痴漢と間違えられたときの対処方法
通勤時、満員電車を利用しなければならない人も多くいます。
満員電車という密室空間では、痴漢などの被害も多くなりがちで実際に乗ってみると女性であれば恐怖を感じることもあるでしょう。
しかし、痴漢されたらどうしようと女性が思う反面で、痴漢と間違えられたらどうしようと思う男性がいるのも事実です。
もし、痴漢をしてもいないのに間違えられてしまったらどのように対処すれば良いのでしょうか?
今回は痴漢と間違えられたときの対処法について、痴漢で捕まるとどうなってしまうのか、その予防策までご紹介していきます。
目次
1 痴漢と間違えられたらどうしたらいい?
まずは、痴漢と間違えられてしまった場合の対処法を解説していきます。
身に覚えのないことであるのに痴漢と間違えられ、女性に声を上げられてしまう冤罪も存在します。
もし、実際にそうなってしまった場合、その現場に駅員が駆け付け次の停車駅で被害者とともにホームに降ろされます。
その際、ここでは迷惑になるからと駅事務室へ連れて行かれてしまうことが多いですが、駅事務室には行かないようにして、その場もしくは迷惑にならなそうな場を見つけて弁護士を呼びましょう。
駅事務室へ行ってしまうとそのまま冤罪であっても、警察に連れていかれてしまい、現行犯逮捕されてしまう恐れがあります。
また、間違えられた場合にはすぐに自身はやっていないことを主張しましょう。
そして、その後何を言われてもその主張を崩してはなりません。
可能であれば、その場で被害者や他の人の声を録音しておくことも有効です。
疑われていることを周囲に明確に伝え、目撃者がいなかったか、証言してくれる人はいないか探してみてください。
痴漢だと声を上げられてしまった際には驚きますし、気が動転してしまう可能性も高いですが、冷静に相手を見て対処するようにしましょう。
痴漢に間違われたときは、すぐに何かを触らないようにして微物鑑定やDNA鑑定などを求めてください。
何も触らないようにしておけば、被害者のDNAや被害者の服の繊維などが見つけられ、逮捕される可能性が低くなります。
あくまでも、その場でしっかり対応してください。
逃げてしまったりすればその分冤罪でも捕まってしまった際、勾留機関が長くなってしまうことにつながります。
2 痴漢で捕まってしまうとどうなる?
もし、冤罪であっても痴漢で捕まってしまった場合、その後どうなってしまうのでしょうか?
痴漢で捕まってしまった際の流れについて、順を追ってご紹介していきます。
⑴駅事務室へ誘導される
まずは、前項でも述べていたように駅員が現場に駆け付け、ホームへと降ろされた後駅事務室へ誘導されます。
ここでは邪魔になるから、迷惑になるからと言われて誘導されるケースが多いです。
⑵警察官が臨場し、連行される
駅事務室へ誘導される際には警察にもすでに連絡をしてあり、ほどなくして警察が駅事務室へやってきます。
駅事務室へ警察が来ると、そのまま警察署へ連行されてしまうこととなります。
⑶警察での取り調べが行われる
警察に連行された後、最長3日間取り調べが行われ、初動調査が行われます。
⑷現行犯逮捕され身柄と共に検察庁に書類送検される
警察からの取り調べが終わると、そのまま迷惑防止条例違反となり現行犯逮捕されてしまいます。
現行犯逮捕されてしまうと、今度は検察庁へ送られることとなります。
⑸検察庁での取り調べ
検察庁へ送られると、今度は検察庁にいる検察官から取り調べを受けます。
その結果、証拠不十分であること、冤罪であっても罪を認めて逃亡する危険がない場合に限り釈放されます。
検察庁での取り調べで無罪を主張し続けていても、やっていないという確たる証拠がなければ有罪となってしまう可能性は非常に高いです。
さらに、身柄拘束のまま取り調べを受ける必要があるとされてしまった場合、10日間もの勾留があります。
このような流れで後々裁判となるケースが多くあります。
日本ではやっていないのに有罪となってしまう痴漢冤罪が多く、起訴された人の99%もの人が有罪判決となってしまうデータも出ています。
