性犯罪における親告罪の廃止 | 大阪難波(なんば)・堺の刑事事件に強い弁護士|弁護士法人法律事務所ロイヤーズハイ

性犯罪における親告罪の廃止

性犯罪の規定が改正される前は、被害者の告訴が必要とされていました。
2017年に性犯罪における親告罪の廃止がされ、告訴がなくても起訴できるようになりました。

そこで今回は性犯罪における親告罪の廃止された経緯やどのように改正されたのかを見ていきましょう。

 

性犯罪における「親告罪の廃止」

親告罪とは、被害者が加害者へ告訴しなければ、事件として扱わないというものです。
2016年6月16日に一部刑法が大幅に改正され、2017年7月17日、性犯罪における親告罪の規定が廃止されました。

明治40年以来の110年ぶりの改定となっています。
どのように改正されたのか改正前と改正後で比較してみましょう。

○改正前

起訴条件

被害者が告訴する必要がある

被害者

女性が対象

罪名、法定刑

1.強姦罪/懲役3年以上
2.強姦致死傷罪・準強姦致死傷罪/無期または懲役5年以上

監護者(親などの)18歳未満への性的行為罰則

なし

○改正後

起訴条件

被害者が告訴しなくて良い

被害者

男性も対象に

罪名、法定刑

1.強制性交等罪/懲役5年以上
2.強制性交等致死傷罪/無期または懲役6年以上

監護者(親などの)18歳未満への性的行為罰則

監護者性交等罪または監護者わいせつ罪の新設
 
項目ごとにどのように改正されたかを詳しく解説していきます。
 

起訴条件

改正前は、被害者の告訴がないと加害者を起訴できませんでしたが、被害者による告訴がなくても加害者を起訴できるように改正されました。
つまり、被害者が親告する必要がありません。

今まで親告罪とされていたのには、理由があります。
被害者が加害者を起訴することで、被害者のプライバシーが侵害される可能性があったからです。

しかし、実際に被害を受けた被害者にとっては告訴をするかしないかで精神的な不安を被っていました。そのため、被害者の精神的負担を減らすために性犯罪における親告罪が廃止されたのです。
 

被害者

次に、被害者はこれまで女性のみが対象となっていましたが、被害者の対象は性別が関係なくなりました。

これまでは男性が性被害を受けても、強姦罪で訴えることはできませんでしたが、男性が性被害を受けた場合も強制性交等罪・強制性交等致死傷罪に問えるようになったのです。

つまり、女性が男性に性犯罪を働いた場合も、被害者の男性が加害者の女性を訴えることが可能となりました。
 

罪名、法定刑

罪名はこれまで女性が対象の「強姦罪」でしたが、男性も被害者の対象となり、「強制性交等罪」と名称が変わりました。同じように、「強姦致死傷罪」・「準強姦致死傷罪」も「強制性交等致死傷罪」へと名称が変更になっています。

「強姦罪」という制限がなくなったことにより、強制性交等罪が成立するケースが広がりました。

これまでは強姦のみが対象でしたが、他人に対して性交・肛門性交・口腔性交を行った場合も処罰されるようになったのです。

また、法定刑も厳罰化され、懲役3年から最低でも5年の懲役が必要となりました。
法定刑が引き上げられたことにおり、「集団強姦罪」と「集団強姦致死罪」も廃止されています。
 

監護者(親などの)18歳未満への性的行為罰則

これまでは親などによる18歳未満への性的虐待などが罰則されませんでしたが、監護者による子供への性的虐待も処罰されることとなりました。

家庭内で親などの監護者による性的虐待が18歳未満の子供に行われた場合、暴行や脅迫をされなくても新設された「監護者性交等罪」または「監護者わいせつ罪」に問えるのです。

この監護者への罰則は、学校教員などの指導者は原則の対象ではありません。
親または親子関係同様の関係があれば、監護者とされます。
そのため、家庭の事情によっては養護施設の職員は監護者に当たる可能性もあるでしょう。

 

