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高齢者を狙う様々な詐欺の手口

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高齢者を狙う詐欺が近年後をたちません。警察庁によると、特殊詐欺被害者の78.1%は、65歳以上であるそうです(平成30年)。

引用:特殊詐欺被害者の高齢者率(平成30年)|警察庁

 

年間の被害額も拡大しており、平成21年から平成30年までの9年間で、約3.7倍にもなっています。

引用:振り込め詐欺の手口別認知件数・被害額の推移(平成21~30年)|警察庁

 

詐欺の手口は年々複雑かつ多様になってきているので、これまでは騙されなかったからといって今後も安心とは限りません。最新の手口を知っておくことで、被害に遭うリスクを未然に減らせるかもしれません。

この記事では、年々巧妙化する高齢者を狙う詐欺の手口や、詐欺対策についてお伝えします。ぜひ参考にしてみてください。

 

1 高齢者を狙う詐欺の手口

高齢者を狙う詐欺の手口には、次のようなものがあります。

⑴新制度や大きなイベントなどに便乗した詐欺

⑵特殊詐欺

⑶その他の詐欺

 

特に前者は時代が進めば新しい手口が出てくるので、これまで騙されなかった人も安心はできないかもしれません。

 

⑴新制度や大きなイベントなどに便乗した詐欺

制度の改正や時流に便乗し、手を替え品を替え被害者からお金を騙し取ろうとしてきます。最近では、例えば次のような手口が発生しているようです。

①改元に伴う詐欺

②オリンピックに便乗した詐欺

③マイナンバーに便乗した詐欺

 

①改元に伴う詐欺

市の職員や銀行員などに成りすまして「保険料の還付金がある」などと伝えたうえで、還付金の手続きをするためにはキャッシュカードの交換が必要だといい、キャッシュカードと暗証番号を不正に得る手口です。

キャッシュカードの交換が必要な理由として、元号が変わったことを口実にするようです。

 

②オリンピックに便乗した詐欺

オリンピックの効果で土地や株式の価値が上がる、といった話はいかにもありそうですが、オリンピック関係の詐欺については既にあらゆる手口が確認されており、国民生活センターが注意喚起をしていたり、web上でニュースになっていたりします。

その一例を挙げると…

「オリンピック需要で確実に価値が高くなる」などと言い、建物や用地・社債の購入を促す手口。(参照:東京オリンピックに関連した詐欺的トラブルにご注意ください!(No.2)-オリンピック用の建物・土地に関する架空の儲け話-|国民生活センター)
実在しないオリンピックの前売りチケットの購入代金を支払わせたり、個人情報を聞き出そうとしたりするチケット関係の詐欺。(参照:2020東京オリンピックの観戦チケット詐欺に関するあの手この手)
「東京オリンピックに向けて古いキャッシュカードを回収している」などといい、キャッシュカードを騙しとる手口。(参照:「東京五輪に向け古いカード回収」詐欺容疑で少年ら逮捕|朝日新聞)

 

多様な手口ではあるのですが、いずれも知らない人から儲け話を持ちかけられているという点は共通しています。オリンピック需要と言われると儲かりそうな気がしますが、自分がよく理解していないもの対してお金を払うのは避けたいところです。

 

③マイナンバーに便乗した詐欺

マイナンバーに関する電話やメールが来たとき、市役所の職員を名乗る人物が訪問してきたときは、詐欺の可能性を考えた方がいいかもしれません。

主な手口には、次のようなものがあります。

・「マイナンバーにはお金がかかる」「マイナンバーが流出している」などと言い、お金を要求する手口

・「マイナンバーの手続きをしにきた」「マイナンバーの番号が誤っている可能性がある」などと言い、マイナンバーや個人情報を聞き出そうとする手口

 

国や地方自治体の職員が、マイナンバーの情報、家族構成、資産、年金情報 を聞くこと、ATM操作をおねがいする事はありません。怪しいと思ったら相手の要求に応じずに、警察に相談しましょう。

 

