社内、職場での盗撮事件を起こした場合の7つのデメリットと対応策 - 刑事事件に強い大阪の弁護士法人ロイヤーズハイ

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社内、職場での盗撮事件を起こした場合の7つのデメリットと対応策

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社内、職場での盗撮事件を起こした場合の7つのデメリットと対応策

 

目次

1 会社内、職場での盗撮の動機

盗撮というと駅のエスカレーターやホーム、ショッピングモールが多いのですが、実は、会社内、職場での盗撮事案というのも相応に発生しています。なぜ、会社内や職場で盗撮をしようとするのでしょうか?

実際に、当事務所で取り扱った社内、職場での盗撮事案について動機を聞いたところ、その大半が「好きな女性」「タイプの女性」がいたから、という理由でした。

つまり、好意を持った女性が会社内、職場にいて、その好意が歪んだ形で行動に出てしまったのが、会社内や職場での盗撮の動機、だと考えることができます。

しかし、会社内や職場での盗撮行為が発覚した時の代償はとても大きいです。

2 会社内、職場での盗撮の類型について

会社内、職場での盗撮の類型についてですが、①職場の女子トイレにカメラを設置して盗撮する②職場の更衣室にカメラを設置して盗撮する③社内でチェアーに座っている際に見えうる下着を盗撮する④女性が立っている際にスカートの中を盗撮する、というものがあります。①については、女子トイレの個室に見つかりにくいようにカメラを設置することにより、下着姿や陰部などの性的部位、排泄の様子等を盗撮することを目的としてなされます。しかし、トイレでの盗撮対応は、③、④に比べて、直接陰部や性的部位や排泄の様子という被害女性の羞恥心やプライバシーを強く侵害する行為ですのでより悪質であると考えられます。後に述べますがトイレへの盗撮行為は、一般的に被害女性の被害感情が強く、示談交渉が難航することがままありますし、示談金も③、④に比べて多めに求められることがあります。②の更衣室にカメラを設置する方法も着替える際に下着を撮影することになりますので、プライバシー侵害の度合いは③、④に比べて強いため、示談交渉は難航することがあります。

③については、チェアーに座る女性の脚の下付近や向かい合わせのデスクのチェアー付近から盗撮をすることになります。③については、立っている女性の後ろに接近して、スマホを差し入れたり、加害者の足に小型カメラを設置して、被害女性の足元近くにその足を差し入れる形で盗撮をすることが多いです。

3 会社内、職場での盗撮の特徴について

先ほどの①、②、③、④の特徴を説明していきます。①については、女子トイレに設置して盗撮するというものですが、既に述べたように、「好きな女性」「タイプの女性」を狙って盗撮をしていることが大半です。しかし、女子トイレは様々な女性が利用するものであるため、ターゲットの女性以外を盗撮してしまうこともままあります。つまり、盗撮の被害者が複数になりやすい、という特徴があります。そして、カメラがどこかの時点で誰かに発見され、警察に通報される、ということになります。しかし、盗撮行為という大きなリスクを犯したとしても、必ずしもターゲットの女性が盗撮できているとも限りません。また、カメラの設置角度の問題から、多くの場合、性的部位が撮影されることもなくあまりよく映っていなかった、という話もよく聞きます。後に会社内、職場での盗撮の大きなデメリットについては詳しく述べますが、職場や社内での盗撮事件は、そのような犯罪行為を犯したとしても、あなたの盗撮の目的は達成できず、圧倒的にデメリットの方が大きい、ということが言えます。

また、②についても①とほぼ同様の特徴が当てはまります。更衣室での着替えも下着姿を盗撮するものですが、好きなタイプの女性がターゲットでいる可能性が高く、被害者も複数になりやすいです。③は設置する場所や撮影できるポイントが限定されますので、犯人特定の可能性が高いですし、そもそも女性側がある程度股を開いて座っていない限り、スカートの中を撮影しても下着が見えるわけでもありません。④については、路上での盗撮行為と同様に、女性にかなり接近しなければならず挙動が不自然になりますし、不審に思った女性や同僚に発見されることが大半です。

4 会社内、職場での盗撮事件の実例とネットニュースの報道について

会社内、職場での盗撮事件がネットニュースなどで報道されることもあります。

以下引用させていただいたケースでは、ニュースの報道にあたって実名は出されていません。しかし、実名が出される場合もありますので会社内、職場での盗撮がニュースになりうるということは重々理解しておく必要があります。

 