3年後の改正の見直しの課題

2017年に刑法の大幅改正がされた時、3年後に改正の見直しが附則されていました。
今年、2020年に性犯罪の刑法の見直しを実現させるために、性犯罪における刑法の議論がされています。

どのような性犯罪の見直しが必要とされているのか、見ていきましょう。
 

暴行や脅迫被害の証明の難しさ

これまでは法律が甘いと言われていた性犯罪ですが、親告罪が廃止されて法定刑の下限が引き上げられたことにより、適正化されました。
しかし、まだこの法律には問題があるとされています。

それは、加害者による暴行や脅迫があったことを明確に証明するのが難しいことです。
被害者は怖さや絶望感から加害者に反抗をしたり、逃げ出したりできない方が大半です。

第三者から見ると「そのくらいなら反抗できたのでは?」「逃げられたのでは?」と言われることも珍しくありません。
このように、暴行や脅迫をされたと捉えられないケースは多く、泣き寝入りをする被害者はとても多いのが実態なのです。
 

性犯罪の時効問題

また、性犯罪における時効問題もまだ残されています。
強制わいせつ罪の時効は7年、強制性交等罪の時効は10年です。
この時効は、犯罪行為が終了した時点からカウントされます。

しかし、被害者にしてみれば、自分が受けた被害を他人に伝えることはとても難しく、勇気がいることです。何年、何十年と経ってからようやく人に打ち明けられたという方も珍しくありません。

その時にはもう加害者の時効が過ぎてしまっていることもあるでしょう。
こういった問題を解決するためには、時効の延長や被害者が成人してなければそれまではカウントしないなどの制限を設ける必要があるのです。
 

「NO MEANS NO」法制

世界では今、「NO MEANS NO」法制が普及しています。
NO MEANS NOとは、相手の合意なく性行為を行った場合、犯罪として認めるというものです。

しかし、日本においては、合意でない性行為を行ったことが明らかだとしても、暴行や脅迫被害の証明をしなければ、罪に問うことが難しいです。

そのため、警察に被害届をだしても60%が不起訴となっているのが実態となっています。
世界では、日本の刑法で必要な要件は廃止されています。
合意のない性行為自体が犯罪なのです。

性犯罪が成立するために必要な要件を国別に見てみましょう。

  • 日本:暴行や脅迫の証明
  • 韓国:暴行や脅迫の証明
  • ドイツ:不合意・不意打ち
  • フランス:暴行・脅迫・強制・不意打ち
  • 台湾:不合意・暴行・脅迫

カナダ、イギリス、インドなどでは、不合意なことが要件となっています。
また、スウェーデンにおいても合意でない性行為は処罰の対象です。
 

性交同意年齢問題

「性交同意年齢」とは、性行為がどのような行為なのかを理解して、性行為に応じたいか応じたくないかを正しく判断できる年齢です。
日本では性交同意年齢が13歳に指定されていることも問題です。

カナダやイギリスでは、16歳、フランスやスウェーデンでは15歳に指定されています。
諸外国では、同意の有無に関係なく、18歳未満の子供に対して大人が性行為を行うことは犯罪にしようという声が上がっています。

13歳で性教育の勉強はするかもしれませんが、正しい判断ができる年齢とは言えないでしょう。性交同意年齢の引き上げもまた、今後の刑法改正で必要となるでしょう。
 

まとめ

2017年に親告罪が廃止され、加害者を起訴するために、被害者による告訴が不要となりました。性別を問わず被害の対象となり、法定刑も厳罰化されました。

しかし、まだ性犯罪における課題は沢山残っています。
2020年の改正の見直しを実現させるために、多くのプロジェクトや女性が活動しているのが現状です。

このコラムの監修者

  • 田中今日太弁護士
  • 弁護士法人 法律事務所ロイヤーズ・ハイ

    田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)
    弁護士ドットコム登録

    弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。
    大手法律事務所で管理職を経験し、性犯罪事件、窃盗・横領などの財産事件、暴行傷害などの暴力事件などで多数の不起訴経験あり。刑事弁護委員会所属。
    お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。

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