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転売は違法なのですか?

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アイドルのチケット転売や、偽ブランド品の転売など、違法な転売に関するニュースがよく流れています。転売自体が違法であるかのようなイメージを持っている方もいるかもしれませんが、実際は転売という行為自体は違法ではありません。この記事では、違法行為になる転売にはどのようなものがあるのか、具体的にご説明します。

 

1 転売自体は違法ではない

大前提として、転売は違法ではありません。転売は自分が購入したものを販売することですが、これは卸売業者や小売業者などもやっていることです。

最近はオークションサイトやフリマアプリを介して誰でも転売を行いやすくなってきましたが、一方で他人に迷惑をかけるような転売や、法に触れるような転売がされてニュースになることも少なくありません。

転売という行為そのものでは違法ではないものの、転売にまつわる法律に違反してしまうと、トラブルに発展したり逮捕されたりする恐れがあります。

では、具体的にどのような場合に転売が法に触れるのでしょうか?

 

2 違法行為にあたる転売7つのケース

ここでは、違法行為にあたる転売についてご説明します。

⑴古物商許可を取らずに転売をした

⑵マスクを転売した

⑶ダフ屋行為を行った

⑷イベントのチケットを転売した

⑸偽物・コピー品を転売した

⑹お酒を転売した

⑺法律で禁止・規制されている海外輸入品を転売した

 

⑴古物商許可を取らずに転売をした

古物商とは、中古品を買い取って他の人に売るビジネスを行う人のことを指します。営業として転売をするのであれば、事前に古物商許可を得ていなければなりません。

営業というのは、営利目的で特定の行為を反復して行うことをいいます。

自分が使っていた不用品や、1度着たけれどサイズが合わなかった服を売るような場合は営業として行っているわけではないので、古物商許可がなくても問題はありません。

 

⑵マスクを転売した

新型コロナウイルスの流行でネット上でのマスクの価格が高騰しました。マスクの転売は元々違法ではなかったですが、2020年の3に国民生活安定緊急措置法の品目にマスクが追加され、マスクを高額で転売する行為が取り締まられるようになりました。

国民生活安定緊急措置法とは、生活必需品の価格高騰が起きた際に、販売者に当該商品を適正な価格で販売することを義務付ける法律のことです。マスク転売で逮捕・起訴された場合、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金に処せられる恐れがあります。

 

⑶ダフ屋行為を行った

ダフ屋とは、チケットなどを買い占めて、チケットを変えなかった人に法外な価格で転売することをいいます。チケットを買い占める目的で人を雇って売り場の列に並ばせる、イベント会場で声をかけてチケットを転売する行為などもこれにあたります。

チケットが買い占められて数万円・数十万円といった価格で販売をすると、コンサートやライブなどに参加したかった人が参加を諦めなければならず、多くの人が迷惑を被ります。

そのため、ダフ屋行為は都道府県の迷惑防止条例で禁止されています。

 

⑷イベントのチケットを転売した

チケットの転売行為はチケット不正転売禁止法(正式名称:特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律)によって禁止されています。もともとダフ屋を取り締まる法律はありませんでしたが、2019年に同法が施行され、ダフ屋の取り締まりが強化されました。

ただ、チケットの転売行為全てが違法になるとは言い切れません。チケット不正転売禁止法が対象としているイベントは、国内で行われる映画や音楽、舞踊といった芸術、芸能やスポーツなどです。

とはいえ、転売目的でチケットを買い占める行為は他の人に迷惑をかけるため、先ほどお伝えしたように各都道府県の迷惑防止条例に違反する可能性もあります。

 

⑸偽物・コピー品を転売した

偽物やコピー品を販売する行為は、商標権の侵害として罪に問われる恐れがあります。罰則は10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金と重いものになっています。

特に、ブランド品の偽物を常習的に転売するようなケースでは被害額が大きくなりやすく、以下の例のようにニュースになることも少なくありません。

・偽ナイキシューズ売却疑い 男2人逮捕、北海道警

・グッチの偽スマホケースを転売目的で所持 経営者の女ら3人が逮捕

・偽ブランド品などで月500万円 スマホケースの商標法違反容疑で雑貨店経営者ら逮捕

 

また、刑事だけでなく民事で責任を追求されることもあります。具体的には、偽物の販売で不当に得た利益を請求されたり、名誉回復のための措置を求められたりすることがあります。名誉回復のための措置とは、例えば謝罪広告の掲載などのことです。

 

⑹お酒を転売した

お酒を販売するには、事前に一般酒類小売業免許を取得する必要があります。免許を取得することなくお酒を販売すると、酒税法違反で1年以下の懲役または20万円以下の罰金に処されられる恐れがあります。

お酒の販売が許可制になっている背景としては、税収の確保や未成年の飲酒防止といったものが挙げられます。

 

⑺法律で禁止・規制されている海外輸入品を転売した

海外から輸入をして転売をすること自体は違法ではありませんが、以下に当てはまる行為をした場合は罪に問われることがあります。

①輸入禁止・規制品目を転売した

②税関に虚偽の申告をした

 

①輸入禁止・規制品目を転売した

輸入禁止・規制品目とは、文字通り関税法で輸入が禁止、制限されている品目のことです。

輸入が禁止されている品目とは…

・麻薬、大麻、アヘン、覚せい剤など

・指定薬物

・銃

・爆発物

・火薬類

・児童ポルノ など

 

輸入禁止品目についてより詳しく知りたい方は、輸出入禁止・規制品目を参照してみてください。

また、輸入が制限されている品目に関しては、食品、植物、医療記事、医療品、ワシントン条約に該当する物品など多岐に渡るので、輸入を検討している方は税関に確認しましょう。

 

②税関に虚偽の申告をした

海外からの輸入には、次の2種類があります。

・個人輸入:個人使用目的での輸入

・小口輸入:営利目的での輸入

 

小口輸入よりも個人輸入の方が関税の金額が安くなります。関税を安く抑える目的で、転売のために輸入をしたにもかかわらず個人輸入として申告をすると、脱税になります。

ただ、輸入をする際は毎回何かしらの手続きをすることはなく、通関の担当者が個人輸入なのか小口輸入なのか判断をします。転売目的で個人輸入をしたとしても、実際はすぐに何かおとがめがある訳ではなく、発覚しないことも珍しくはありません。

しかし、関税に転売目的で個人輸入をしていたことが発覚すると、追徴課税としてこれまで納めてこなかった税金を請求されます。継続的に輸入物を転売することを考えるのであれば、個人輸入分の関税を払っても利益が出る商品を選ぶようにしましょう。

 

3 まとめ

転売自体は違法ではないものの、人に迷惑をかけたり法に触れるような転売をしたりしてしまうと、逮捕されてしまうこともあるかもしれません。営利目的で中古品を売る際は、一度転売にまつわる法律について調べておくのが無難でしょう。

このコラムの監修者

  • 田中今日太弁護士
  • 弁護士法人 法律事務所ロイヤーズ・ハイ

    田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録

    弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、性犯罪事件、窃盗・横領などの財産事件、暴行傷害などの暴力事件などで多数の不起訴経験あり。刑事弁護委員会所属。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。

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