⑴会社、職場のトイレでの盗撮事件の実例について

「勤務先の女子トイレに小型カメラを設置、同僚女性の性的部位を盗撮…会社員の男(26)を逮捕

勤務先の女子トイレに小型カメラを設置し、女性の性的な部位等を盗撮したとして4日、倉吉警察署は会社員の男を逮捕しました。

性的姿態等撮影の容疑で逮捕されたのは、鳥取県米子市に住む会社員の男(26)です。

警察によりますと、男は正当な理由なく、鳥取県倉吉市内にある法人の女子トイレに小型カメラを設置し、女性(20代)の性的部位を撮影した疑いが持たれています。

7月18日、被害女性がトイレを利用中に、設置されていたカメラに気づき、法人の上司へ相談。翌19日に法人から110番通報がありました。」

引用:https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1406728?display=1

(TBS NES DIG 2024年9月5日)

この記事のように、勤務先の女子トイレにカメラを設置した場合に会社から110番通報されて、犯人特定がなされて撮影罪で逮捕されることがあります。

 

⑵会社、職場の更衣室での盗撮事件の実例について

「勤務先の病院で着替え盗撮か 放射線技師を逮捕

 勤務先の病院で盗撮したとして放射線技師の24歳の男が逮捕されました。

 男は愛知県安城市の病院の更衣室で患者の26歳女性の着替えを盗撮した疑いが持たれています。

 病院関係者から「更衣室に小型カメラがあった」と警察に相談があったということです。」

引用:https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000384052.html

(テレ朝 news 2024年11月12日)

この記事のように勤務先の更衣室で小型カメラを設置して盗撮する場合がありますが、逮捕されています。これも犯人特定がされて逮捕された事案です。

以上のように、カメラを設置して盗撮をしようとしたとしても結局のところ犯人特定がされて逮捕に至っている、という実態があります。

 

5 会社内、職場での盗撮の7つのデメリット

⑴撮影罪(性的姿態撮影等処罰法違反)として逮捕され、刑事事件化するリスクがある

 

ア 会社内、職場での盗撮について、撮影罪の内容と刑罰

まず、盗撮事件に関しては、かつては各都道府県の迷惑防止条例違反として刑事事件化されていることが多かったです。

しかし、盗撮事件の頻発、増加に伴い、厳罰化が必要となり撮影罪(性的姿態撮影等処罰法違反)が定められました。

撮影罪の刑罰:3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金

となっています。

 

イ 会社内、職場での盗撮について、迷惑防止条例違反や軽犯罪法違反

撮影罪に該当しない場合には、迷惑防止条例違反や軽犯罪法違反になる可能性もありますが、基本的には撮影罪が適用されると思います。

また、撮影罪、迷惑防止条例違反、軽犯罪法違反のいずれにも該当する場合には、最も重い罪で処断されることになりますので、撮影罪が適用されると考えておくのがよいでしょう。

 

ウ 会社内、職場の女子トイレや更衣室での盗撮が建造物侵入になる場合

加えて、女子トイレや更衣室に侵入した場合には、建造物侵入になるケースがあります。

その場合には、ビルの管理者や会社など示談交渉の相手方が増えるケースもあります。

 

エ 会社内、職場での盗撮における逮捕の流れ

まず、カメラをトイレや更衣室に設置していた場合(設置型の犯行)には、社内の防犯カメラや目撃証言、などから、犯人の特定がされることになり、後日、逮捕される可能性が十分にあります。

逮捕された場合、48時間以内に検察官に事件が送致され、24時間以内に勾留をします。勾留が認められば原則10日間、警察に身体拘束され、さらに10日間勾留が延長されることが多いです。

そのため、最大23日間は身体拘束された状態が続きます。

さらに、そのまま起訴された場合、略式罰金という罰金手続きになる場合と、正式裁判、公判になる場合があります。

略式罰金は罰金を払えば手続きは終了です。

他方で公判になった場合には、保釈が認められない限り、さらに身体拘束は続きます。

そして公開法廷でテレビドラマでみるような裁判を受けていただくことになります。

そして、判決が下されることになりますが、99%が有罪判決であると言われています。

以上のように、会社内、職場での盗撮によって逮捕された場合には、身体拘束の不利益が大きいということになります。

もっとも、後に述べるようにあからじめ警察に自首をすることにより、証拠隠滅や逃亡の恐れがないと警察に伝えて、逮捕されるリスクを下げる方法をとることも多いです。

 

⑵職場、会社から懲戒解雇されて職を失う

盗撮行為は職場の規律を大きく乱す犯罪行為です。被害女性からすればとても一緒に働きたいとは思わず、たとえ示談することができたとしても、間違いなく居場所はなくなります。

