性犯罪で実名報道されてる基準とは?その後社会復帰できる?
犯罪における実名報道は、本人の私生活や将来に大きな影響を与えます。特に性犯罪での実名報道があると、そのダメージは計り知れません。そこで今回は、性犯罪における実名報道のデメリットについて整理していきます。
目次
1 性犯罪で実名報道されるデメリット、社会復帰は困難
実名報道の中でも、特に性犯罪に関するものは、さまざまなデメリットがあります。
これは、比較的軽い罪であったとしてもです。
性犯罪における実名報道のデメリットとしては、
1.仕事上の信頼や肩書を失う 2.場合によっては、解雇や懲戒処分の対象になる 3.人々の記憶に長く残り、社会復帰が困難になる 4.身の回りの親しい人物(家族や恋人など)がバッシングの対象になる |
といったものが考えられるでしょう。1と2については、それまで築き上げてきた社会的信用を失うことに繋がります。特に企業の要職にあったり、一般的にステータスが高いと考えられる職業(医師や公務員、大学教授など)についていたりすると、元の状態に戻るのは困難かもしれません。
ステータスが高かったり著名人だったりすると、必然的に世間の注目を集めてしまうからです。これは、ときに法律で定められた刑罰よりも重い枷となって、本人の人生を縛ってしまいます。
2 実名報道される基準とは?
実名報道される基準は、法律で明確に決まっているわけではありません。そもそも実名報道は、法律の範疇外のお話だからです。そのため、実名報道されるかどうかは、罪を犯した本人の属性に依存します。前述したように注目を集めやすい立場、肩書などを持っていると、実名報道の対象になることが多いようです。
3 性犯罪の実名報道のデメリットを回避するには?
痴漢や強制わいせつによって逮捕されたら、すぐに不起訴を勝ち取るための活動を始めるべきでしょう。不起訴になれば、報道機関に対して記事の削除要請を出しやすく、削除に応じてもらえる可能性が高まるからです。ただし、一旦多数の人の目に触れてしまうと、記事を削除したとしても不利益を被ってしまいます。また、紙媒体とは異なり、Web上の記事は複製や転載が容易なため、拡散を防ぐのが難しいことも見逃せません。
つまり、いかに早く不起訴・釈放を勝ち取るのかが大きなポイントなのです。
4 性犯罪で不起訴を目指すためのポイントとは?
性犯罪の場合、不起訴を勝ち取るためには示談が欠かせません。示談が成立していれば、不起訴になる可能性は大いに高まります。日本の刑事裁判は、起訴されると99%の確率で有罪になってしまいます。社会的な立場がある人物が痴漢や強制わいせつで有罪になれば、報道機関の格好の的になるでしょう。
また、一旦逮捕されてしまうと、警察での取り調べや留置所、拘置所での身柄拘束が続きます。これにより、最大23日間は身動きが取れなくなる可能性があります。したがって、自分の代わりに示談交渉にあたってくれる第三者が必要です。
この役目を果たせるのは、事実上、弁護士だけです。弁護士は早期釈放や不起訴に向け、被害者との示談交渉を進める貴重なパートナーです。
示談が成立すれば、不起訴だけではなく、懲戒免職や解雇を未然に防ぐことにもつながります。そのため、一刻も早く示談を成立させ、前科が付かない状態を目指すことが大切なのです。
5 実名報道を避けるには刑事に強い弁護士の力が不可欠
実名報道によって仕事や家族、友人などを失ってしまえば、取り戻すまでには膨大な時間を要します。少しでもダメージを小さくし、社会復帰を用にするためには、弁護士のサポートのもと不起訴と早期釈放を目指すべきです。また、運悪く実名報道されたあとでも、弁護士を通して記事の削除要請などが行えます。
性犯罪でそれまで積み上げた信頼や社会的信用、人間関係などを失う前に、刑事に強い弁護士に相談しましょう。
このコラムの監修者
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田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録
弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、性犯罪事件、窃盗・横領などの財産事件、暴行傷害などの暴力事件などで多数の不起訴経験あり。刑事弁護委員会所属。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。