⑵特殊詐欺

特殊詐欺とは、加害者が被害者と対面することなく、電話やメールなどを用いてお金やキャッシュカードなどを騙し取る詐欺のことをいいます。

特殊詐欺にはいくつか種類がありますが、中でもオレオレ詐欺と還付金詐欺は被害者の高齢者率が高くなっています。

引用:特殊詐欺被害者の高齢者率の推移(平成26~30年)|警察庁

 

①オレオレ詐欺

親族を騙ってお金を騙し取る手口で、特殊詐欺の中で最も被害者が多くなっています。

その手口は年々巧妙になってきていて、以前のように「オレ、オレ」とはいわず、事前にリサーチしたうえで親族の名前を名乗ってくるケースなどもあります。

また、最近では「電話番号が変わったから登録しておいて」と伝えて被害者にニセの番号を登録させたうえで、後にアポを取って現金やキャッシュカードを騙し取る『アポ電』という手口などが確認されています。

 

②還付金詐欺

役所の職員などになりすまし、「医療費・保険料・年金などの払い戻しがある。ATMで受け取りの手続きができる」などと言い、高齢者をATMまで行かせたのちに、携帯電話で振り込みの指示をする手口です。

成り済ます対象や何についての還付金であるのか、細かな設定はいろいろありますが、ATMで還付金の払い戻しをさせるという点は共通しています。

参考:特殊詐欺にだまされないように

 

⑶その他の詐欺

上記以外にも、次のような手口があります。

・株式や不動産などの購入を勧める投資詐欺

・架空の工事をでっち上げ、費用を請求するリフォーム詐欺

・複数の加害者が、いろいろな人になりすます劇場型詐欺

 

中でも投資詐欺は被害金額が高額になるケースも少なくないので、甘い言葉に釣られてお金を出すようなことがないようにしたいところです。

 

2 高齢者を狙う詐欺への対策

自分も詐欺に遭うかも知れない、と危機感を持てればいいですが、意識の改善だけで詐欺を防げるとも限りません。ここでは、高齢者を狙う詐欺への対策をご紹介します。

 

⑴迷惑電話防止機能や録音機能のついた電話を利用する

詐欺をする人は証拠が残ることを嫌がるため、録音機能がついた電話を使用すると、1つの抑止力になる場合があります。

 

⑵キャッシュカードから振り込み可能な上限額を下げておく

ATMから振り込みをしないよう身内の高齢者に促すのもいいですが、キャッシュカードの1日の振り込み可能な上限額を予め下げておけば、仮に騙されてしまったとしても被害を最小限に抑えられます。

 

⑶すぐに他の人に相談してもらうようにする

引用:他者への相談の有無|警察庁

上の図表から、詐欺の被害にあってしまった人75%は、他者に相談することがなかったことがわかります。

焦っていたり急いでいたりすると冷静に判断するのが難しくなりますが、他人に相談するだけでも被害に遭う可能性が減るので、不審なことがあった時にすぐに相談してもらえるよう、身内の高齢者の方と約束をしておきたいところです。

 

⑷警察に相談してもらうようにする

#9110に電話すると、警察の相談窓口に繋がります。被害にはまだ遭っていないが、警察に相談したいことがある時に使えます。

詐欺のような電話がかかってきたが、親族と連絡が取れないようなケースもあるかと思いますが、警察の相談窓口は8:30~17:15(都道府県によって異なる)であれば連絡が取れます。

詐欺に遭っていると気づくきっかけになる他、加害者を自宅近くにおびき寄せ、近くに待機していた警察官が詐欺未遂で加害者を逮捕するような例(騙された振り作戦)もあります。

 

3 まとめ

この記事では、高齢者を狙う詐欺の手口と対策についてご説明してきました。身内に高齢者がいらっしゃる方は注意を促したり、一度に多くのお金を動かせないように対策をしたりしてみてください。

このコラムの監修者

  • 田中今日太弁護士
  • 弁護士法人 法律事務所ロイヤーズ・ハイ

    田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録

    弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、性犯罪事件、窃盗・横領などの財産事件、暴行傷害などの暴力事件などで多数の不起訴経験あり。刑事弁護委員会所属。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。

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