ショッピングモールでの盗撮事件
目次
1 ショッピングモール等の商業施設の盗撮について
盗撮をする場所として皆さんがイメージされるので最も多いのは、駅構内、駅のエスカレーターやホームではないでしょうか?
実は、ショッピングモール等の商業施設での盗撮件数は、駅構内の階段やエスカレーターの件数を上回る件数検挙されているのです(法務省、警察庁生活安全局の資料)。
ショッピングモールは、スーパー、映画館、家電量販店、衣類等の専門店、飲食店、サービス店、ゲームセンター等様々な施設が集まっています。ショッピング、食事、娯楽等が揃ったショッピングモールは、男女問わず大勢の人が集まる人気の施設となっています。なお、休日は、友人同士や家族連れやカップルも多く、若い女性が数多く集まるため、盗撮の場所になりやすいと考えられます。
2 ショッピングモールの盗撮事件でよくあるケース
ショッピングモールを歩いていると好みのタイプのスカートをはいた女性がいました。
そこで、その女性の後を少しずつつけていくと、その女性がエスカレーターで上に上がろうとしているのが見えました。私もすかさずエスカレーターに乗りその女性の後ろに立ちました。そして、スマートフォンの録画モードを使用して、スカートの下に差し入れて、前にいる女性のスカートの中を盗撮しました。
すると、その女性が何かに気づいたのか後ろを振り向いて「盗撮してましたよね?」と行ってきました。私は否定しましたが、「ではスマホを見せてください」と言われて動揺していると、女性のそばに彼氏と思われる男性が近づいてきて警察を呼ばれ、警察に現行犯逮捕されました。
3 ショッピングモールの盗撮事件の特徴について
ショッピングモールでの盗撮事件は、ショッピングモールには若い女性がたくさんおられますし、友人、家族、彼氏と一緒に来られてショッピングをしています。ショッピングをしていたり、友人、家族、彼氏と会話しているから注意力が散漫になっていると思って盗撮行為を行ってしまいがちです。しかし、スカートの中を盗撮するためには、後ろから近づく必要がありますし、エスカレーターに乗るような場面で後ろにつくように追いかけなければなりません。いくら人が多いといってもこうした行動をとれば被害女性も不審に感じて、後ろを振り向くことがありますし、また一緒にいる友人、家族、彼氏も気づくことがあります。
また、特に何の用事もないのにショッピングモール内を一人でうろちょろしていたり、先ほど述べたような行動をとっていると不審者としてマークされていることもあり得ます。
その場合には、盗撮行為を行った時点で速やかに警察を呼ばれて現行犯逮捕されることもあります。
4 ショッピングモールでの盗撮事件で報道された事例
さて、盗撮をした場合にネットニュースになることは避けたいと思われますが、実際、以下のようにショッピングモールでの盗撮事件で逮捕されニュース化されています。なお、実名で報道されているケースもあります。
「漫画家の男、カメラ取り付けた靴を女子中学生のスカート下へ 姫路のショッピングモール 女性のスカート内を盗撮しようとしたとして、兵庫県警飾磨署は4日、性的姿態撮影処罰法違反(撮影未遂)の疑いで、同県赤穂市の漫画家の男(37)を逮捕した。 逮捕容疑は3日午後2時50分ごろ、同県姫路市のショッピングモール内にあるゲームセンターで、遊んでいた女子中学生(15)の背後から近づき、靴に取り付けたカメラをスカートの下に差し入れて撮影しようとした疑い。容疑を認めているという。同署によると、男性客が不審な動きをする男を見つけ110番したという。」 引用:https://www.kobe-np.co.jp/news/backnumber2/202401/0017195598.shtml (2024/1/4 神戸新聞) |
ショッピングモールで盗撮が行われているという実態と被害女性自身が気づかなくとも他の男性客が不審な動きを見つけて警察に通報することで逮捕されることがある、ということを示しています。
罪名 撮影罪(性的姿態撮影等処罰法違反)
罪の重さ 3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金 |
5 後日逮捕の可能性
今回はその場で現行犯逮捕された事件についてご紹介させていただきましたが、他方で、盗撮をされたことを指摘して逃亡した場合であっても、ショッピングモール内に設置された防犯カメラから犯人が特定されて後日逮捕される可能性もゼロではありません。
6 弁護士に依頼した場合の対応
まず、逮捕されてしまえば、48時間以内に検察に送致され、24時間以内に勾留請求がされます。勾留されると原則10日間は身体拘束され、さらに延長されると10日間勾留が延長されます。このように、現行犯逮捕された場合の不利益は非常に大きいです。
そこで、今回はショッピングモールでの盗撮を行って現行犯逮捕されていますので、基本的には家族の方が弁護士に接見を要望することになるでしょう。
弁護士に依頼をされた場合には、勾留が認められないように裁判所に意見書を提出したり、あなたと接見して警察、検察への取り調べへのアドバイス、裁判官の勾留質問に対する対応のアドバイスをさせていただきます。これにより、勾留請求が認められず、自宅に戻ってこれる可能性が高まります。
また、それと同時に被害女性との示談活動を行っていきます。盗撮事件の場合、被害女性と示談をするには、警察を通じて被害女性の連絡先を教えてもらうことからスタートしますが、弁護士でなければこうした連絡先を教えてもらうことは事実上不可能です。
ですから、弁護士に依頼して早急に示談活動も含めて動くことをお勧めいたします。
このコラムの監修者
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田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録
弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、性犯罪事件、窃盗・横領などの財産事件、暴行傷害などの暴力事件などで多数の不起訴経験あり。刑事弁護委員会所属。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。