「書類送検」とは?正しい意味と対処方法を弁護士が解説!
テレビのニュースなどを見ていると、犯罪の加害者が捜査を受けるとき「逮捕」される場合と「書類送検」される場合があることに気づくはずです。
「書類送検」とはいったいどのようなことなのでしょうか?逮捕との違いや、書類送検されるケースはどのような場合なのか、押さえておきましょう。
今回は、「書類送検」の正しい意味と対処方法を、弁護士が解説いたします。
1 書類送検とは
書類送検とは、被疑者を逮捕せずに犯罪の捜査が行われた結果、犯罪を犯している蓋然性が高いとして、検察官に捜査関係書類が送られることです。
警察は、犯罪が行われたのではないかと疑われる場合、捜査を開始します。このとき、被疑者を逮捕することもありますが、逮捕するだけの証拠がない場合もありますし、逮捕の必要性がないこともあります。
そのような場合、被疑者の身柄を確保しないまま、捜査を進めます。その結果、実際に犯罪を犯した蓋然性が高いということになると、逮捕することもあるのですが、逮捕はせずに書類だけを検察官に送致することがあるのです。
この方法を、書類送検と言います。
書類送検された場合、検察官のもとに捜査関係書類が送られたということですから、事件としては立件されているのですが、逮捕されていないので、被疑者の身柄は拘束されていません。
2 書類送検される場合
それでは、書類送検されるケースとは、どのような場合なのでしょうか?
書類送検が選択されるのは、逮捕の必要性がない場合です。
たとえば、被疑者に逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれなどがなく、犯罪も軽微な場合にはあえて逮捕する必要性がないので、書類送検が選択されやすいです。
反対に、重大な犯罪のケースや被疑者が住所不定のケース、逃亡のおそれや証人威迫のおそれがある場合などには、書類送検されずに逮捕されます。
3 書類送検されるまでの期間、流れ
それでは、犯罪を犯した後、書類送検されるまでにはどのくらいの期間がかかり、どのような流れになるのでしょうか?
書類送検の場合、被疑者の身柄が拘束されないので、身柄制限に関する期間制限が適用されません。警察は、時間をかけて必要な捜査を継続します。
そこで、捜査が開始されても、すぐには書類送検されません。ときには数ヶ月が経過してから、ようやく証拠が集まって書類送検されることなどもあります。
4 書類送検されたときの対処方法
もしも書類送検されてしまったら、どのように対処するのが良いのでしょうか?
書類送検されたということは立件されたと言うことですから、検察官によって起訴されて、刑罰を適用される可能性があります。
起訴を避けるためには、被疑者がしっかり反省していることを示したり監督者がいることを主張したり、被害者と示談を進めるなどして良い情状を集める必要があります。
書類送検されても、起訴さえされなければ刑事裁判にならず、前科がつくこともないので、まずは不起訴を目指しましょう。
以上のように、書類送検されてしまったら、適切に対応して不起訴処分を獲得することが重要です。もしも犯罪を犯して捜査対象となってしまっているならば、弁護士がアドバイスいたしますので、お早めにご相談下さい。
このコラムの監修者
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田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録
弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、性犯罪事件、窃盗・横領などの財産事件、暴行傷害などの暴力事件などで多数の不起訴経験あり。刑事弁護委員会所属。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。