状況別の対処法
告訴を取り消して欲しい
風俗トラブルで問題となる可能性が高い罪名としては、強制性交等罪、強制わいせつ、ストーカー規制法違反といった犯罪です。
これらの罪を犯してしまった場合、検察官に起訴される前に示談が成立しすれば、告訴の取り消しとなり不起訴処分とすることができます。
しかし、近年法改正によって各罪は、いずれも非親告罪(被害者からの告訴がなくても起訴することができる犯罪)となっています。
つまり、示談によって告訴を取り消してもらっても、直ちに不起訴処分が確定するわけではありません。
ただ、親告罪では告訴が取り消された時点で捜査は中断され、必ず不起訴となります。
一方で、告訴取り消しは起訴されるまでに手続きをしなければ法的効力はないので注意が必要です。
「被害届」と「刑事告訴」の取り消しは別物
そもそも、被害届と告訴は同じようにおもえて別物であることにも注意が必要です。
犯罪の被害にあった事実を捜査機関に知らせるための手段として「刑事告訴」というものがあります。
被害届は犯罪の被害にあった事実を捜査機関に申告するだけですが、告訴とは犯罪の事実を申告した上で加害者への処罰を求める意思が含まれています。
そのため、被害届の取り下げと刑事告訴の取り消しでは、事件に対する効力が変わってきます。
被害届を取り下げるとは?
被害届は何らかの犯罪に巻き込まれてしまった場合に、捜査機関に知らせるための手続きの1つです。
警察が捜査を開始するためのきっかけとなるものとお考えください。
被害届を取り下げたいと思ったときには、「被害届取り下げ願い」の書類を警察署に提出することで、被害届を取り下げることが可能です。ただこれは制度ではありません。
告訴の取り下げは、弁護人が取り下げ書を預かって、「使者」として検察庁などに届け出ることは良くあります。
器物損壊で告訴取り下げがあれば、証拠品の還付とかでなければ連絡はこないでしょう。
一度、取り下げた被害届を再び提出することは難しいので、基本的には加害者との示談が成立した上で取り下げの手続きを行うようになります。
被害届を取り下げてもらうには?
示談交渉
もっとも一般的なのはやはり「示談」をして取り下げてもらう方法でしょう。
「示談」とは、民事上の紛争を裁判によらずに当事者間で解決することをいいます。
刑事事件の損害について金銭で解決を図る手段ですから、加害者が誠意をもって謝罪し、そのうえで、被害者に対してお金を支払うことになります。この時のお金を「示談金」といいます。
示談金額はいくら?
示談金は、損害賠償の金額を参考しながらも、当事者が自由に決められます。
つまり、示談金の金額を決める以外にも、各種の条件をつけることができます。
- 被害者が加害者をゆるす意思を表明すること
- 被害届を取り下げること
- 刑事告訴を取り消すこと
といった条件をつけることができます。
被害届を取り下げてほしい場合、通常は、示談交渉のなかで、「被害届を取り下げる」という条件を被害者にのんでもらうことになります。
手続きに書類は必要?
示談の条件に被害届の取り下げが含まれる際、示談書に「取り下げを約束する条項」が記載されます。しかし、それだけでは、被害届を取り下げたことにはならず、別途「被害届取り下げ書」が必要です。また、後日「本当に取り下げたのか」が問題にならないように、電話や口頭ではなく、書面を求められることが通常です。
取り下げ書の提出期限は?
明確な締め切り期間はありませんが、取り下げは、「被害者が、被害事実の申告を撤回する」ということを意味しますので、検察官の起訴や裁判官の判断に影響を及ぼす事情です。
そのため、刑事事件で起訴される前まで遅くとも刑事裁判の結論が出る前まで(最終弁論の前まで)に、取り下げてもらう必要があります。
示談交渉は弁護士に依頼
弁護士に相談することで、適切な書き方のレクチャーや、法的な解釈を聞くことができます。場合によっては、被害届の提出に同席してくれる場合もあります。
また、詐欺事件などの場合、相手が逮捕されても、とられたお金は戻ってきません。返金を請求するためには、民事訴訟による損害賠償請求を起こす必要があります。
その際にも、弁護士がいることは心強い存在だと感じるはずです。