭博罪。簡単に言うと、賭博罪(賭博及び富くじに関する罪)は、偶然の出来事によって勝敗を決める不埒な賭け事を禁止しています。「不埒な」というのがポイントで、パチンコや競馬、競輪など国の認めている公営ギャンブルなどは賭博罪の対象ではありません。

刑法上、賭博罪は3つの類型にわけて規定されています。

単純賭博罪

賭博罪では、結果が偶然の出来事に左右されるものに賭けることが禁止されています。金銭を賭ける場合だけでなく、何らかの財産を賭けると賭博罪は成立します。一方、軽微な価値しか得られない場合には賭博罪の対象外とされます。たとえば、ジュースを賭けてじゃんけんをすることや、ランチ代をかけて麻雀をすることは賭博に当たらないでしょう。
また、懲役刑がないのが単純賭博罪の特徴です。

“刑法 185条
賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。”

常習賭博罪

常習賭博罪は、賭博を繰り返している人、もしくは繰り返す傾向にある人を重く処罰する規定です。常習か否かは、賭博行為の回数、賭博行為の種類、賭けた金額、前科等から総合的に判断されています。一度目の賭博であっても常習賭博罪が成立する可能性はあるので、注意が必要です。

“刑法 186条1項
常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処する。”

賭博場開帳罪

賭博場開帳罪は、主催者として入場料や参加費を支払えば賭博を行える場所を提供して利益を取得する行為を禁止しています。自ら利益を得ているわけでなくても、賭博場開帳罪の幇助犯が成立する可能性はあります。実際に、闇カジノにおいてディーラーとしてトランプやチップを配っただけで賭博開張罪の幇助犯に当たると判断した判例もあります。

“刑法 186条2項
賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月以上五年以下の懲役に処する。”

2.禁止されるギャンブルとそれ以外のギャンブルの違いは?

賭博罪の対象となるギャンブルを放任してしまうと、労働意欲が社会に悪影響が出ると危惧されているのです。しかし、広く一般に親しまれているパチンコは、合法です。パチンコ依存症で身を持ち崩す人が少なくないのは周知の事実です。このため、一部からは賭博罪には何の意味もないとの批判があります。このあたりの線引きは、判断が難しいところですね。
ただし、合法か否かは、それを許容する特別法があるか否かによります。たとえば、賭けマージャンのように娯楽として広く行われていても、それを許容する条文がなければ賭博罪は成立するのです。

では、カジノについてはどうでしょうか。

3.IR推進法案可決!カジノは賭博罪の対象にならない?

2018年6月時点において、日本でカジノを許容する条文はありません。このため、オンラインカジノなど、いわゆる「闇カジノ」は賭博罪の対象です。賭博行為を行うサイトが海外のサーバー上にあったとしても、日本で賭博行為の一部が行われれば罪になるのです。
つまり、自宅(日本国内)から海外のオンラインカジノサイトに参加すると、賭博罪が成立する可能性がある、というわけですね。

今後日本でカジノが合法になれば、カジノは賭博罪の対象外として法整備が進むでしょう。今は、法案の行方を見守るほかありません。
ちなみに、日本人が海外でカジノに行っても処罰されることはありません。法律が整備される前にカジノを楽しみたいなら、海外に行ってみてはいかがでしょうか。

このコラムの監修者

  • 田中今日太弁護士
  • 弁護士法人 法律事務所ロイヤーズ・ハイ

    田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録

    弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、性犯罪事件、窃盗・横領などの財産事件、暴行傷害などの暴力事件などで多数の不起訴経験あり。刑事弁護委員会所属。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。

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