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性犯罪における弁護活動

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性犯罪で不起訴や罪の軽減を目指すためには、被害者との示談交渉が有効です。一方、性犯罪を犯していないような場合は示談交渉はせずに、証拠不十分による不起訴や、公判における無罪の獲得を目指します。

この記事では、性犯罪における弁護活動の内容についてご説明したうえで、自白事件と否認事件それぞれの弁護活動の方針について解説します。

 

1 性犯罪における弁護活動の内容

性犯罪の刑事弁護では、次のような弁護活動を行います。

 

⑴自首同行

強制性交等の性犯罪は知り合いに対して行われることも多く、被害者が被害届を提出した場合、警察が加害者を捕まえるのは時間の問題です。

自首をした事実は加害者にとっていい情状になり、罪が軽減されることもあります。弁護士に自首同行を依頼することで、取り調べに対してどう対応するべきかあらかじめ助言をもらえるほか、弁護士が警察に逃亡や証拠隠滅の恐れがないことを伝えることで、逮捕されるリスクを少なくできます。

参考:弁護士に自首に同行してほしい

 

⑵接見

逮捕後、弁護士は被疑者と面会をします。面会では、取り調べ助言や、現状の確認などを行います。このとき、犯行を犯したのかどうか確認をし、今後の刑事弁護の方針を検討します。

参考:接見でできることできないこと

 

⑶勾留の阻止

勾留されると、原則10日間、最大20日間被疑者の身柄が拘束されます。弁護士は、勾留がなされないよう検察官や裁判官に働きかけます。勾留がなされた場合は、異議申し立てをしたり、被害者との示談交渉をしたりして、被疑者の早期釈放を目指します。

参考:勾留されてしまった…いつになれば釈放されるの?

 

⑷保釈請求

起訴後は、裁判が始まるまでの期間被告人の身柄が拘束されます。保釈請求が承認され、保釈金を納付することで被告人を保釈することが可能です。起訴後弁護士は、1日も早く被告人の身柄を解放できるよう、保釈請求を行います。

参考:保釈制度について

 

⑸公判での弁護

公判にて、弁護士は被告人にとっていい情状が得られるよう弁護活動を行います。

自白事件の場合は、被告人が反省していることや被害者への弁済が済んでいることなどを示して、罪が軽減されるよう努めます。一方否認事件の場合は、検察が持っている証拠に誤りがあることを追求したり、被告人が無罪である証拠を示したりします。

 

2 性犯罪における自白事件の弁護活動の方針

性犯罪を認める場合は、被害者に対して謝罪と示談交渉をしつつ、今後犯行を繰り返さないよう必要に応じて治療を受ける必要があります。ここでは、自白事件での弁護活動の方針についてご説明します。

 

⑴被害者に反省の気持ちを伝える

大前提として、自白事件の場合は被害者に対して誠心誠意反省の意を伝えることが大切です。性犯罪の被害にあった方は、大きな苦痛や不安を抱えています。

被害者の方がさらに苦しい思いをしないよう、相手の心情を汲みながら慎重に対応する必要があります。このような被害者への対応は、示談交渉の経験が豊富な弁護士でなければ難しいでしょう。

 

⑵被害者と示談交渉をする

性犯罪で不起訴や減刑を得るためには、被害者と示談交渉をすることが重要です。示談交渉が成立することで、被害者への弁済が済んでいることや、加害者が反省をしていることを検察や裁判官に対して示せます。

ただ、性犯罪の性質上、示談交渉が難航することは少なくありません。性犯罪の被害者は非常につらい思いをしているため、加害者を処罰してほしいと強く思っています。そのため、加害者のご家族の方などが直接示談を申し込んだとしても、応じてもらうのは簡単ではありません。

弁護士が示談交渉を代理することで、被害者に必要以上の不安を与えることなく、示談交渉を進められます。示談交渉では、示談金額の交渉をするほか、示談書に接近禁止などの条項を必要に応じて設けることがあります。

被害届や告訴を取り下げる条項を設けた上で示談を成立させることで、和解後に被害届が取り下げられ、捜査が終了します。

ただ、性犯罪厳罰化により強制性交等罪など、いくつかの犯罪は非親告罪化しています。被害届が提出されていない事件の場合は被害届を取り下げてもらうことは不可能になりましたが、それでも示談が成立していることが被疑者にとっていい情状になることにかわりはありません。

 

⑶必要に応じて治療を受ける

痴漢などの比較的軽微な性犯罪の場合、初犯であれば不起訴になることも考えられますが、余罪が多い場合や何度も逮捕されるような場合は、より重い罪に問われるようになります。

性犯罪を繰り返してしまう人の中には、性依存症になっている方も少なくありません。性依存症の場合、専門の医療機関に通院して再犯防止策を講じることで、更生が期待できるため、不起訴や減刑が得られることもあります。

痴漢や盗撮などの性犯罪は再犯も多くなっています。適切な治療をしないことには、例え一度不起訴を得られたとしても、将来的に犯罪を繰り返しかねません。今後新しい被害者を出さないことや、加害者が事件終了後の生活を台無しにしないためにも、専門の医療機関に通院することは重要です。

参考:性犯罪を繰り返さないためには

 

3 性犯罪における否認事件の弁護活動の方針

一方で、冤罪や誤認逮捕など、性犯罪を犯していないような場合は一貫して容疑を否認することが重要になります。

 

⑴取り調べに対して否認を続けるよう助言する

否認事件では、被疑者から自白を得るため、おのずと取り調べも厳しいものになります。連日にわたる厳しい取り調べに屈して、やってもいない事件を認めて嘘の自白をしてしまうことも考えられます。

やっていない事件を自白するというのは考えにくいことかもしれませんが、捜査官は取り調べのプロなので、被疑者が否認を続けにくくなるよう、言葉巧みに自白を得ようとする場合があります。

そのため、弁護士が接見を行い、否認を貫くべき理由や、取り調べに対していかに対応するべきか、できるだけ早期に被疑者に助言することが重要です。

なお、否認事件では身柄拘束が長期化する可能性が高くなっています。否認を続ける決意が挫けないよう、弁護士は繰り返し接見を行い、被疑者の様子や取り調べの様子を確認します。

 

⑵不当・違法な捜査への抗議

自白を得るために、行き過ぎた取り調べが行われることがあります。ただ、違法な取り調べによって得られた自白調書は証拠として扱われません。そのため、違法な取り調べが行われ、事実と異なる供述調書が作成された場合、弁護士は警察署長や検察庁に対して、抗議文や警告文を送付することがあります。

 

⑶公判にて無罪を主張する

起訴された場合は、裁判で無罪を獲得するための準備を進めることになります。起訴されている以上、被告人が犯行を犯した証拠が集まっているはずです。

否認事件では、弁護士は目撃者の証言に対して反対尋問をして、目撃情報に誤りがないか確認します。このように、弁護士は被告人が犯行を犯したとされる証拠が有効でないことを、弁論技術によって証明するほか、被告人が犯行を犯していない証拠を提出するなどして無罪獲得を目指します。

 

4 まとめ

この記事では、性犯罪における弁護活動の内容についてご説明してきました。刑事事件では対応の遅れが悪い結果につながります。ご家族が逮捕されたような場合は、できるだけすぐに刑事弁護を依頼しましょう。

このコラムの監修者

  • 田中今日太弁護士
  • 弁護士法人 法律事務所ロイヤーズ・ハイ

    田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録

    弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、性犯罪事件、窃盗・横領などの財産事件、暴行傷害などの暴力事件などで多数の不起訴経験あり。刑事弁護委員会所属。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。

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