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SNSでの誹謗中傷は何罪に該当しますか?

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FacebookやTwitter、InstagramといったSNSを利用している人は多いです。
様々な情報を知れるだけではなく、自分が発信したい情報を多くの人たちに提供することもできます。
生活に潤いを与えるツールでもありますが、誹謗中傷には注意が必要です。
ネットでの誹謗中傷に苦しんだ有名人が亡くなったケースも実際に起きています。
ストレス発散のため、周りが言っていたから、という理由でも他人を苦しめる行為はしてはいけません。
もし、過去や現在SNSで誹謗中傷をしたことがあるのなら、訴えられる危険もあるので気を付けましょう。
SNSでの誹謗中傷が何罪に該当するのか、解説していきます。

 

1 誹謗中傷とは?

まず、誹謗中傷がどういったことなのか理解することから始めましょう。
誹謗中傷は、「誹謗」と「中傷」の2つの言葉を合わせた言葉です。

誹謗:根拠のない悪口を言うなどして他人を傷つける行為のことです。

中傷:根拠のない悪口などを言いふらして他人の名誉を傷つける行為です。

 

そのため、誹謗中傷は「根拠のない悪口で心や名誉を傷つける」ことと言えます。

なぜ、SNSで誹謗中傷を行ってしまうのか、その理由のひとつとして「匿名性」が挙げられます。
実名を公表していないことで、悪口を言っても大丈夫だろうと感じ、誹謗中傷を行ってしまうのです。
また、「集団心理」も理由のひとつでしょう。
誰かが発信している情報に対してのコメントに、他の人も書いているからと自分も中傷コメントをしてしまうのです。
「他の人もやっているから大丈夫」だと安易に考えていることで、間違った行動を引き起こしているのでしょう。
この他にも、ストレス発散のためだけに自分以外の人に誹謗中傷して傷つけてしまう人もいます。
相手が悲しんでいる、困っている姿を見て楽しんでいる人もいるので悪質です。

 

2 実際に起こった誹謗中傷トラブル

これまでにも、SNSやネット上で誹謗中傷によるトラブルが起こっています。
間違った道に進まないためにも、どういったトラブルが起こってきたのかその事例を確認していきましょう。

 

⑴住所や氏名が特定される

これは、SNSで自分が発信したことが原因で炎上し、トラブルになるケースです。
不特定多数の人を不快な思いにしたことで、あらゆる人たちがどんな人物であるのかを知るために、特定しようとするのです。
本名や住所、母校までもが特定されるケースは実際によく起こっています。
これは、SNSを活用して炎上させるような言動をしてしまった人も悪いですが、住所を特定して拡散した人にも罪があります。
どちらにもならない気を付けてください。

 

⑵殺人事件に発展

誹謗中傷をきっかけに殺人事件に発展したケースもあります。
ある男性が殺された事件なのですが、被害者の男性に対して誹謗中傷を続けていた加害者が、IDを削除されたことに恨みを感じ、殺人を犯してしまったのです。

また、芸能界でも誹謗中傷によるトラブルは巻き起こっています。
これまでにも、ブログにある特定の俳優に対する事実無根の情報を掲載し、多くの人たちに広めたとして書類送検された事件もあります。
有名人のブログのコメントに連日のように悪質な書き込みをして同じく書類送検された人もいます。
このようなトラブルは、実に多くの人を傷つけ悩ませているのです。

 

3 SNSでの誹謗中傷は何罪に該当する?

ここからが本題です。
SNSでの誹謗中傷に傷ついている人だけではなく、これまでに誹謗中傷をした経験のある人も気になるはずです。
誹謗中傷をすることで、何罪に問われるのか解説していきます。

 

⑴侮辱罪

刑法231条には、「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。」と記されています。
これが侮辱罪となります。
具体的な事実はなくても、「バカ」や「デブ」、「アホ」などと人をののしるような言動は侮辱罪となり、処罰されるでしょう。
SNS上では、冗談のつもりで書き込みをしている人もいるでしょう。
しかし、言われた当人が傷つきや悩んでいれば侮辱罪となるので、相手の立場に立って考えることが何よりも大切です。

参照:【早わかり】侮辱罪の厳罰化!どう変わった?罪に問われたらどうするべき?