会社としては警察に通報しつつも、社内で調査を行うこともあります。

仮に犯人の特定ができたら、事実確認の上で、退職勧奨を行うか、懲戒解雇を行うでしょう。

退職勧奨とは、会社が任意で退職を勧める方法であり、一応拒否することもできますが、盗撮を犯している以上は後に述べるように懲戒解雇が認められますので、拒否してもあまり意味がありません。

懲戒解雇するには、法的に就業規則に懲戒事由を定めていなければなりませんし、また処分としての合理性・相当性が必要です。

もっとも、盗撮行為という犯罪行為を行った以上は、懲戒解雇は認められることが通常です。会社としては、上記の退職勧奨を拒否された場合には懲戒解雇を行います。

懲戒解雇をされると、離職票上の離職理由も「重責解雇」となることから、再就職への影響もあり得ます。

なお、戒告、出勤停止、減給という懲戒処分もありますが、盗撮事件を犯した場合の、同僚女性らからの嫌悪感は極めて強くなりますので、これらの懲戒処分で済むということはまずありませんし、仮に運よくこれらの懲戒処分で済んだとしても、職場に居場所がなくなり、退職せざるを得ないことが通常です。

 

⑶会社から退職金が支給されなくなるリスクがある

さて、その会社に長年勤めていた場合には、退職金の問題があります。

退職金がある場合には、自主退職または退職勧奨で退職する場合に、会社が退職金を支給してくれるかどうかは必ず確認すべきです。自主退職や退職勧奨で退職する場合には、個々の会社の判断で退職金が支払ってもらえるケースがあります。

他方で、会社側に退職金を支払うつもりがなければ、懲戒解雇をして「懲戒処分」であることを明示しておくこともあります。

当事務所では、刑事事件の示談活動のみならず、労働事件に強い弁護士がおりますので、職場や社内で盗撮事件を起こしてしまいお困りの方は、是非ご相談ください。

 

⑷職場や社内での盗撮事件の示談交渉は難航することが多いこと

職場や社内での盗撮事件において、特に上記の①の女子トイレに監視カメラを設置する方法や②の更衣室の盗撮事件では、被害女性の被害感情が極めて強く、そもそも示談の話を拒否される方もおられます。また、示談交渉に応じてくれたとしても、示談金が比較的高めに求められることが多いです。

盗撮の示談金はおおむね20~50万円程度が相場ですが、50万円前後を求められることがあります。

このように、職場や社内での盗撮事件の示談交渉は難航しやすい,ということはご理解ください。

 

⑸不起訴を獲得するためには、被害女性全員と示談が成立している必要があること

職場や社内での盗撮事件の被害者は、複数名になることが多いです。女子トイレに監視カメラを設置するため、不特定多数の女性がそのトイレを出入りすることになりますので、被害者が複数になりやすいのです。

その場合、示談交渉をするとすれば、被害女性全員と示談交渉をする必要があります。

そして、前科のつかない不起訴処分を獲得するためには、全員と示談が成立している必要があることが通常です。

ところで、職場や社内での盗撮事件を犯した場合には、同時に会社から退職、懲戒解雇されていることが通常ですので、預貯金がなければ、示談に充てるお金がない、ということも十分あり得ます。

 

⑹職場や社内での盗撮事件の場合、妻と離婚される可能性も十分あること

まず、職場や社内での盗撮事件の場合、上記の通り、刑事事件化、会社から懲戒解雇、退職勧奨、退職金の不支給リスク、示談金の支払い、など多くの問題が生じます。

そして、それらの事情を妻や家族に隠すことはまず不可能です。

妻であるとはいえ、同じ女性としての嫌悪感も生じるでしょうし、職を失うことによる生活の不安定さ、さらに今まで家庭のお金として貯金していたお金の中から示談金を支払うことの辛さ、などを考えると、妻の方から離婚を切り出されたとしてもおかしくはありません。

そして、盗撮行為は立派な犯罪行為ですから、法的な離婚原因にもなりえます。

 

⑺職場や社内での盗撮事件で、自己破産も検討せざるを得ない場合もあること

上記の通り、手元からお金がなくなることも十分に想定されます。

そのうえで、妻との離婚リスクもありますし、住宅ローンを組んでいる方の場合には、住宅ローンを支払っていくことも難しくなる可能性があります。

そうなると、借金をせざるを得ず、最終的に自己破産を考えざるを得ない、ということもありえます。

 

6 職場や社内での盗撮事件について弁護士に依頼した場合の対応

⑴弁護士が被害女性らとの示談交渉を行い、刑事事件化の回避、不起訴獲得を目指す

まず、職場や社内での盗撮事件を犯してしまった場合には、前科をつけないため、不起訴を獲得するために、被害女性らと示談交渉を行う必要があります。

しかし、元は同じ職場の同僚とはいえ、女性側が示談のために連絡先を教えてくれることはありませんし、またもともと連絡先を知っていたとしても、直接の連絡を拒否されることがほとんどです。

