弁護士に自首に同行してほしい
目次
1 はじめに
当事務所に次のようなご相談が寄せられました。
昨日、駅から自宅まで帰宅する途中、以前より欲しいと思っていた高級な自転車を見つけ、施錠されていなかったのをいいことに盗んでしまいました。
今になって罪悪感でいっぱいです。警察に自首した方がいいでしょうか。もし自首する場合、何か準備しておくことはありますか? |
犯行の事実を自ら警察に告げる際、弁護士と同行した方が単独で自首するよりもいろいろなメリットがあります。詳しくご紹介していきます。
2 「自首」と「出頭」の違い
ご相談の内容を見ると「自首」と書いていますが、これと似た「出頭」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。自首と出頭、似ているようで意味は異なります。
まだ発覚していない事件について警察や検察に犯行を告げ、処分を求めることを「自首」というのに対し、捜査機関がすでに事件を把握している段階になってから処分を求めることを「出頭」といいます。
ご質問をいただいた方の場合、自転車の所有者の方がまだ被害届を提出されていない場合は「自首」、所有者が自転車を盗まれたことを把握しており、警察に被害届を提出している場合は「出頭」となります。
3 なぜ弁護士が同行した方がいいのか
自首そのものは加害者一人でもできます。ですが、刑事事件に強みを持つ弁護士と同行した方が加害者にとってもメリットが大きいので、自首する際は弁護士と同行することをすすめています。
⑴逮捕後にすぐに弁護士を探す必要がない
通常の逮捕なら、身柄を拘束された後、勾留されないために逮捕されてから最大で72時間以内に適切な弁護人を探さなければなりません。自首の場合、まだ警察に身柄を拘束される前の段階ですから、安心して相談できる弁護士を自ら探すことができます。
⑵警察や検察から不当な扱いを受ける心配がない
被疑者が逮捕・身柄拘束される前からすでに弁護人がいることを捜査機関も把握しているので、取り調べなどで不当な扱いを受ける心配がありません。万が一不当な扱いを受けた場合は、弁護士を通じて抗議できます。
⑶処分が軽くなることも
自首するということは、反省しているとみなされて、処分が軽くなるケースもあります。あまり期待してはいけませんが、勾留されても早期に釈放してもらえたり不起訴処分になったり、起訴されても執行猶予がつく可能性もあります。
⑷加害者の精神的な負担を減らせる
逮捕された後、今後自分がどうなってしまうのかわからないまま厳しい取り調べを受けるよりは、逮捕前の段階からわからないことを相談できる弁護士がいると精神的にも安心できます。「自分には弁護士がついている」というだけで心強く感じるものです。
4 自首するときのポイント
⑴証拠となるものを用意する
自首するにあたって自分が犯人であるとわかるような証拠を用意します。主に、犯行当時の服装やカバン、交通系ICカードや携帯電話も、犯行に関係のあるものなら用意しておきます。
冒頭でご相談いただいた方の場合、窃盗した自転車を持参するか、写真に残してすぐに警察に見せられるようにしておくと良いでしょう。
⑵弁護士と相談して自首する日時を決める
軽微な犯罪の場合、自首するためにいきなり警察に行っても担当者不在ですぐに対応できないと言われてしまうこともあります。弁護士が事前に警察に連絡すれば、自首した際に速やかに対応してもらえます。
5 自首するときは弁護士と同行しよう
魔が差したとはいえ、罪を犯したのなら逃げずに処分を受けるべきです。警察に突然逮捕されるよりは、自ら警察に申し出た方が反省の態度が見られるとして逮捕後の扱いも変わってきます。
弁護士は、自首するときも逮捕後も精神的な支えとなります。これから自首を考えている方は、刑事事件に強みを持つ弁護士にまずはご相談ください。
このコラムの監修者
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田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録
弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、性犯罪事件、窃盗・横領などの財産事件、暴行傷害などの暴力事件などで多数の不起訴経験あり。刑事弁護委員会所属。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。