 

⑵名誉棄損罪

名誉を傷つけられるような言動によって社会的地位が下がると名誉棄損罪となります。
書き込みの内容については、例え事実でなくても罪に問われるのです。
刑法第230条では、「事実の有無に関わらず3年以下の懲役、または禁錮または50万円以下の罰金」と記されています。
噂話でも、地位を低下させるような内容であれば名誉棄損は成立するため、「ただの噂話だから」と楽観視しないよう注意しましょう。

 

⑶脅迫罪

生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫する行為は脅迫罪となります。
「死ね」「家を燃やすぞ」「家族に危害を加えるぞ」「家に行って殴ってやる」といた言動は全て脅迫罪となります。
脅迫罪は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金という処罰が与えられます。
例え実際に行動しなくても、脅す行為があれば成立する犯罪なので、万が一脅迫行為を受けたら弁護士や警察に相談しましょう。

参照:脅迫罪・強要罪

 

⑷信用毀損及び業務妨害罪

企業が評判を落とされるような言動をSNSに投稿することで、多くの人が目にして売上ダウンやサービスの提供に影響を与えることで、成立する犯罪行為です。
3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されるのですが、例え嘘の書き込みであっても業務を妨害した事実が認められれば犯罪となります。

この他にも、威力業務妨害罪や偽計業務妨害罪にあたる書き込みなどもあるので、SNSの投稿は十分に注意する必要があるでしょう。

 

4 誹謗中傷されたらどうすれば良い?

自分が他人や企業に対して誹謗中傷したのではなく、された側になったらどういった対応をすれば良いのでしょうか?
まずは、SNSの規約を確認してみましょう。
SNSによって様々な規約があります。
例えば、Facebookはプライバシーの侵害や誹謗中傷することを禁止しています。
もし、そういった書き込みがあれば削除要請を行うことで、削除してもらえる仕組みです。
そのため、誹謗中傷された場合には要請することを考えて中傷された際の投稿を写真に収めるなどして保存しておきましょう。
ただし、中には削除要請をしても「表現の自由」を尊重して削除してくれないケースもあります。
法に触れるような投稿であれば削除にも応じてくれるでしょうが、個人が依頼したとしても無視されるケースは少なくありません。
依頼をしても削除されない場合には、法的手段も考えましょう。
特に大企業であれば、削除依頼をするにも躊躇してしまうことがあります。
そんな時には、弁護士に相談することも検討してみてください。
弁護士が間に入ることで、削除依頼に応じる場合もあります。
弁護士が依頼しても削除されなかった場合には、法的措置へと進むこともできます。
仮処分の申し立てや訴訟など、難しいことでも弁護士であればスムーズに手続きを行ってくれるので安心でしょう。

 

5 まとめ

SNSでの誹謗中傷は社会問題となっています。誹謗中傷している側は、匿名であるから、他の人もやっているから、といった軽い気持ちで行っていることが多いです。

しかし、名誉棄損や脅迫、侮辱罪といった様々な罪になる可能性があるので、自分の人生を壊さないためにも、今すぐ行動を改めましょう。

また、SNSで誹謗中傷を受けたことがある場合、相手を法的に処罰することも可能です。
心の傷が消えることはありませんが、罪の重さを加害者に分かってもらうためにも、法的処置を検討してみてはいかがでしょう。

その時には、弁護士に相談するとスムーズに物事が進んでいくため、手間を掛けても相談することをおすすめします。

このコラムの監修者

  • 田中今日太弁護士
  • 弁護士法人 法律事務所ロイヤーズ・ハイ

    田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録

    弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、性犯罪事件、窃盗・横領などの財産事件、暴行傷害などの暴力事件などで多数の不起訴経験あり。刑事弁護委員会所属。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。

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