痴漢に間違われてしまったら、上記のような非現実的な体験をし、さらには職場や家族にも多大な影響を及ぼしかねません。
警察からの取り調べでの日数に検察庁での勾留も重なれば、職場や家族に何の連絡もできないまま一人で取り調べを受けることとなります。
職場への連絡が一定期間ない状態が続けば、その分解雇されてしまう理由につながりますし、痴漢冤罪であっても社内での評価が著しく下がり、人間関係も悪くなってしまうことは容易に考えられるでしょう。
さらに、家族は何か事故に巻き込まれたのではないかと心配したり、冤罪でも痴漢をしたのではないかと言う不安に駆られたりします。
家族関係も悪化してしまう可能性が高く、最悪離婚につながってしまうケースも少なくありません。
痴漢と間違えられてしまっても、その後の人生が大きく変わってしまいます。
痴漢に間違われないように、普段から徹底して注意しておく必要があるでしょう。
3 常日頃から痴漢と間違われないように気を付ける
痴漢は許されない性犯罪の一つです。
しかし、痴漢冤罪によって不幸になってしまう人がいることも確かでしょう。
痴漢と間違われないようにするためには、常日頃から痴漢冤罪とならないための注意を払う必要があります。
ここからは、痴漢と間違われないようにするための方法をご紹介していきます。
⑴電車内では両手で吊革につかまるようにする
電車内では常に、両手で吊革につかまるようにしておきましょう。
片手で吊革につかまっていると、つかまっていない片方の手で痴漢をしたと思われる可能性があります。
手を下げないことだけでも身の潔白を証明することもできますし、周囲から両手で吊革につかまっていたと認識されることにもつながり、仮に痴漢だと間違われてもやっていないという証拠にもなります。
⑵通勤時間をずらし、満員時を避ける
満員電車内では、誰が痴漢をしていたのかわからず、冤罪となってしまう可能性が高まります。
そのため、可能であれば通勤時間をずらし、満員電車には乗らないようにしておきましょう。
満員電車でなければ痴漢と間違われる可能性も低くなるので、通勤時間を早める、もしくは遅くして満員電車の利用は避けてください。
⑶女性の近くには行かない
満員電車内では非常に難しいことではありますが、可能な限り女性の近くには行かないように心がけましょう。
万が一、女性の近くになってしまい身動きが取れない状態となってしまったら、前述したように両手で吊革につかまる、もしくは両手を上に挙げておくことが大切です。
女性の近くや後ろにいれば、どうしても痴漢と間違えられてしまうことがあると認識し、可能であれば近づかない、または両手を上げて痴漢冤罪予防を徹底しましょう。
⑷電車を利用しない
満員電車でなくても、痴漢と間違えられてしまうリスクはある程度あります。
自宅から電車通勤が必要な距離であれば仕方ないですが、電車自体を利用しないことが最善です。
電車以外にも自転車通勤などが可能であれば、そのようにしましょう。
4 まとめ
痴漢と間違われてしまったら突然のことに気が動転し、逃げてしまったり、暴れてしまったりするかもしれません。しかし、冷静に対処できれば無罪を勝ち取れる可能性は高まります。
また、痴漢に間違えられてしまった場合には、すぐに弁護士へ連絡して対応してもらうことも重要です。満員電車に乗らなければならない人は、普段から専門の弁護士にすぐ連絡できるよう、連絡先だけでも登録しておくと安心でしょう。
このコラムの監修者
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田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録
弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、性犯罪事件、窃盗・横領などの財産事件、暴行傷害などの暴力事件などで多数の不起訴経験あり。刑事弁護委員会所属。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。