仮に、直接の連絡に応じてくれたとしても、過大な請求をされることが往々にしてあり、盗撮という犯罪行為を犯してしまった手前、交渉ではどうしても弱い立場に立たされてしまいます。

ですから、盗撮事件の示談交渉に強い弁護士に、示談交渉を代わってもらうことをお勧めいたします。

なお、被害女性が複数の場合に、会社側が窓口になって示談交渉を進められる場合もありますが、あくまでも示談交渉は、盗撮を犯した本人と被害女性らとの関係ですべきものですので、会社側が窓口になってくれるのは運が良いケースであると理解しておきましょう。

そして、被害者全員と示談できた場合には、刑事告訴されずに終了するケースもありますし、既に刑事告訴されていた場合であっても、不起訴処分になることが多いです。

 

⑵弁護士が盗撮事件の自首に同行すること

女子トイレや更衣室にカメラを設置していた場合、後に犯人特定がされて逮捕されるリスクがあります。

そこで、警察に自首するという方法をご検討いただきます。

ただし、初めて警察に一人でいくことは心理的にも抵抗があるでしょうし、警察に行ったはいいが逆に逮捕されるのではないか、など心配も多いと思います。

そこで、弁護士が自首に同行し、その場で逃亡や罪証隠滅のおそれがないこと、必要に応じて身元引受人になることなどを伝えて、逮捕されないように働きかけを行います。

私どもも自首同行の実績は豊富にありますが、自首をして逮捕された、ということはありません。

 

⑶会社との関係で、適切な処分を受けられるかどうかを弁護士がサポート

先に述べたように、会社との関係では、退職勧奨や懲戒解雇を受けるリスクが大きいです。その場合、盗撮事件を犯した以上、それを拒否することは一般的には難しいです。もっとも、⑴で述べたように被害女性らと示談が成立し、宥恕文言(許す、という意味)を入れてもらえれば、会社としては懲戒解雇まではしづらくなりますし、後の退職金の不支給や減額、という判断もしづらくなります。

もっとも、退職するにしても有給の消化や退職金の支給については争う余地は残されています。

特に、退職金は、長年の功労、給与の後払い的性質があるので、その功労を無に帰するような行為をしなければ、全くのゼロとするのは難しいです。

そして、盗撮事件は、確かに重大な行為ではあるものの、長年の功労を無に帰するとまで言えるかについては争いの余地があります。

他方で、会社側としては、盗撮行為を行った相手に対して退職金を支給したくない、というのが本音でしょうから、被害女性らを会社が説得して刑事事件化しないかわりに、会社を辞めてもらい、退職金も支給しない、というような交渉を持ち掛けてくるかもしれません。しかし、退職金が高額であるのであれば、このような話に安易に乗るべきではなく、弁護士のサポートを受けながら、適切な対応をとられることをお勧めいたします。

 

⑷離婚のサポートや自己破産などの債務整理のサポート

離婚や借金問題による債務整理をしなければならない事態は避けたいと思われる方が大半だと思います。

そのため、上記の⑴、⑵でとどめておきたいはずですので、まずは妻やご家族に誠実に謝罪して家庭を修復するよう努力をされてください。

しかし、それでもなお、家庭関係の修復が難しい場合には、離婚の際の財産分与、慰謝料などの対応、住宅ローン、教育ローンなどの支払いが難しい場合には、自己破産のサポートを弁護士に希望されるのが良いと思います。

 

7 会社内や職場で盗撮事件を犯してしまった方への弁護士のアドバイス

会社内や職場で盗撮事件を犯した結果、刑事事件化したり、職場を辞めざるを得なくなったことは残念なことです。しかし、まずはご家族に誠実に謝罪して修復することを目指されてください。弁護士に依頼していれば、少なくとも刑事事件に関して、示談を成立させ不起訴を目指すことはできます。

また、万が一、ご家族と離婚されたり、ローンの返済ができなくなったとしても、人生が終わるわけではありません。やりなおす方法はいくらでもあります。

あきらめずに弁護士にご相談ください。

 

盗撮に強い弁護士に相談する

このコラムの監修者

  • 田中今日太弁護士
  • 弁護士法人 法律事務所ロイヤーズ・ハイ

    田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録

    弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、性犯罪事件、窃盗・横領などの財産事件、暴行傷害などの暴力事件などで多数の不起訴経験あり。刑事弁護委員会所属。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。

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